いのちのまなざし~Look of Life~

川と共に生きる ~マリ~

(写真/文 小松 義夫)

ニジェール川は、長さでは世界のトップ10にも及ばないが、謎を秘めた不思議な川だ。源流はギニア山地で北東のサハラ砂漠に向かって流れる。約200年前には、砂漠に向かって流れ、消えてしまう不思議な川と思われていた。川はマリ中央部で、めずらしい内陸デルタをつくりながらサハラ砂漠の縁を東方向に曲がり、ニジェールをかすめてナイジェリアで河口デルタをつくってギニア湾に消える。全長は4180kmだ。

川が下流に向かって内陸デルタをつくり始めるところにある町がセグーだ。川辺ではニジェール川と共に生きる人々の生活が身近に感じられる。

セグーから国道を下流方面に走り、細い道にそれると支流のバニ川がつくる島の上の古都ジェンネに至る。この町は14から16世紀にかけてサハラ貿易で栄えた。今では、大モスクを中心とした旧市街は世界遺産に登録されている。ここにはニジェール川上流で採れる大量の金とともに熱帯雨林地方の産物が集まってきた。砂漠からは岩塩やビーズ、貨幣として使われたタカラ貝などがもたらされた。

モスク前広場では月曜日に市場が開かれる。近隣の村から売り物を持った人々が朝から集まり賑わう。市場の喧騒はさておき、マリ女性の衣装の着こなしや色使いの美しさに目を奪われる。

夕方になると活気ある市場もそろそろ店じまいだ。人々が歩いて家路につく。市が立った長い一日が終わったのだ。

生活はニジェール川と共にある。対岸に行く人を乗せるニジェール川独特の板を綱で縛った細長い縫合船の姿と、手前は食器を洗う女性。セグーにて
ジェンネの大モスクの前面で目立つ泥の突起は、いろいろな説があるが、子どもの数、または先祖の姿、などといわれている
姉妹だろうか。髪を結ってあげている。セグーにて
世界遺産ジェンネの泥の大モスク前で開かれる月曜市。西アフリカの女性は腰の上に子どもを乗せて布で巻く

(コンセンサス 2016年9月-10月号 掲載)