いのちのまなざし~Look of Life~

ジャカランダが咲く島 ~マダガスカル~

(写真/文 小松 義夫)

マダガスカル島は、アフリカ大陸の近くに位置し、世界で4番目に大きな島だ。白亜紀に東ゴンドワナ大陸から分離してインド亜大陸となり、その後インド亜大陸からも離れた。

この国の主食は米で、水田で米が耕作される風景はアジアそのものだ。2000年ほど前にアジアのボルネオ、インドネシアあたりからの人々とともに稲作が渡ってきたと思われる。

中央高地に住んでいたメリナ人が昔、王朝をつくり、マダガスカル文化の中心となった。この地方では、春になるとジャカランダの花が咲き、首都のアンタナナリボやアンツィラベの公園・街路を紫に彩る。満開のジャカランダの美しさに日本の桜を思い出した。

桜と同じように、ジャカランダの花が咲き終わると南半球の春が終わり、雨季が来て夏に向かう。農民にとっては嬉しい雨だ。雨の中を一人の男がプスプスという人力車を引いて走っている。雨季の到来を歓迎しているのか、濡れながらも、心なしか嬉しそうに見える。

中央高原の町の古いホテルに泊まった。ひと昔前まで豊富にあった木材をふんだんに使って建てられているが、その広いロビーの床の掃除方法に見入ってしまった。若い女性が椰子の実を半分にしたものを片足で踏み、床の表面をこすって磨く。マダガスカルでは床は椰子の実で磨かなくてはいけない、というかのように早いリズムで広い床を磨いてゆく。朝から軽妙な椰子の実ダンスを楽しんだ。市場に行くと半分に切った掃除用の椰子の実を並べて売っていた。土産にしようかと思ったが、日本ではここのように使えないので、買うのはやめにしておいた。

中央高原のアンツィラベにて。プスプスという人力車。そろそろ雨季、稲作に欠かせない雨が来た
マダガスカルではアジアから伝わってきた米が主食。市場には赤米を含む各種の米が並ぶ
ジャカランダの咲く公園で地元ファッション誌の撮影に割り込んで一枚撮らせてもらった
上:市場に並ぶ半分に切られた椰子の実。床、タイルの掃除用だ
下:床は半分に切った椰子の実を足で踏んで踊るようにして磨く。意外に重労働

(コンセンサス 2017年1月-2月号 掲載)