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エッジコンピューティングとは? エッジとは? わかりやすく解説します

エッジコンピューティングやエッジデバイスという言葉がよく使われるようになりました。エッジとは何かについて解説し、オンプレミスとの違いやユースケースを例にとってエッジコンピューティングについて分かりやすく解説します。

エッジとは

エッジという単語には、端、縁、へりという意味があります。ICTネットワークでは末端、つまり、これより先にはもう何もない位置をエッジと呼ぶことがあります。ネットワークを模式的に示した次の図では、赤線で囲ったネットワークカメラやスマートフォンが、このネットワークにおけるエッジに位置しています。

エッジの位置を示す図

コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)におけるエッジ

IoT(モノのインターネット)が実用化されるよりも前に、エッジという単語はインターネット上でコンテンツを世界中に配信する仕組みであるコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の領域で使われていました。

CDNにおけるエッジの位置を示す図

インターネットが高速化されて動画配信などが一般的になり、CDNの役割は重要になっています。テレビなどの電波放送と異なり、インターネットでコンテンツを配信するためにはキャッシュサーバーのネットワークが不可欠です。CDNにおける端(エッジ)は上図の赤線で囲ったエッジサーバーであり、ローカルサイトではなくインターネット側に存在します。このようにエッジは、何のネットワークの末端なのかによって位置付けや役割が異なる点を理解しておく必要があります。

IoTにおけるエッジ

IoTにおけるエッジの位置を示す図

あらゆるモノがインターネットにつながるIoTでは、モノが実在する場所がエッジです。IoTではモノをインターネットやクラウドに直接接続するのがよくある形態です。しかし、後述しますがクラウドに直接接続する形態では実現できないことがあるため、エッジデバイスの近くにエッジサーバーを配置するケースもあります。このため、エッジの範囲はIoT化対象のモノが存在するエリア全体と考えればよいでしょう。

携帯電話通信網におけるエッジ

携帯電話通信網におけるエッジの位置を示す図

携帯電話通信網では、通信キャリアのネットワークのうち、利用者からみて基地局の向こう側の最も基地局に近い位置、もしくは、基地局がエッジです。CDNとほぼ同じ位置づけですね。通信キャリア保有のインフラ設備ネットワークの末端がエッジという位置です。IoTにおけるエッジとは異なります。

エッジコンピューティングとは

エッジがどこなのかが分かれば、エッジコンピューティングとは何かは想像がついたのではないかと思います。エッジにコンピューターを設置するなどして、演算処理能力を持たせたり高めたりすることをエッジコンピューティングと呼ばれています。

CDNや携帯電話通信網では、通信量の増加に伴うレスポンス低下を防ぐためエッジサーバーを設置し、利用者からの要求に対して、センターサーバーまで行かずエッジサーバーで応えて折り返すことで対応します。最近では、動画などのコンテンツ配信だけではなく、ゲームなどのアプリケーションをエッジサーバーで動作させる試みも行われています。

IoTにおいては、初期の段階では、生産設備に設置したセンサーやウェアラブルデバイスなどで取得したデータをクラウドへ直接送信して、クラウドでデータ分析を行っていました。しかし、半導体技術の継続的な進化により、データセンターの大型コンピューターでしかできなかったような演算処理が小型コンピューターで出来るようになりました。

IoTでのエッジコンピューティングの活用例の一つとして、カメラ映像の処理が挙げられます。

カメラ映像処理のネットワーク構成図

従来のIoTでは、カメラ映像はデータ量が大きいため、クラウドに直接送信することは困難でした。そこで、エッジコンピューターで、例えば人物の認識・年齢性別推定処理を行います。そして、クラウドへは、どの時間帯にどのような属性の人物が存在したかというデータを送信し、クラウドにデータを集めて分析します。クラウドへは必要なデータだけを送ればよいのです。

エッジコンピューティングとオンプレミスの違い

IoTにおけるエッジコンピューティングでは、クラウドにデータを送信する必要がない場合は、エッジコンピューターで処理が完結します。この場合、オンプレミスとは何が違うのでしょうか。

エッジコンピューティングとオンプレミスの違いを示した図

オンプレミスとは、敷地内・建物内・社内を意味するITの用語です。クラウドコンピューティングが普及したため、クラウドを用いず自社の施設だけで情報システムを運用することを示す言葉として定着しました。クラウドコンピューティングでは、アプリケーションやデータはクラウド上にありますが、オンプレミスのシステムではアプリケーションやデータは敷地内にあります。

IoTにおけるエッジコンピューティングでも、アプリケーションやデータをエッジコンピュータに置いてクラウドを用いないケースもあります。形態としてはオンプレミスですので、IoTシステムでもITにならってオンプレミスと呼ぶこともあります。

ITでは、グループウェア、勤怠管理、財務会計など様々なアプリケーションがあり、アプリケーションごとにオンプレミスかクラウドかどちらかを選択します。これに対しIoTでは、エッジコンピューティングのみ、クラウドのみ、の構成のほかに、前項の活用例で示したように役割を分担してエッジとクラウドを連携させて処理することが適切なケースもあります。

また、人がネットワークの端末にあるPCを利用するITでは、人が利用するがゆえにレスポンス速度が即時でなくても許容されます。「遅い」「重い」などとぼやきつつも人は処理結果を待つことが出来ます。しかし、モノには待つという能力はありません。IoTでは、異常を検知したら工場ラインや無人搬送車などのモノを即時に停止させるなどの対処をしなければならない局面があります。遅延が許されない局面では、人手に頼らず運用するためにはエッジコンピューティングが最適です。

このようにITとIoTとでの背景や要件の違いに応じて、オンプレミスやエッジコンピューティングという用語が使われるようになりました。

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