サイト内の現在位置

東京電力パワーグリッド様

DXコンサルティング事例(業務変革にむけた構想策定)

目指すのは前例にとらわれないゼロベースの業務変革
先端テクノロジーの活用を見据えた構想策定

業種:
  • 電力・エネルギー
業務:
  • 設計・開発・製造
  • その他業務
ソリューション・サービス:
  • サービス/コンサルティングサービス

事例の詳細

東京電力パワーグリッド様は、現在、デジタル技術の活用を見据えた業務変革を目指しています。対象となった業務の1つが配電業務です。紙文書を用いた作業依頼が多く業務プロセスが複雑、ベテランの経験頼みで将来が不安といった課題をクリアするために、将来を見据えて業務の「ありたい姿」を描きました。その構想策定をサポートしたのがNECです。

およそ200万件もの工事情報を紙で管理。アナログで属人的な配電業務

私たちの社会に欠かせないエネルギー。東京電力グループ様は「安心で快適なくらしのためエネルギーの未来を切り拓く」をミッションに掲げ、個人や企業に電気とガスを供給しています。

このうち、電柱や電線などの設備を通じて電気を届ける送配電事業を担っているのが東京電力パワーグリッド様です。首都圏を中心とする地域に電力を供給しているということもあり、同社の電力供給量は日本全体の約3分の1にも及ぶといいます。

その東京電力パワーグリッド様が目指しているのがデジタル技術の活用を見据えた業務変革です。

東京電力パワーグリッド株式会社
技術・業務革新推進室
次世代販工開発グループ
マネージャー
(2023年9月時点)
宮本 英明 氏

「業務プロセスが複雑で担当者の負荷が高い。人手に頼る部分が大きい一方で、今後の人材確保に懸念があるなど、多くの業務が何らかの課題を抱えています。品質の高い電気をできるだけ低コストで安定的に供給するためにも、これらの業務を変革していかなければなりません」と東京電力パワーグリッドの宮本 英明氏は言います。

配電業務が変革の対象となった業務です。

「住宅やマンションの新築などに伴って電気供給の依頼を受ける。利用開始希望時期を軸に工事のスケジュールを立てる。現況を把握し、どこから、どのように電気を供給するかを検討し、設計書を書く。工事を行う協力会社に依頼する。実際に工事を行う。また、老朽化などによるトラブルを未然に防ぐために電柱や電線の保守管理を行う。これらが配電業務の内容です。1年に約200万件の工事を行っています。最も課題だと感じていたのが紙に依存した業務だということです。工事を受け付けた後、受付用紙の束が各地域の責任者にまとめて渡る。責任者は、その束を確認し、各担当者に案件を割り振る。その後も図面や工事依頼書などの紙がバケツリレーのように関係者の間を行き来していきます。これでは紙のコストがかかるし、情報伝達にも時間がかかる。また、スケジュール変更のような情報を簡易に処理することができず、システム登録の手間が発生し、調整に時間がかかったりすることになります」と同社の江野 朋尚氏は言います。

また、属人的な作業は、ノウハウの継承が困難なことも課題でした。工事現場の地理的な条件や内容を踏まえ、どのようなルートで工事計画を組むか。また、天候の変化や、突然発生したトラブルに対応しながら、いかに遅延なくスケジュールを調整するか。このような計画・管理業務は、経験を積んだベテランの担当者に大きく頼っていました。そのノウハウをすべて継承するのは困難。それに代わる方法が求められていたのです。

上流の構想策定からSIまでをトータルに支援

東京電力パワーグリッド株式会社
調達室
配電・通信設備第一調達グループ
副主任
(2023年9月時点)
江野 朋尚 氏

配電業務を変革するために、まず同社は構想の策定に十分な時間を割くことにしました。同社が目指すのは、既存業務のシステム化ではなく業務の変革。「どんなシステムをつくるか」や「AIを使って何ができるか」などに目を向けるのではなく、「そもそも配電業務はどうあるべきか」についていま一度議論することが重要と考えたからです。

構想策定のパートナーにはNECを選択しました。

「業務を根本から変革するために外部の客観的な視点を取り入れたいと考えました。同時に声をかけたほかの企業は既存業務を効率化するシステム化の提案でしたが、NECは私たちの思いをくみ、課題設定やロードマップ策定などを中心に配電業務がこれからどうありたいかの提案を行ってくれました。それを評価しました」と宮本氏は言います。

また江野氏は「構想を策定した後、実際にデジタル技術を適用する場面が来た時もNECなら共に構想の実現に取り組むことができる。コンサルティングからシステム開発まで、一貫して対応できることも選定を後押ししました」と続けます。

1つのシステムに情報を集約しすべてのプロセスで共有

配電業務の変革をリードする中心メンバーとNECとの協働で、業務変革にむけて先端テクノロジーの活用検討セッションを実施し、検討を進めました。「このプロセスは本当に必要か」「今後も人がやるべき仕事、テクノロジーに置き換えることができる業務は何か」など、多様な議論を積み重ね配電業務の「ありたい姿」をゼロベースで描いていきました。

「工事の受付から設計、計画、依頼、工事、日々の保守管理まで、配電業務のすべてのプロセスで、誰もが同一のシステムにアクセスして、同じデータを参照しながら協調して業務を行う。そして人が行う作業は限りなく少なくする。これからの配電業務の「ありたい姿」を策定しました。紙ではなくPCやモバイルを通じて情報を見ることになるため、情報のレイアウト方法も変えるべきと考えています。ベテランの担当者頼みだった計画・調整業務については、将来的には量子コンピュータなどの先端テクノロジーを使って最適な計画をレコメンドする方法に置き換えられると考えています」と江野氏は策定した構想を紹介します。

同社は約5カ月をかけて検討を重ねましたが、その間のNECの対応を高く評価しています。「相談したらすぐに回答がくる。まず、意思決定のスピードの早さに驚きました。また、何度もNEC自身が現場に出向いてヒアリングを行い、ギャップを把握しながら検討内容のブラッシュアップを重ね、改革にむけたロードマップを策定しました。その姿からは、実現可能な構想を描くのだという強い思いを感じました」と宮本氏は強調します。

今後、同社は構想を基にPoC(概念検証)を進めたり、プロトタイプとなるシステムを構築したりしながら、配電業務の変革をさらに推し進めていく構えです。「実際に技術を適用していく段階になれば、次はNECの持つ技術力が活きるはず。先端テクノロジーを有効活用した提案を大いに期待しています」と宮本氏は述べました。

zoom拡大する
NECの支援内容、戦略・構想策定のイメージ

NECならではの強みで今後のお客様の変革を継続的にサポート

NEC
デジタルプラットフォームビジネスユニット
コンサルティングサービス事業部門
ディレクター
武田 一也
NEC
デジタルプラットフォームビジネスユニット
コンサルティングサービス事業部門
プロフェッショナル
田中 大助

東京電力パワーグリッド様からも期待いただいたように、コンサルティング、テクノロジー、そしてシステムインテグレーションまでをワンストップで提供できるのがNECの強みです。長年、蓄積してきた技術力に、近年、積極的に拡充してきたコンサルティング人材のノウハウが融合し、ほかにはない独自の価値を提供していると自負しています。

今回も配電業務の課題を抽出し、これからの業務の「ありたい姿」を描くだけでなく、業務の属人性を解消するために量子コンピュータを活用するなど、適切なデジタル活用のアイデアを提案しました。条件の組み合わせが複雑かつ膨大になるとAI(人工知能)やスーパーコンピュータを使っても計算に時間がかかってしまい、業務に適用することが難しくなります。それに対して、実用化が進み始めた量子コンピュータなら、複雑な計算も瞬時に処理し、最適な工事計画をレコメンドすることができます。システムがレコメンドし、人が判断する。この組み合わせでベテランの経験に匹敵する業務品質を担保したいと考えました。

「例えば、私たちが重要だと考えている設計業務は本当に必要なのか。そのレベルで業務を見直したい」。東京電力パワーグリッド様から、そう声をかけられ、今回の業務変革に対する強い思いをひしひしと感じました。NECは、コンサル力と技術力で、これからも、その思いに応え続けていきます。

お客様プロフィール

東京電力パワーグリッド株式会社

本社所在地 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
資本金 800億円
概要 一般送配電事業、不動産賃貸事業および離島における発電事業を展開。低廉で高品質な電気を顧客に供給し続け、顧客や社会から必要とされる企業を目指す。
URL new windowhttps://www.tepco.co.jp/pg/

東京電力パワーグリッド株式会社様

この事例の製品・ソリューション


関連資料ダウンロード

NECのDXの紹介資料/事例集をダウンロードいただけます。

本事例に関するお問い合わせはこちらから

(2023年9月25日)

関連事例

Now Loading