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IR資料

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アニュアル・レポート

社長メッセージ

「社会価値創造型企業」への変革に向けて 2013年6月 代表取締役 執行役員社長 遠藤信博

前年度(2012年3月期)は、税制改正および業績悪化をふまえた繰延税金資産の見直しに加えて、東日本大震災やタイ洪水、欧州危機などの大きな外部環境変化も重なり、事業構造改善費用を含め1,103億円の当期純損失を計上せざるを得ませんでした。このような状況をふまえて当年度(2013年3月期)は、利益体質への転換に向けた構造改革に踏み切るとともに、事業ポートフォリオを見直し、「ITサービス」、「キャリアネットワーク」、「社会インフラ」、「エネルギー」という4つの事業を柱として安定的なキャッシュ・フローを生み出す事業体への変革に努めました。

まず、構造改革では、約1万人の人員削減を完遂したことに加え、携帯電話事業、プラットフォーム事業の開発・生産体制のスリム化を実施しました。これらに 加えて、役員・従業員の給与削減も実施したことなどにより、計画どおり400億円の営業利益の改善効果を得ることができました。次に、事業ポートフォリオ の見直しでは、電子部品事業について米国企業との資本・業務提携を実施し、NECトーキン(株)が当社の連結子会社ではなくなったほか、当社の持分法適用 会社であるルネサスエレクトロニクス(株)が(株)産業革新機構および民間企業8社に対する第三者割当による増資を決定しており、ルネサスエレクトロニク ス(株)は今後、当社の持分法適用会社から外れる予定です。

また、4つの事業の柱への注力という点では、ITソリューション事業のITサービス領域、キャリアネットワーク事業、社会インフラ事業およびエネルギー事 業への集中投資による成長基盤の構築に向けて、グローバルでの事業の拡大に向けた事業買収や他社との提携などに積極的に取り組みました。 これらの結果として、売上高が3兆円規模であっても一定の配当が可能な利益水準を確保できる事業構造へと転換をはかることができました。

2013年3月期の業績について

当年度の連結売上高は、3兆716億円と前年度に比べ348億円(1.1%)増加しました。これは、個人向けパソコン事業の非連結化や携帯電話の出荷台数 減少によりパーソナルソリューション事業が減収となったものの、国内IT投資の回復、ネットワーク関連や復興・防災対策の需要増などを受けて、ITソ リューション事業、キャリアネットワーク事業および社会インフラ事業が増収となったことなどによるものです。収益面では、連結営業利益は前年度に比べ 409億円改善し、1,146億円となりました。これは、売上増に加え、構造改革の着実な実行や原価率の改善、販売費および一般管理費の効率化などによる ものです。連結当期純損益は、営業利益の増加、持分法による投資損益の改善、事業構造改善費用の減少などにより、繰延税金資産の見直しなどの影響があった 前年度に比べ1,407億円改善し、304億円の利益となりました。売上高は期初計画に届きませんでしたが、収益面ではすべての主要項目で期初計画を上回 ることができました。この結果、配当金についても、期初にお約束した1株につき4円の復配を実現いたしました。

2013年3月期の業績について

「2015中期経営計画」の策定

当年度は、2010年2月に策定した中期経営計画「V2012」の最終年度でした。「V2012」では、健全な事業遂行に必要な目標として2013年3月 期の売上高4兆円、営業利益率5% 、海外売上高比率25%を設定しましたが、IT領域で海外での大型M&Aを実現できなかったことなどもあり、グローバル成長の道筋をつけることが できませんでした。当社はこの反省をふまえて、2013年4月に、2016年3月期までの3カ年の経営方針や経営目標をまとめた「2015中期経営計画」 を策定しました。

世界の人口増加や都市化率の上昇に伴い、エネルギーや食糧などへの需要拡大が見込まれています。当社はこうした世の中の動きをふまえ、人が豊かに生きるた めの安全・安心・効率的・公平な社会の実現に向けて、ICT(情報通信技術)の力で新しい社会インフラを創る「社会ソリューション事業」へ注力します。

具体的には、防災、セキュリティ、電子行政、金融インフラなどの「パブリック」、流通や物流インフラ、交通などの「エンタープライズ」、情報ネットワーク やそのサービスビジネスを含む「テレコムキャリア」の3つの顧客基盤を軸とし、これらに今後成長が期待される「スマートエネルギー」を加えた領域に経営資 源を集中していきます。当社は既に、ICTの活用により、私たちの日常生活になくてはならないインフラ、人が生きるためのインフラを提供しています。今後 は、NECグループの強みであるネットワーク、IT基盤、各種センサ・端末の技術やノウハウを軸に、グループ外の技術・ノウハウも活用し、社会の課題解決 に向けた新しい価値の創造に積極的に取り組んでいきます

こうした「社会ソリューション事業」への注力を加速し、「2015中期経営計画」を着実に遂行するため、当社は2013年4月に大規模な組織改正を行いま した。当年度までの組織体制は、当社が保有する技術やノウハウ、製品・サービスなどを起点としていましたが、これらを市場・お客さまを起点として再編し、 お客さまにとっての本質的な課題を追求して、我々のICTコアアセットを強みとした新たな価値を創造するソリューションとして提供していける体制としまし た。当社は、「社会ソリューション事業」を軸に選択と集中をより一層推し進め、企業価値の向上を目指していきます。

NECが考える新しい社会インフラ
お客さま起点の新組織体制で中期経営計画を推進

「2015中期経営計画」の実現と持続可能な発展に向けて

2014年3月期は、「2015中期経営計画」の初年度として、NECグループにとって非常に重要な1年となります。今後の日本経済は、景況感の回復を背 景に緩やかながらも堅調な推移が見込まれる一方で、欧州経済の停滞に伴う外需の伸び悩みなどに不透明感が残ります。当社を取り巻く事業環境は、国内IT投 資は回復基調にありますが、通信キャリアの設備投資は既存の領域を中心として減少が見込まれており、代わってTOMS(Telecom Operations and Management Solutions:通信運用管理ソリューション)やSDN(Software-Defined Networking)などの市場が拡大していくと考えています。さらに、社会インフラでは国内の政権交代に伴う経済財政政策が着実に進展し、スマートエ ネルギー領域でのプロジェクトの活発な動きも継続しています。

このような中、当社は「2015中期経営計画」で掲げた経営目標の実現に向けて「社会ソリューション事業」へ注力し、グローバルで戦える成長基盤の確立を 目指していきます。あわせて、「社会ソリューション事業」の遂行をとおして、世の中の社会インフラの高度化を支えるとともに社会課題の解決に貢献し、社会 価値創造型企業への変革を進めていきます。

持続可能な発展という観点では、2005年に署名した国連グローバル・コンパクト(UNGC)の枠組みに基づき「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関 わる10原則を遵守した企業活動に努めるとともに、経営戦略の一環としてダイバーシティを推進し、多様な人材がグローバルに活躍できる環境を整えていきま す。当社は「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」というビジョンの実現に向けて、ステークホルダー のみなさまの要望や期待に真摯に耳を傾け、社会の価値観の変化や課題発生の兆候を把握し、新たな価値を創出することによりみなさまから愛される企業を目指 していきます。

引き続き、みなさまのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

2013年6月署名
代表取締役 執行役員社長
遠藤信博

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