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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、「バイオメトリクス(生体認証)」を取り上げてみます。

個人に紐づいている指紋や顔といった生体情報を、ID、パスワード替わりに利用するというアイデアは、古くからありました。従来は指紋などの生体情報を利用するのが中心でしたが、近年では、様々な生体情報が利用できるようになり、認証精度が高く、利便性に優れた生体情報はどれかという論争は現在も続いています。

近年、生体情報を取得する装置(センサ)の精度向上や、コストが下がったことに加え、セキュリティに対する意識が高まってきたこともあり、バイオメトリクスに対する注目が集まっています。

一口に「バイオメトリクス」といっても、指紋、顔、虹彩、静脈、掌形、声紋など、様々なものが存在します。実際に利用する場合は、どの用途なら、どのバイオメトリクス要素がふさわしいか、精度は必要十分か、複数要素の組み合わせが必要かなどをひとつずつ判断していく必要があります。

今回は、この「バイオメトリクス」の概要を紹介するとともに、その利用シーンについて解説してみます。

第46回 バイオメトリクス

「バイオメトリクス(生体認証)」とは、その人が生まれつき保有し、生涯変わらないであろう身体的特徴によって個人を識別する認証技術です。

従来の認証方法では、記憶に基づいて、IDやパスワードを入力させたり、ICカードやカギといった物理的な物を利用したりする方法が一般的でした。しかし、この方法では、IDやパスワード情報を忘れたり、ICカードやカギが盗まれたり、忘れてきたりといった問題がありました。

そこで登場したのが、「バイオメトリクス」と呼ばれる個人に紐づいている指紋や顔といった生体情報を、ID、パスワード替わりに利用するというアイデアです。知っていたり、所有していたりが前提の従来方式に比べ、生体に基づいた情報であり、忘れない、なくさないなどのメリットがあり、一般的には、パスワードやICカードよりセキュリティは向上すると言われています。

もちろん、どのような生体情報を利用するかで、その精度や利便性が異なります。一般的に、他人許容率(FAR)と呼ばれる他人を本人と間違える率と、本人拒否率(FRR)と呼ばれる本人なのに他人と判断してしまう率で精度を表します。この値は、テスト環境やエンジンメーカの性能により、大きく変動します。今のところ照合性能は、虹彩や、静脈、指紋が高くなっています。しかし、利便性から言えば、遠距離から利用でき、認証者本人に面倒をかけない「顔」がリードしています。

NECでは、バイオメトリクスの取り組みを指紋から始めました。顔認証・指紋認証・指ハイブリッド認証以外にも、DNA・音声・掌紋など様々な生体認証技術の研究開発に取り組んでいます。既に70か国、700以上のシステムで導入されています。

特に、指紋に関しては、NEC独自の「特徴点とリレーション方式」により、米国政府機関主催の精度評価コンテストで首位評価を獲得しています。さらに、最近では、指紋と指の静脈両方を利用するハイブリッド認証技術も製品化しています。

顔認証技術も、同様のコンテストで4回連続世界ナンバー1を獲得し、世界中で利用されるようになってきています。

また、虹彩を利用する認証技術も取り組み始めました。虹彩とは、角膜と水晶体の間にある薄いドーナツ状の膜です。瞳孔の大きさを調節して網膜に入る光の量を調節する役割を持ちます。虹彩の模様は、固有のパターンを有し、生涯不変と言われています。また同じ個人においても、左右の虹彩のパターンは異なります。

ちょっと変わったところでは、個々人による声の違いを利用して、個人を認証したり、録音データから、会話している人物を特定したりすることも行っており、弊社音声認識エンジン(VoiceGraphy)にも適用されています。

さらに、人の耳の穴の形状は千差万別であるという点を利用して、イヤホンを利用して、人の耳穴の形状を音で識別する生体認証技術の開発も行っています。

この認証技術を利用すれば、サービス提供者側から、任意のタイミングで認証をかけることができるので、端末が盗難にあっても、本人でなければ音が聞こえないようにするといったことが簡単に行えるようになります。

セキュリティ意識の向上に伴って、「バイオメトリクス」は、今後の認証技術の中心になってくるでしょう。今後の技術進化に注目です。


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