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開梱ロボットソリューション開発秘話

2020.06.18

ロボットIoT

New Normal社会において
「開梱ロボットソリューション」が工場・倉庫の省人化を加速

New Normal社会において、ものづくりの現場における自動化のニーズがますます加速しています。例えば、工場や倉庫などにおける大量の段ボール箱を開梱する作業員が不足しており、さらには負傷リスクを取り除きたい、といったことがあります。そこでNECでは、誰でも簡単に操作でき、かつものづくりの工夫で低価格に抑えることができるソリューションを開発。今回、本製品の開発の経緯を、関わった3名の担当者に聞きました。


日本電気株式会社 スマートインダストリー本部 高野 智史
NECプラットフォームズ株式会社 生産技術統括部 山下 正男
NECプラットフォームズ株式会社 パブリックシステム事業部 中尾 亜樹

顧客現場で開梱作業の課題を把握

高野: 本製品を開発したそもそもの契機は、スマートファクトリー化を検討されているお客様の工場に視察に行った際のことでした。お客様は工場内を自動化する範囲を広げたいと考えておられましたが、その中に段ボール箱を開梱する作業があったのです。電子機器メーカーであるお客様の工場には、多種多様の資材が段ボール箱という荷姿で常時大量に入荷されます。それを、作業員の方がカッターナイフを用いて一つ一つ手間をかけ、開梱していました。お客様はそこに問題を感じていました。

そこで、同じ電子機器メーカーである我々NECも同様ではないかと製造現場の関係者へ当たってみたところ、同じ課題を抱えており、また、カッターを用いて行う膨大な作業には負傷の危険が伴うことも分かりました。そこで、山下や中尾などNECプラットフォームズのメンバーや製造現場にも協力してもらう形で、自動開梱装置の開発を進めることにしました。

安全性・簡易性・低価格をコンセプトに設計

山下: まず、世の中に類似の製品がないか調べてみました。すると、自動梱包装置は数々あったのですが、開梱装置は見当たらなかったのです。ならば市場性があると判断し、商品化を前提に製品の設計に着手しました。

設計のコンセプトは、作業員の安全性、多種多様なサイズの段ボール箱に対応できる汎用性、誰でも使える簡易性、できるだけ故障しないようなシンプルさ、そして低価格です。

こうしたコンセプトのもと、心臓部には汎用性があり、また信頼性の高い“ユニット”として、スカラ(水平多関節)ロボットを使用することにし、スカラロボットにおいてトップレベルにあるセイコーエプソンの製品を採用しました。また、段ボールのサイズや形状を把握する機能において、3Dスキャンやイメージセンサーといった高度な計測技術を取り入れることは当初から見送りました。精緻に測定できますが、非常に高価であり、また設備が複雑化するからです。また、これまで当社において数々の生産設備を内製化、立ち上げてきた中で、そうした計測技術を用いなくても汎用技術でクリアできるという読みはありました。そして知恵を絞り、段ボール箱を1つの角に寄せ、装置の最大稼動範囲内であればどんなサイズの箱が来ても自動的に対応できる機構を考え出したのです。これで試作品をつくって調整を重ね、完成させました。

刃の耐久性と騒音のバランス調整に苦労

中尾: 製品化に当たっては、海外での使用も見据えて、ロボットシステムにおける国際規格に合わせた設計をしています。

製品化で苦労したのは、本製品で使用するカット刃の耐久性と騒音の2点です。最初に採用した刃は、250個ほどのテストで切れなくなり、全く話にならない状態でした。そこで刃の材質を見直すこととし、最終的に4種類の材質に絞り込みました。中には世界一堅いというものもありましたが、逆に粘度不足でもろい面もあったのです。そういった試行錯誤の末、カット刃に最適な材質を絞り込むに至りました。

一方の騒音ですが、モーターの仕様や刃の形状に左右されることがわかりました。そこで、モーターの仕様の調整と、刃は20種類ほどの形状を用意し、これもテストを重ねて最終的な形状に落ち着きました。

コンパクトで、とてもいい製品に仕上がったと自負しています。少しでも多くのお客様にご利用いただきたいと思っています。

人集めに苦労している製造/物流拠点の省人化に貢献

高野: 開発に要した期間は、試作まで約半年、そこから製品化まで約3カ月です。当初視察に行ったお客様や自社の工場への導入も進めており、実績も出てきました。また、当初想定した電子機器メーカーだけでなく、重い入荷物を扱う食品メーカーや、物流/卸売業などにもニーズがあることがわかりました。人集めに苦労されている製造/物流拠点のお客様の省人化に貢献できると確信しています。当社単独ではなく、販売パートナー各社様にも協力いただいて、広くご提供していきたいと考えています。

また今後に向けては、開梱作業以外の領域へのロボット活用の検討に加え、ITやIoTと連携し、ロボットなど設備を含めた現場全体の情報を見える化・分析・対処する仕組みを強化していきます。

【関連リンク】

開梱ロボットソリューション

製造業における納入された部品の受入工程や、物流業における外装箱から個装箱を取り出す仕分け工程など、様々なシーンで必要になる開梱作業。段ボール箱の開梱作業を自動化することで、「省力化」およびカッターや重量物の取り扱いによる怪我を防止し「安全性の向上」を実現します。

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