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NECグループが実践する働き方
緊急事態宣言で6万人が一斉にテレワークへ移行
~これまでの道のりと今後のNew Normal時代にむけて~

世界中に影響を及ぼした新型コロナウイルス感染症は、NECグループの働き方やマインドに不可逆的な影響を与えました。2020年4月7日、政府が発令した緊急事態宣言を受けて、NECグループではパートナー企業の社員も含め6万人以上の社員がテレワークに移行しました。

もともとNECグループは、2020年夏の国際的イベントの混雑緩和に向け、2017年から働き方改革を推進し、テレワーク導入の整備を進めていました。緊急事態宣言発令中及び解除後も安定した事業継続を実現しています。NECグループのテレワーク導入への取り組みや社員のマインド変化などについて、テレワークを推進する主要メンバーに話を聞きました。

トップダウンの意思決定で一斉にテレワークへ移行

NEC
カルチャー変革本部
シニアエキスパート
宗 由利子

──テレワークの取り組みの中での皆さんの役割を教えてください。

:NECグループでは、弊社が社会から選ばれ続ける会社として成長を続け、また社員一人ひとりにとっても、ここで働くことで能力を最大限に発揮して、自分の成長や幸せを実感できる魅力的な企業でありたいと考え、働き方の改革を進めています。
このような働き方改革の方針を考え、関係部門とともに具体的な施策を立て実行しています。本日のテーマであるテレワークについても、政府の「テレワーク・デイズ」等のイベントも活用しながら、グループ全社での取り組みを進めてきました。

坂本:オフィス改革を担当しています。実際にフロアのリニューアルを推進するとともにテレワークを含めたさまざまな働き方によって、会社のワークプレイスはどうあるべきかなど、方針を取りまとめています。

本泉:NECグループのIT部門でテレワークを支えるために必須となるITインフラの企画、構築、運用を担当してきました。

槙野:NECグループの災害対策・事業継続を担当しています。新型コロナウイルス感染症に関しては、NEC中央事業継続対策本部の事務局を務め、感染予防・感染拡大防止のための会社としての方針を決定し、全社員に周知徹底しています。

NEC
人事総務部
エキスパート
槙野 圭祐

──どのようにして、一斉にテレワークへ移行する意思決定が下されたのですか。

槙野:4月6日に政府が翌日にも緊急事態宣言を出す見込みとなったことを受け、4月7日早朝に社長以下各ビジネスユニット長を招集してWEB会議を実施し、その場で意思決定しました。具体的には緊急事態宣言の対象地域(当初は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県。その後全国に対象を拡大)に「在宅で対応可能な業務は全て在宅勤務で行う」との指示を全社員に出しました。

:社会インフラの維持に必要な業務、コンプライアンス上どうしても必要な業務などで出社しなければならない社員もいましたが、結果として、NECグループでは、パートナー企業の社員も含め6万人以上がテレワークに移行しました。

トライアルを積み重ねて培ったテレワークのノウハウ

──大規模な人数が一斉にテレワークに移行できたポイントは何でしょうか。

:2017年から、政府が主催する「テレワーク・デイズ」に参加しながら、テレワークの実践を参加者を順次拡大しながら進めてきました。もともとは2020年夏の国際的イベント開催期間中の、首都圏の混雑解消を狙った取り組みでした。

2019年の夏には、社員が1週間連続のテレワークに挑戦しました。1週間出社せずに働くというトライアルです。全社員を対象に4週間にわたり交替でテレワークを実施し、グループ全体で約4万1000人、NEC単独では全従業員の8割以上にあたる約1万6000人が参加しました。

そして、2020年の2月20日には、全社員が同じ日に一斉にテレワークを実施する取り組みを行いました。誰も出社しない状態で業務を継続するというトライアルです。全社員がリモートから会社のイントラネットに一斉アクセスした時の負荷検証等テレワークを支える環境も検証しました。この時もグループ全社で約4万1000人、NEC単独では約1万6000人が参加しています。

2月には新型コロナウイルス感染症の拡大が始まっており、「パンデミックになるのでは」という声も出始めていたタイミングでした。そのような危機感がある中で、こうしたテレワークの検証を行った経験があったからこそ、一斉テレワークにスムーズに移行することができました。

槙野:災害対策の面で補足すると、2月から全社員に対して在宅勤務を推奨してきました。また3月下旬には緊急事態宣言が出ることを想定して関係部門とも調整の上、全社テレワークの準備を進めました。そうした対策もあり、結果的に大きな混乱は起きずに事業継続ができました。

これまでにテレワークのトライアルを複数回実施

見えてきた課題と社員のマインド変化

──今までのトライアルを通して、具体的にどのような課題がありましたか?

:テレワークのトライアルを積み重ねる中で、テレワークに必要なIT環境の職場ごとの整備状況が明らかになり、環境整備を加速するという意味で良い機会になったと思います。

また、2019年の「テレワーク・デイズ」実施後のアンケートでは「リモート会議の使い方に慣れなければならないと思った」という意見が多くありました。日常的にリモート会議などのツールを使いこなしていないと、今回の緊急事態宣言のように一斉にテレワークに突入した時に生産性を大きく損なうことになります。トライアルを通して社員一人ひとりがこうしたツールを使いこなす必要性を実感し、日常業務の中で実践してきたことは、緊急事態宣言後も生産性を維持しながらテレワークへ移行できた要因であると感じています。

一方、このような実践の継続は、テレワークという働き方における組織やチームのマネジメントにおいても役立っています。2018年の「テレワーク・デイズ」でのアンケートを見ると「見えない所にいる部下がちゃんと仕事をしているか不安」という意見や、一方で部下の立場から「仕事をしていることを伝えるために頻繁にメールをした」といったコメントがありました。こうした不安に関しても、テレワークの実践を繰り返して、チームマネジメントのあり方や信頼の醸成を実体験しながら解消していきました。

オフィスとテレワークが等価値になる

──テレワークの浸透には、トライアルが重要だったのですね。

:はい。テレワークの浸透には、積み重ねをしていくことがとても有効だと言えます。

NEC
人事総務部
シニアマネージャー
坂本 俊一

坂本:ただ、今までのトライアルでは、“基本テレワークのみで業務を完結する”という感覚ではなかったと思います。
基本はオフィスへの出勤で、選択肢としてテレワークがあるという感覚でしょうか。それが今回、緊急事態宣言を経験して大きく変化しました。テレワークのみでも多くのことができるという気付きによって、今ではオフィスとテレワークが等価値になってきていると感じます。最近のアンケートでは、今後の出社に対する意識について「毎日出社したい」と考える人の割合が大きく減っており、一方で「基本出社しない」「1日から3日程度の出社」がマジョリティになるなど、社員の意識、感覚が根本から大きく変わっていると感じています。

障壁となったのは、ハンコや電話対応

──テレワークのトライアルを積み重ねる中で、最後まで残った障壁は?

:いろいろな課題があぶり出された中で、ハンコ問題、電話対応問題も大きなハードルでした。1週間連続して会社に行かないと、ハンコが必要な承認が得られず、業務が進捗しない。部門の代表電話に対応するため、誰かが電話当番で出社しなければならない、など、ハンコや電話はテレワークの阻害要因なので、これも対応を進めていました。

──ハンコ問題、電話対応問題はどのように解消したのですか?

:電話は全社員にスマートフォンを貸与しました。社員同士の連絡はもちろん、名刺に携帯番号を入れて、お客さまからもスマートフォンにかけていただくようにしています。ハンコについては、社内システムを使って、できるかぎり承認を電子化するように改革を進めています。

安定した事業継続を支えるテレワーク環境

NEC
経営システム本部
マネージャー
本泉 俊一

──安全・安心なテレワーク環境のシステム構築のポイントは。

本泉:「テレワーク・デイズ」というマイルストーンごとにデバイスの配布と、リモートアクセスの増強を行ってきました。

2017年以前は、シンクライアント端末、仮想デスクトップ、スマートフォンが行き渡っていない従業員が多くいました。また、全国に拠点があるため、各部門のサポートメンバーや社外パートナーと連携しながら複数年かけて配布を進めてきました。

リモートアクセス環境は、従来はオンプレミスのゲートウェイサーバで運用していましたが、2018年のテレワーク・デイズの際、早朝からリモートアクセスが繋がらない問題が発生しました。オンプレミスのゲートウェイサーバにアクセスが集中し、想定以上の負荷がかかったためです。突発的な負荷増大へ対応するために、システム構造を抜本的に見直しオンプレミスとクラウドのハイブリッド構成を採用しました。その結果、2019年には、5万人の同時利用も可能であることを実証することが出来ました。

これで国際的イベント開催期間も乗り切れると思っていたところに、想定外の新型コロナウイルス感染症問題が発生しました。派遣社員、NECの事業所内で作業頂いている請負業者社員、お客様先に常駐で働いている社員等も含め、6万人以上の大規模な人数に対して、安定して事業継続できる環境を提供する必要に迫られました。ここでクラウドを活用した構成が生き、短期間でのサーバリソースの増強により、突発的なユーザ増にも安定したリモートアクセス環境を提供することが出来ました。

槙野:新型コロナウイルス感染症は有無を言わせない出来事でした。任意や選択ではなく、会社に出社できない。テレワークができなければ、仕事ができない。もう生きるか死ぬかと同じ問題でしたので、インフラ整備の面でもNECグループの底力が発揮されたと思っています。
テレワーク実施後のアンケートでは、不安だった社員からも「意外とできた」という声が多かった印象です。「問題が発生しないことに驚いた」という声もありました。それまで思い込みで、テレワークは難しくて不便だと二の足を踏んでいた社員の背中を押せたところもあったと思います。

New Normalの働き方とITの次のステップ

──今後も新型コロナウイルス感染症の流行の第2波が懸念されています。

槙野:緊急事態宣言は5月末で解除されましたが、「在宅で対応可能な業務は全て在宅勤務で行う」という指示はそのまま継続しています。同時に出社が必要な業務に対してのオフィス環境の対策も講じています。例えば、感染拡大防止対策や3密回避対策としてオフィスにおける一定の座席間隔確保、パーテション設置、食堂など共用部分の席数の間引き、エレベータの乗車人数制限、各所への消毒液の設置、会議室については利用人数や使用時間を制限するなどの取り組みを行っています。

新型コロナウイルスに関しては、ワクチンや治療薬が確立されるまではこうした対応を続けます。また、予防法や治療法が確立されたとしても、こうしたNew Normal時代の働き方を継続して成果を出していく考えです。

:NECグループとしては、社員やその家族の心身の安全・安心を何よりも優先していきます。そのためにも、こうした対応を継続します。その上で、今後はテレワークを軸としながら、業務効率やお客さま対応、チームの連携等を考慮して、オンサイトとリモートを適宜組み合わせる働き方を実践していきます。お客さまに対しても、IT活用したコミュニケーションや仕事の進め方を、私たちからご提案し、一緒にNew Normal時代の働き方を実現していければと思っています。

本泉:今後、テレワークが基本になる働き方において、マネジメントのあり方も大きく変わっていくでしょう。その時に必要なITとは何か、がITの次の取り組むべきステップになっています。例えば、在宅での勤務実態やタスク進捗の把握、社員の健康状態の把握など、どのようにマネジメントしていくのか。これらをITで解決していくことが重要だと考えています。

坂本:在宅勤務でも多くのことができることを知った今日、もはや仕事のあり方が「出社ありき」ではなくなっています。これからはオフィスとテレワークのどちらがメインかということではなく、それぞれの役割に応じて最適な場所を選んでいくようになると考えています。NECグループは職種の幅も広いいので、それぞれにオフィスが果たす役割も違いますし、出社に対する考え方も異なります。そういった多様性に対して、それぞれに最適な場所を提供していくということが今後より重要になってくると考えています。

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