当連結会計年度の日本経済について振り返ると、物価の下落と景気後退が同時に進行する深刻なデフレ状態が続き、製造業は大幅な生産調整を余儀なくされ、企業の設備投資も大きく減少した。さらに、企業業績の不振が個人所得の低下や雇用環境の悪化をもたらし、個人消費は低迷した。海外においては、米国経済が約10年振りに後退局面に入り、同時多発テロ事件の発生によってさらに悪化するなど、全体として景気減速が続いた。
国内のエレクトロニクス業界においては、大手企業や官公庁を中心にシステム・インテグレーション需要は堅調であったものの、景気悪化に伴いパーソナルコンピュータの販売不振が続き、通信事業者の設備投資抑制により通信機器市場が年度後半から急激に減速するとともに、半導体、液晶ディスプレイなどの電子デバイスに対する需要も大きく減少した。
このような環境にあって、当社および連結子会社は、パーソナルコンピュータ事業や通信機器事業の急激な変化への対応および電子デバイス事業の抜本的な事業構造改革を実施し、これに伴い2,859億円の事業構造改革費用を計上した。また、国内および海外で人員削減(新規連結による増加を除く)を実施するとともに、老朽化した生産設備の廃棄や減損処理の実施などにより固定費の削減を推進した。
各セグメント別の主な事業構造改革の施策は、以下のとおりである。
NECソリューションズ
NECソリューションズは、採算性の悪化しているパーソナルコンピュータ関連事業の構造改革として、国内向けパーソナルコンピュータおよび周辺機器の商品企画、開発、資材調達、生産、販売までの事業責任を一貫して担う体制を構築し、明確な責任分担のもとで俊敏な事業運営を行えるように、これに関連する社内部門および国内子会社を統合・再編成した。
NECネットワークス
NECネットワークスは、米国のIT不況の世界市場への波及による通信事業者への投資抑制が続く中で、開発プロジェクトの見直し、資材費の圧縮、人員の削減など一層の事業構造改革を進め、さらに国内の生産体制については、マザー工場(製造技術を確立するための中心となる工場)を中心に再編することとし、光ネットワーク機器などの製造部門をEMS(電子機器製造受託サービス)企業に売却するなど、最先端技術やソリューションの開発およびマーケティングに経営資源を集中できる体制の整備に努めた。
NECエレクトロンデバイス
NECエレクトロンデバイスは、業績回復に向け、抜本的な事業構造改革を断行した。まず、従来のような売上の伸長が見込めない中でも利益の出せる事業体質への転換を目的として、英国の半導体製造ラインの休止をはじめ、国内外の製造拠点における設備廃棄、人員削減などによる固定費削減を実施した。NECエレクトロンデバイスとしては、システムLSI、表示制御LSIやトランジスタなどの汎用デバイスに経営資源を集中し、競争力の強化をはかることとした。
当社は従来持分法を適用していたリース事業会社であるNECリース鰍平成13年4月1日に連結子会社とした。リース事業は、従来のリース事業以外の事業(以下、「エレクトロニクス事業」という。)とは事業の性質が異なることや当社の連結財政状態に与える影響が大きいため、エレクトロニクス事業とリース事業を区分して業績管理を行うこととした。
リース事業を新たに加えた当連結会計年度の業績は、売上高が5兆1,010億円と前連結会計年度に比べ3,087億円の減収(前連結会計年度比5.7%減)となった。これは、SI(システム・インテグレーション)サービスを中心とした各種サービスおよび国内向けの携帯電話機が好調に推移したものの、IT関連機器市場の急激な悪化により、パーソナルコンピュータ事業およびメモリやシステムLSIなどの半導体事業が減収となったことなどによるものである。
収益面については、売上の減少やメモリおよびディスプレイの価格下落に伴う原価率の悪化などに加え、電子デバイス事業を中心とした事業構造改革費用の計上により、税引前損益は4,612億円の損失(前連結会計年度比5,535億円減)となった。当期純損益は、持分法による投資損益が半導体関連会社を中心とした業績悪化により238億円の損失(前連結会計年度比457億円減)となったことに加え、デリバティブとヘッジ活動に係る新会計基準の適用に伴い、過年度の累積影響額を計上したことなどにより、3,120億円の損失(前連結会計年度比3,686億円減)となった。
一方、当連結会計年度のフリー・キャッシュフローは、資材費圧縮施策など全社的なサプライ・チェーン・マネジメントによる資産の効率化に努めたものの、当期純損益の悪化により669億円の支出超過となった。当連結会計年度末の有利子負債残高は、フリー・キャッシュ・フローの悪化やリース事業を新規に連結対象としたことなどにより、2兆2,597億円(前連結会計年度末比5,754億円増)、デッド・エクイティ・レシオ(株主資本に対する有利子負債の割合)は4.00倍(前連結会計年度末比2.16ポイント増)となった。
リース事業について従来と同様に持分法を適用した場合の当連結会計年度末の有利子負債残高は、1兆6,967億円(前連結会計年度末比125億円増)、デッド・エクイティ・レシオは3.00倍(前連結会年度末比1.16ポイント増)である。
以下の表は、当連結会計年度からリース事業を連結した要約連結貸借対照表とリース事業について従来と同様に持分法を適用した要約連結貸借対照表を比較したものである。リース事業は事業拡大によって有利子負債が増加するため、当社はこのような比較表示による分析がきわめて重要であると考えている。
要約連結貸借対照表 (金額単位 百万円)
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リース事業に持分法を適用した要約連結貸借対照表 |
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リース事業を連結した 要約連結貸借対照表 |
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平成12年度 |
平成13年度 |
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平成13年度 |
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連結会計年度末 |
連結会計年度末 |
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連結会計年度末 |
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平成13年3月31日現在 |
平成14年3月31日現在 |
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平成14年3月31日現在 |
資産 |
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現金および現金同等物 |
386,835 |
348,021 |
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377,772 |
受取手形および売掛金 |
1,053,133 |
938,179 |
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905,069 |
たな卸資産 |
828,081 |
650,043 |
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650,043 |
リース債権 |
− |
− |
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506,761 |
投資および長期債権 (除くリース債権) |
733,637 |
640,957 |
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621,078 |
有形固定資産 |
1,128,813 |
939,470 |
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959,577 |
その他 |
693,125 |
947,201 |
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990,583 |
資産合計 |
4,823,624 |
4,463,871 |
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5,010,883 |
負債および資本 |
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有利子負債 |
1,684,259 |
1,696,739 |
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2,259,705 |
その他負債 |
2,155,942 |
1,987,805 |
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1,956,246 |
少数株主持分 |
68,387 |
117,212 |
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132,817 |
子会社発行優先証券 |
− |
97,200 |
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97,200 |
資本 |
915,036 |
564,915 |
|
564,915 |
負債および資本合計 |
4,823,624 |
4,463,871 |
|
5,010,883 |
当連結会計年度の業績を各事業別にみると、エレクトロニクス事業の売上高は5兆548億円と前連結会計年度に比べ3,550億円減少(前連結会計年度比6.6%減)し、セグメント損益の合計額は前連結会計年度比2,446億円悪化の594億円の損失となった。リース事業の売上高は718億円、セグメント利益は63億円である。
エレクトロニクス事業の各セグメント別の業績は以下のとおりである。なお、各セグメントの売上高およびセグメント損益にはセグメント間取引を含んでいる。
NECソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ1%減少の2兆2,091億円とほぼ前連結会計年度並みを維持した。製造業、通信業向けなどのSIサービスが好調に推移したことに加え、BIGLOBEの付加価値サービスの売上が増加したことなどにより、ソフトウェアや各種サービスの売上が増加した。ハードウェアについては、サーバなどのコンピュータが、大型案件の増加などにより増収となったものの、国内個人向けパーソナルコンピュータ市場の低迷の長期化や企業向けパーソナルコンピュータ市場の減速により減収となった。
セグメント利益は、前連結会計年度に比べ87億円悪化の754億円となった。ソフトウェア・サービス分野では、SIサービスにおける生産性の向上やソフトウェア開発の重点化などにより利益率が向上した。しかしながら、ハードウェアについて、パーソナルコンピュータ市場の低迷に加え、サーバなどのコンピュータの採算が悪化したことから、セグメント利益率は0.4%悪化の3.4%となった。
NECネットワークスの売上高は、前連結会計年度に比べ7%増加し、1兆9,572億円となった。当連結会計年度後半は急激な市場悪化の影響を受けたものの、主に上半期において国内市場で第三世代移動通信のインフラシステムの投資が進んだことに加え、携帯電話機が好調に推移し、また海外市場向けも、海底ケーブルシステムを中心に好調に推移したことにより、売上増となった。
セグメント利益は、前連結会計年度に比べ297億円悪化の534億円となり、セグメント利益率も1.8%悪化の2.7%となった。これは国内向け携帯電話機が出荷増となり利益率も改善したものの、一方で主に下半期において海外光ネットワークシステム事業などネットワークインフラ事業の採算性が悪化したことによるものである。
NECエレクトロンデバイスの売上高は、前連結会計年度に比べ31%減少の8,429億円となった。パーソナルコンピュータや通信機器などIT関連市場が急激に冷え込み、民生用機器市場も低迷した。これにより、電子機器の需要が前連結会計年度に比べ大幅に減少し、半導体や液晶ディスプレイの出荷数量が減少し、また価格が下落したことによるものである。
セグメント損益は、前連結会計年度に比べ2,164億円悪化し、1,482億円の損失となった。パーソナルコンピュータ市場低迷の影響や半導体メーカー間の競争に伴いDRAMが供給過剰となり価格下落が生じたことに加え、液晶ディスプレイ分野においてもパーソナルコンピュータ向け製品の需要減や、モバイル機器用中・小型製品の競争激化により利益率が悪化した影響を受けたことによるものである。
半導体製造装置、液晶プロジェクタなどの製造および販売や電気通信工事サービスなどから構成される「その他」のセグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ15%減少の6,348億円となった。これは主に電子測定器や抵抗器事業を売却したことによるものである。
セグメント利益は、半導体製造装置などの売上減少、および採算性悪化により前連結会計年度に比べ173億円悪化し、30億円となった。
地域別セグメントの状況は以下のとおりである。
IT関連機器の需要急減に伴い、パーソナルコンピュータや電子デバイスが低迷したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ2%減少の4兆2,303億円となった。地域別損益は半導体の価格下落に伴う原価率の悪化等により、前連結会計年度の1,701億円の利益から1,869億円悪化し、169億円の損失となった。
北米市場の景気減速に伴う電子デバイスやネットワークインフラの低迷などにより、売上高は前連結会計年度に比べ33%減少の2,552億円となり、地域別損失は316億円で前連結会計年度比287億円の悪化となった。
欧州におけるパーソナルコンピュータ市場の需要停滞や、アジア・欧州市場における電子デバイスの低迷などにより、売上高は前連結会計年度に比べ15%減少の6,155億円となり、地域別損益は71億円の損失で前連結会計年度の180億円の利益から251億円の悪化となった。
当連結会計年度末の現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ91億円減少し、3,778億円となった。
営業活動により増加したキャッシュ(純額)は1,366億円となり、前連結会計年度に比べ2,239億円の減少となった。これは主に全社的な生産革新などにより資産効率化を図った結果、たな卸資産や受取手形および売掛金などが減少したものの、3,120億円の当期純損失を計上したことによるものである。また減価償却費は設備投資を削減したことなどにより前年度に比べ154億円減少し、2,347億円となった。
投資活動により減少したキャッシュ(純額)は2,035億円となり、前年度に比べ920億円増加となった。これは、設備投資の削減により有形固定資産の購入による支出は減少しているものの、前年度と比較し有形固定資産および市場性のある有価証券の売却による入金額が減少したことなどによるものである。
財務活動により増加したキャッシュ(純額)は557億円となった。これは平成13年12月に額面総額2,000億円(ユーロ円建転換社債1,000億円、子会社が発行する優先証券1,000億円)の証券を国内外の資本市場で発行する一方、転換社債の償還や借入金の返済を行ったことによるものである。
当社および連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため、生産、受注および販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示している。
平成12年度および平成13年度において、それぞれ連結売上高の13.2%および16.0%を占める主要顧客があり、その売上は主にNECソリューションズおよびNECネットワークスの売上に含まれている。
当社企業グループでは、ブロードバンド&モバイル・インターネット化に向けたIT、ネットワーク、電子デバイスの各分野におけるソリューションの提供を中核事業と位置付け、グローバル・リーダーを目指す事業への経営資源の集中と中核事業領域以外での事業統合・売却を推進してきた。また、当連結会計年度から実施した四半期業績開示に合わせて経営判断のさらなるスピードアップをはかるとともに、資材費を中心とした変動費の抜本的見直しや「輝く個人」を育成するために成果主義を一層推し進めた新人事制度の導入など、事業構造の転換促進に努めてきた。
しかし、急激な環境変化に伴う危機を克服し、早急な業績回復を確かなものとするためには、景気変動の影響を受けにくい強固な事業体質を構築し、収益力の向上をはかることが急務である。そこで、当社企業グループでは、その実現のため、当社企業グループの事業領域を「オープン環境においてミッション・クリティカル・システムを実現するためIT・ネットワーク統合ソリューション」と「高度化するシステムニーズを実現する半導体ソリューション」の2つの領域に分け、ソリューション事業へのシフトを加速させていくこととし、平成14年5月、以下の経営改革方針を発表した。
(1) 半導体事業を分社化し、新会社を設立する。新会社は、半導体ソリューションの専業企業として、グローバルな事業展開を目指す。そのため、今後成長が期待される高付加価値システムLSIに経営資源を集中し、技術力、営業体制を一層強化するとともに、世界のリーディングカンパニーとの戦略的提携を拡大、強化していく。さらに、変動性の高い半導体事業特性に適した資金調達の実施とバランスシートの構築により財務構造の改善に努める。
(2) IT事業およびネットワーク事業については、オープン環境でのミッション・クリティカルシステム(UNIXサーバ、PCサーバなどのオープン・システムを利用した基幹システム)を実現するため「IT・ネットワーク統合ソリューションの提供」に重点を置いた事業運営を行う。
当社企業グループでは、半導体事業の分社化を中心とする経営改革方針の実行によりソリューション事業を強化するとともに、固定費のさらなる削減や資産売却などにより財務体質の改善に努め、企業価値の増大を目指す。
平成14年3月31日現在における重要な技術導入、技術提供等の契約は、次のとおりである。
項目 当事者 |
契約の内容 |
契約期間 |
当社とエイ・ティー・アンド・ ティー社(米国) |
情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾 |
自:昭和63年1月1日 至:対象特許の終了日 |
当社と インターナショナル・ビジネス・ マシーンズ社(米国) |
情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成8年1月1日 至:対象特許の終了日 |
当社とインテル社(米国) |
半導体装置等に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成4年7月29日 至:対象特許の終了日 |
情報取扱装置に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成13年11月16日 至:対象特許の終了日 |
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当社とシーメンス社(ドイツ) |
デジタル移動通信機器に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成11年3月2日 至:対象特許の終了日 |
当社と テキサス・インスツルメンツ社 (米国) |
半導体装置に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成9年5月19日 至:平成17年12月31日 |
当社とハリス社(米国) |
半導体装置に関する特許の相互実施許諾 |
自:平成9年5月22日 至:対象特許の終了日 |
当社とラムバス社(米国) |
半導体メモリおよび半導体コントローラに関する特許の実施許諾(導入) |
自:平成12年4月1日 至:平成17年3月31日 |
項目 当事者 |
契約の内容 |
当社と鞄月ナ |
宇宙機システムの開発、製造および販売を目的とする合弁会社NEC東芝スペースシステム鰍フ設立 |
当社および連結子会社における研究開発活動のうち、当社は、今後の成長領域であるインターネット分野における事業推進の基盤となる新技術の研究開発などに取り組んできた。当連結会計年度における当社の主要な研究開発成果は次のとおりである。
地球環境問題解決のための世界最高速スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」
当社は、超高速ベクトル並列計算機システム「地球シミュレータ」を地球シミュレータセンターに納入した。この地球シミュレータは、1CPUあたり8ギガFLOPS(1秒間に80億回の計算速度)のベクトルプロセッサ8個からなる計算ノード(装置)640台を高速のネットワークで接続するもので、最大性能40テラFLOPS(1秒間に40兆回の計算速度)を実現する世界最高速のスーパーコンピュータである。この地球シミュレータは、コンピュータ上に地球の様々な現象を映し出す「仮想地球」を実現するものであり、地球規模の気候変動の解析・予測や長期間にわたる地球変動現象の解明などが可能となる。
(注) 1 1テラは1兆、1ギガは10億の単位
2 FLOPSは、コンピュータの性能を表わす単位のひとつで、浮動小数点演算命令を1秒間に実行できる回数を示す。
第三世代携帯電話端末プラットフォームの基本アーキテクチャの開発
当社は、松下グループとの協業により、第三世代携帯電話端末プラットフォームの基本アーキテクチャを開発した。このアーキテクチャでは、W-CDMA方式による通信を行う伝送系機能とアプリケーション機能の2つの独立した機能ブロックがそれぞれのCPUで処理される。また、それぞれのCPUに搭載する膨大な量のソフトウェアを並行して開発することが容易となり、各CPUの自由な組み合わせが可能となる。
世界最先端のシステムLSIプロセス「UX6」の開発
当社は、0.10マイクロメートル世代のシステムLSIプロセス「UX6」を開発した。この「UX6」の特長は、(1)最先端の露光技術、エッチング技術によりトランジスタのゲート長を微細化し、当社の従来プロセス「UX5」と比べて約1.5倍の高集積度を実現したこと、(2)微細化に伴う電流の漏れを低減するための新技術を開発し、低消費電力を実現したこと、および(3)新材料の採用により1ギガヘルツを超える領域での高速・高性能対応を実現したことである。
上記の社内カンパニーのほか、全社的な基盤技術の研究を担当する部門(NECラボラトリーズ)において、ナノテクノロジーの新素材として注目を集めているカーボンナノチューブの一種であるカーボンナノホーンを電極に用いた携帯機器用の小型燃料電池の開発に世界で初めて成功した。燃料電池は、メタノールなどの燃料と空気中の酸素との化学反応により、大きな電気エネルギーを取り出すことができるもので、今回開発した燃料電池は、電極に活性炭を用いた従来の燃料電池に比べ、電池の出力を約2割向上させることができる。今回の成功は、カーボンナノチューブの実用化に向けて大きく踏み出すものである。
また、当社以外の研究開発活動においては、国内においては、当社製品の生産を担当している会社の一部において新製品の開発を行っているほか、日本航空電子工業梶ANECインフロンティア梶Aアネルバ鰍ネど独立した事業基盤を有する会社において、基盤技術の研究開発および各社の事業運営に直結した新技術、新製品の研究開発を行っている。また、海外においては、NECアメリカ社、NEC USA社、NECヨーロッパ社、NECリサーチ・インスティチュート社などにおいて、インターネット分野における事業推進の基盤となる新技術の研究や、新しい材料科学、デバイス物理、コンピュータ科学などに関する基礎研究を行っている。当連結会計年度における当社および連結子会社全体の研究開発費は、333,632百万円であり、これを事業の種類別セグメントごとに示すと次のとおりである。
NECソリューションズ |
51,827百万円 |
NECネットワークス |
153,850百万円 |
NECエレクトロンデバイス |
95,720百万円 |
その他 |
32,235百万円 |