4 【経営上の重要な契約等】

当社は、平成14年8月30日開催の臨時株主総会において、当社の半導体事業(株式会社日立製作所との合弁事業として行っている汎用DRAM事業を除く。以下、本項において同じ。)を新たに設立するNECエレクトロニクス鰍ノ会社分割により承継させる決議を行い、平成14年11月1日付で同社を設立するとともに、同事業を承継させた。

会社分割の概要は次のとおりである。

 

(1) 会社分割の目的

半導体事業について会社分割による分社化を行い、付加価値の高い半導体ソリューション事業の強化をはかる。

 

(2) 会社分割の方法

当社を分割会社とし、新たに設立する(平成14年11月1日設立)NECエレクトロニクス鰍承継会社とする分社型新設分割である。

 

(3) 分割期日

平成14年11月1日

 

(4) NECエレクトロニクス鰍ェ分割に際して発行する株式および割当

発行する株式の種類および数    普通株式 1億株

割当の対象者および数       当  社 1億株

 

(5) 分割する半導体事業の経営成績

平成14年3月期 売上高   468,367百万円

 

(6) NECエレクトロニクス鰍フ概要

代 表 者    代表取締役社長 戸坂 馨

住   所    神奈川県川崎市中原区下沼部1753番地

資 本 金    500億円

事業内容    半導体の研究、開発、製造、販売およびサービス

 

 

5 【研究開発活動】

当社および連結子会社における研究開発活動のうち、当社は、全社的な基盤技術の研究を担当するNECラボラトリーズおよび各社内カンパニーの開発部門において、インターネット分野を中心に将来の事業創出のための基盤となる技術や事業運営に直結した新技術の研究開発に取り組んでいる。当中間連結会計期間における当社の主要な研究開発成果は次のとおりである。

 

(NECソリューションズ)

 モバイル電子チケット・会員証サービス基盤の開発

NECソリューションズでは、データ暗号化などのセキュリティ技術や赤外線通信機能を活用して、携帯電話機と店舗に設置されたPOS端末、自動発券機などの端末との連携を図ることにより、店舗やコンサート会場、映画館におけるチケットなどの管理サービスを実現する「モバイル電子チケット・会員証サービス基盤」を開発した。この基盤技術により、パーソナルコンピュータや携帯電話機からインターネットを通じて予約されたコンサートや映画のチケットを電子チケットとして携帯電話機に送信し、コンサート会場や映画館では、電子チケットサービス対応端末で認証を行うことによって、発券・入場および来場者のデータ管理を行うことができる。このほか、携帯電話機を各種会員証の代わりとして利用するサービスや複数の店舗があるショッピングセンターなどでの異業種連携による共通クーポンサービスの提供も可能となる。

 

 

(NECネットワークス)

 光&IP融合ネットワーク機器「光波ラベルスイッチ」の開発

NECネットワークスでは、ネットワークサービスを提供する通信事業者や拠点間ネットワークを構築する企業向けに、光伝送技術とIP(インターネット・プロトコル)技術を融合したネットワーク機器「光波ラベルスイッチ」を開発した。従来、ネットワークにおいて、多重化された複数の光信号を波長単位で分岐・挿入するOADM機能や、パケットの高速転送、通信品質の制御を行うMPLS機能は、光伝送機器およびIPルータが担っていた。この「光波ラベルスイッチ」は、この2つの機能を搭載しているため、ソフトウェア制御によりネットワーク経路の構築、構成変更を迅速に行うことができる。これにより、従来最大で数ヵ月を要していた通信回線サービス開通までの期間を数日に短縮することができ、また、ネットワーク運用中にネットワーク利用者の要求に応じて伝送帯域の割当変更を容易に実現できるなど新たなオンデマンドサービスの創出が可能となる。

 

 

(NECエレクトロンデバイス)

 MPEG-4に対応した携帯機器向けの高性能DSPコアの開発

NECエレクトロンデバイスではNECラボラトリーズとともに、携帯電話機、PDA(携帯情報端末)、デジタルビデオカメラなどの携帯機器向けに、動画像、オーディオデータの圧縮方式であるMPEG-4におけるデータの符号化・復元化処理を効率的に実行できるアーキテクチャを備えたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)コア「SPXK5」を開発した。DSPとは、音声や画像などのデジタル信号をソフトウェア制御により高速で処理するプロセッサであり、このDSPコア「SPXK5」は、複数の命令を同時に実行できるアーキテクチャを採用したことなどにより、命令処理速度を従来比約3倍に高速化し、携帯機器向けDSPとして世界トップクラスとなる1,000MIPS(250MHz動作時)(注)という高性能を実現した。

 

(注) MIPS(Million instructions per second)とは、1秒間に何百万回の命令を実行できるかを示す単位。

(その他)

 PDA用「日英/英日」音声通訳支援ソフトウェアの開発

NECラボラトリーズでは、音声入力した日本語や英語を翻訳し読みあげることが可能なPDA(携帯情報端末)用の音声通訳支援ソフトウェアを開発し、国土交通省、新東京国際空港公団の協力のもと、サッカーのワールドカップ開催期間中(平成14年5月31日から6月30日)に、新東京国際空港において評価・実証実験を実施した。本ソフトウェアは、コンパクトな音声認識、翻訳、合成エンジンを開発することにより、当社が開発したパーソナルコンピュータ向け音声通訳支援ソフトウェアと同等の通訳機能をPDAにおいて実現したものである。

 

また、当社以外の研究活動については、国内においては、当社製品の生産を担当している会社の一部において新製品の開発を行っているほか、日本航空電子工業梶ANECインフロンティア梶Aアネルバ鰍ネど独立した事業基盤を有する会社において、基盤技術の研究開発および各社の事業運営に直結した新技術、新製品の研究開発を行っている。また、海外においては、NECアメリカ社、NEC USA社、NECヨーロッパ社などにおいて新製品の開発を行っているほか、NECリサーチ・インスティチュート社(注)において新しい材料科学、デバイス物理、コンピュータ科学などに関する基礎研究を行っている。当中間連結会計期間における当社および連結子会社全体の研究開発費は、152,596百万円であり、これを事業の種類別セグメント別に示すと以下のとおりとなる。

 

     NECソリューションズ         20,640百万円

     NECネットワークス          60,863百万円

     NECエレクトロンデバイス       55,141百万円

     その他                15,952百万円

 

(注) NECリサーチ・インスティチュート社は、平成14年11月1日付でNECラボラトリーズアメリカ社に名称を変更した。