いのちのまなざし~Look of Life~

エーゲ海を望む町 ~トルコ~

(写真/文 小松 義夫)

イスタンブールまで飛んで国内線に乗り換え、エーゲ海沿岸のボドルムという町に着いた。そこからゆっくりと、バスで海岸線を回った。

海岸は入り江が多く複雑な地形で、古代からの歴史が幾重にも積み重なった土地だ。100年弱前、この地はギリシャとトルコの戦場となり、その後、国境が確定された。それにともない、イスラム教と正教の住民が交換された。

海岸地方などに住むギリシャ人はギリシャの島に追いやられ、逆にギリシャに居たトルコ人は主にエーゲ海沿いに移住した。このような歴史を持つボドルムは、明らかにトルコ領なのだが、町を歩くとエーゲ海の魔法にかかってしまうのか、ギリシャに居るのかと錯覚してしまう。

アレキサンダーの軍隊が通り過ぎ、初期キリスト教の使者で新約聖書の著者の一人、パウロも宣教したというエフェソスは、ギリシャ時代に栄えた古代都市だ。立ち並ぶギリシャ時代の遺跡は保存状態が極めてよい。エーゲ海に来たら必ず訪れ、歴史に思いをはせながら歩きたい場所だ。

ダルヤンという町で数日過ごすことにした。近くに流れる川で舟遊びをしたかったからだ。トルコ人にも人気のスポットで、国内の観光客が続々と訪れる。

歌い、騒ぐトルコ人を乗せた舟とすれちがい、ダルヤン川を遡りキョイジェイズ湖畔のスルタニエ温泉に行った。美容に良いと言われる泥風呂が有名だ。湖畔の泥風呂で身体に泥を塗りつけている人達がいた。彼らは、ひとしきり泥人間として過ごした後、湖に飛び込み、泥を洗い流す。湧き出る温泉は塩湯で、リウマチや婦人病、胃腸、腎臓に良いとされている。本格的に湯治に来ている人も多い。温泉を楽しみ、湯治で療養するのは日本と変わらないな、と思った。

地元、トルコ人に大人気の川下り。背後の岩には紀元前4世紀ごろの王の岩窟墓がある
エフェソス遺跡は古代七不思議の一つとされている。2世紀中ごろに造られたケルスス図書館の遺跡
エーゲ海にそそぐダルヤン川は河口に豊かな湿地帯をつくる。野鳥の宝庫だ
キョイジェイズ湖畔のスルタニエ温泉の泥風呂。泥は美容に良い

(コンセンサス 2017年3月-4月号 掲載)