サイト内の現在位置

コロナ禍で変化する生活者のニーズ
需要回復を待つより、攻めるDXを

モノからコトへ──。顧客体験が新しい価値として定着する社会において、この数年、観光業は順調に成長してきた。多くの企業が、仮想現実をはじめ、既にさまざまなデジタル活用を進めている。コロナ禍によって需要が大きく落ち込む中で、先進的な企業は、次に求められる旅行の在り方をどのように再定義しデジタル活用を加速しようとしているのか。観光業の経験が豊富なリードコンサルタント棈木 琢己に聞いた。

旅行需要の変化を見据えて変革を開始

──あらゆる業界でDXが進んでいます。特に新型コロナウイルスの影響が大きな観光業界はデジタルに対する期待が大きいそうですね。

NEC
デジタルビジネスプラットフォームユニット
戦略コンサルティングオフィス
エグゼクティブコンサルタント
棈木 琢己

はい。期待が高まると同時にさまざまなデジタル活用が進んでいます。そのことを紹介する前に、まずは観光業界の状況を確認しましょう。

非対面、非接触、混雑、移動の回避や制限が中心となった新型コロナウイルスの感染拡大対策は、観光業に大きなダメージを与えました。数年来、観光業に大きな収益をもたらした外国人観光客は当然激減し、日本人観光客の国内旅行消費額もピーク時にはマイナス50%にまで減少しています。

ただ、政府主導のキャンペーンに申し込みが集まったことからもわかるように、多くの人が旅行への関心を失ったのではなく、いわば我慢している状態です。潜在的に旅行に行きたいと考えている人は少なくありません。調査を見ても、心配のない状況になれば再び旅行に行きたいと多くの人が答えています。

まずは、低感染エリア同士の地域間に限定し、比較的自由な行き来を可能にする「トラベルバブル」、自宅近くでの旅行を楽しむ「マイクロツーリズム」を経て、需要は確実に回復していくと考えられます。

──観光業は需要の回復を待っている状態ということでしょうか。

もちろん、待っているだけではいけません。コロナ禍を機に、顧客が求めるニーズは変化しつつあるからです。既に先進的な企業は、withコロナ、afterコロナに求められる旅行について再定義し、そのために必要な対策を検討しています。主要な旅行会社の経営層の発言を見ても、そのことは明らかです。量の旅行から質の旅行への転換、ワーケーション(ワークとバケーションからなる造語)需要の高まり、周遊型の旅行から長期滞在型の旅行へのシフトなどといった言葉で目的や目的地の多様化、その瞬間にしかできない体験価値の提供、個々の顧客の嗜好に合わせてカスタマイズした旅行による少量・多数の顧客の獲得など、旅行の変化に触れています。そして、リアルとデジタルを融合した顧客やパートナーとのエンゲージメント強化、デジタルを活用したパーソナライゼーションなど、そのための新しい施策について言及しています(図1)。

図1 旅行に求めるニーズの変化
目的、求める価値など顧客が旅行に求めるものが変化。観光業界は、カスタマイズなどで、それに対応していく

デジタルの力で感動をもっと大きく

──新しい施策を実施していく上で、デジタルが欠かせない役割を担うのですね。具体的に、デジタルによって、どのようなことが実現するのでしょうか。

今後デジタルは、求められるホスピタリティを実現する重要なカギを握ります。

地域の歴史や文化、自然を経験・体験してもらい、感動を提供すること。相手が求めていることを機敏に察して、想像以上、期待以上のサービスを提供するという観光業のホスピタリティや、おもてなし自体は、これからも変わりません。しかし、デジタル技術やメディアを活用してコンテンツやサービスを実現することで、観光客の経験や体験、感動はさらに大きなものにできます。

もともと、観光業界はDXに対する期待が大きく、コロナ禍以前から、さまざまなデジタル活用が進んでいました。チャットボットによるレコメンドサービス、リッチなコンテンツで観光地での体験や交通をサポートするアプリなどです(図2)。

zoom拡大する
図2 観光業界のデジタル活用事例
観光業界のさまざまな局面で、デジタル活用が進んでいる

中でも、場所の制約をなくすことができるVRなどのxR技術による仮想現実に期待は大きく、予約前にホテルの客室や現地でのアクティビティ、現地の匂いや空気などを疑似体験するサービス、さらには、離れた人同士が一緒に旅行をしているような体験を提供するサービスなどが登場しています。例えば、急に旅行に行けなくなった友人とも体験を共有して、バーチャルに旅行を楽しめるのです。これからの技術の進展を待つ必要がありますが、極端にいえば、現地に行かなくとも旅行体験が行える。仮想現実には、大きな可能性があります。

また、仮想現実は、場所だけでなく時間も飛び越えることができます。過去の人物の体験やできごとを仮想空間で追体験できるからです。

ほかにも、風景にエンターテインメントな演出を施したコンテンツを開発するなど、さまざまなことが考えられます。現在の取り組みを加速させて、デジタルの力でさまざまなアイデアを具現化していくことで、より大きな感動を提供できるのです。

デジタルで危機を克服し、次の成長への確かな一歩を踏み出す

──今後の観光業の展望をお聞かせください。

モノよりコト、顧客体験中心の価値消費が中心の市場にあって、観光業は大きな成長余地を持つ業界の1つです。実際、新型コロナウイルスの感染が拡大する直前まで、観光需要は世界的に成長を続けてきました。文化の健全、破壊の保護、平和と安全、雇用、経済など、担っているものも非常に大きく、観光業は、あらゆる国にとって重要な産業です。コロナ禍という未曾有の出来事が、観光業界全体に大きなダメージを残していますが、ぜひデジタルの力を使って危機を克服し、次の成長への確かな一歩を踏み出していただきたい。

NECも、自然や遺跡、そこに伝わる伝統や物語など、各地域の観光資源を活用したコンセプトをつくって、それを広く発信したり、その魅力を最大限に活かすためのデジタル技術を提供したりしながら、幅広い支援で取り組みを支えていきます。

お客様におけるDX実現に役立つ「かんたんDX度診断」やDX関連資料をご用意していますので、ぜひ下記よりご覧ください。また、DXに関してお困りの点、ご不明点などがございましたら「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

関連情報

あなたの組織のDX度が分かる「かんたんDX度診断」はこちら

DX関連の資料ダウンロード、お問い合わせはこちら

資料ダウンロード・お問い合わせ