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来年に控える育児介護休業法改正!抑えておくべき改正情報を整理!
公開日:2024年6月5日(当記事の内容は公開時点のものです)
監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
2022年に産後パパ育休導入をメインとした育児介護休業の法改正が行われてから早2年。早くも次の改正が2025年4月に行われるべく、準備が進められております。
このブログでは、育児休業制度の現状を整理しつつ、来年行われる予定の育児介護休業法改正のポイントをお伝えいたします。
育児介護休業法改正のポイント
「勤革時」関連機能情報
育児介護休業法改正のポイント
現行の育児休業制度のおさらい
まず、現行の法律内容を整理していきます。ここでは、来年の法改正に影響がある部分に絞り解説します。
来年の法改正は、主に仕事と育児の両立に関する内容の法改正が行われます。
現行の法律における子供の年齢に応じた両立支援には、以下のようなものが存在します。
年齢による制限はあるものの、働きながら育児と両立することができるように配慮された制度です。
いずれの制度においても、労使協定で利用除外とされた方を除き、労働者から請求があった場合には実施しないといけない内容のものとなります。
各制度の詳細な情報は下記厚生労働省のHP内にてご確認ください。
育児・介護休業法のあらまし(厚生労働省)
これらの制度が事業主の義務となってから時間が経過し、すでに多くの方がご存じかと思いますが、実際のところどれくらいの割合の方が利用しているのでしょうか。
仕事と育児の両立等に関する実態は
「令和4年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業<企業調査>(厚生労働省委託事業)」の内容を元に、実際の利用割合を見ていきます。
令和4年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業<企業調査>(厚生労働省委託事業)
現状の各制度について、正社員・正職員で「利用者がいる」と回答した割合は以下の通りとなります。
短時間勤務制度については、301人以上の規模で8割以上の方が利用しており、制度としても浸透しているように読み取れます。人員的にも規模が大きい企業であれば、バックアップ体制も整っているケースも多く、柔軟に対応ができているのかもしれません。
所定外・時間外・深夜業の制限を利用している方は、1001人以上の規模でも半数にとどまっており、利用者が多くないことが読み取れます。これは、短時間勤務制度を利用し、所定労働時間を超えて勤務することも少なく、残業をしたとしても頻度が少ないため、わざわざ制限をかける必要もないことから利用者が伸びていないと考えられます。
子の看護休暇については、法律で有給と定められておらず、無給として制度を設けている企業も多いかと思います。
令和3年度雇用均等基本調査(厚生労働省)によると、無給として運用している企業の割合は65.1%となっており、この割合は令和3年の統計までの10年間で見ても横ばいの数字で推移しています。
参考:令和3年度雇用均等基本調査(厚生労働省)
無給として取り扱っている企業の多くでは、子どもが体調不良となった際には年次有給休暇を使うケースがあるため、利用率が伸びていないのかもしれません。
最後に、各制度全体で300人以下の規模の企業を見てみますと、利用者の割合が低い数字で推移しています。規模が小さくなると人員も限られてくるため、利用することが難しいのでしょう。
この点に着目した「仕事と育児の両立推進をする上での障壁・課題(令和4年度仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業<企業調査>より)」を集計したアンケート結果は下記の通りとなります。
代替要員の確保が難しい:46.7%
育児中の従業員とそうでない従業員の不公平感:26.9%
制度導入や代替要員確保のコストがかかる:17.4%
労働時間管理や人事評価等の複雑化:14.5%
ロールモデルや評価制度、育成方針の不存在:14.5%
両立について周囲の理解を得ることが難しい:12.4%
上記はいずれも全体平均ですが、企業規模別でも傾向は変わりません。
この結果を踏まえますと、代替要員の確保が難しいことに加え、制度を導入させていくことに課題を感じているなど、様々な障壁があることが見て取れます。
まずは会社として育児休業や両立支援制度を整備していくことが大切になりますが、利用促進には、現場の理解と利用者の実績を出すことも大切です。利用してもいいという雰囲気があるとないとでは大きな違いがあります。
会社全体でバックアップすることで利用者を少しずつ増やしていくよう努めるとよいでしょう。
2025年に予定している法改正の内容とは
ここからは、来年予定している法改正内容について取り上げていきます。前述のとおり育児との両立を図る改正内容となっています。
令和6年通常国会に提出された法律改正案を元に、仕事と育児等の両立を支援するための措置をいくつか抜粋していきます。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)
まず、現行の内容と重なる箇所について、変更点を下記の通りまとめてみました。
- 所定外労働の制限の延長
現在、3歳になるまでの子がいる労働者が対象であった、所定外労働の制限(残業免除)の対象が小学校就学前の子がいる労働者に延長されます。この改正により小学校に入るまでの間、残業せずに育児の時間を長くとることができるようになります。 - 子の看護休暇の名称変更および利用可能期間の拡大
取得できる日数はそのままに、小学校三年生修了時までの子を養育する労働者に取得可能期間が延長されます。取得事由に学校行事等が追加し、名称を「子の看護等休暇」に変更されます。また、労使協定により子の看護休暇を取得できない労働者から、雇用期間が6か月未満の労働者を除外できなくなります。
その他、今回の改正で追加される箇所を一部取り上げていきます。
- テレワークの努力義務化(3歳未満)
3歳に満たない子を養育する労働者で育児休業を取得していない労働者に関して、在宅勤務等の措置が努力義務として課されます。 - 柔軟な働き方を実現するための措置(3歳以上~小学校就学前)
現行の3歳未満までの短時間勤務制度に続いて、3歳以上~小学校就学前までの子を養育する労働者に関し、下記より2つ以上の措置を講ずる必要があります。
- 始業時刻変更等の措置
- テレワーク
- 短時間勤務
- 新たな休暇の付与(子の看護休暇や年次有給休暇以外に創設)
- 以上のほか、厚生労働省令で定める仕事と育児を両立するための措置
- 個別の意向の聴取のための面談が義務化(妊娠出産の申出時及び子が3歳になる前)
子が3歳になるまでの適切な時期に、労働者に対して両立支援制度の説明と取得意向を確認するための面談等を行わなければなりません。意向の確認だけでなく、それに沿った配慮も必要です。
改正内容を見ると、テレワーク(在宅勤務)が所々で取り入れられてきています。その他、始業時刻変更等の措置も含めて、フルタイムで働きながら育児をしていくことができるよう配慮された内容となります。男性の育児休業取得は少しずつ増えてはおりますが、まだまだ課題は残っております。柔軟な働き方ができる制度を利用することで、子どもが自立するまでの育児を片親に負担をかけることなく乗り越えていけるようにもなると考えられます。
雇用保険法の改正で育休取得を後押し
今回の育児介護休業法の改正に加えて、同時期に雇用保険法も改正される予定となっております。子ども家庭庁の法改正資料を元に一部抜粋してお伝えします。
①出生後休業支援給付の創設
現行の育児休業給付金の支給率は、67%(手取りの8割相当)ですが、これを8割程度まで引き上げ、手取りで10割相当にするとしています。具体的には、被保険者と配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に休業開始前賃金の13%相当額を支給する内容となっています。
②育児時短就業給付の創設
2歳未満の子を養育し、時短勤務をしている場合に、賃金額の10%を支給する内容の給付です。
これらの給付により、育児休業中や育児休業明けの労働者に対して手厚くサポートされるようになります。育休取得により手取り給与が減ってしまうという点は、育休取得が進まない理由の1つでありますが、この法改正により少し改善されるかもしれません。
また、このタイミングで、育児介護休業法の改正により、男性の育児休業取得率の開示義務が、常時雇用する労働者数が1001人以上から301人以上の企業に拡大されます。
法改正を見据えた対策を
法改正に対応する場合、企業の負担も増していく可能性は否めません。しかし、育児休業や両立支援に関する労働者の関心は年々高まっていきます。より長く勤務していただくためにも、働き続けやすい環境を整え企業の持続的な成長を図ってみてはいかがでしょうか。
「勤革時」関連機能情報
時短勤務者の管理のための設定方法
「勤革時」は専用の雇用区分やスケジュールパターンなどを設定することで時短勤務(短時間勤務)する従業員を管理することが可能です。
例:
1日の所定労働時間は、9:00~16:00の6時間(休憩1時間を除く)、
所定労働時間を超過して勤務した場合は、8時間以内の勤務を所定外時間(法定内残業)、
8時間を超過した勤務を残業時間(法定外残業)として計上する。
「子の看護休暇」「育児休業」の管理方法
「勤革時」は休暇区分設定機能により、「子の看護休暇」や「育児休業」等様々な休暇区分を設定できます。
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