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イノベーション・マネジメント

NECは、「あくなきイノベーションの追求」をPrinciplesに掲げています。ここでいう“イノベーション”とは、いわゆる技術革新にとどまらず、社会価値の創出により社会課題解決に貢献することを指しています。NECはバリューチェーン全体での革新をマネジメントするだけでなく、技術力の強化と展開、事業化に向けた取り組みによって、 社会価値提供に努めています。

取り組み方針

NECでは、CTO(チーフテクノロジーオフィサー)のもとで、社会価値創造の次なる成長に向けた技術戦略を策定し、売上収益の4%程度を継続的に研究開発費にあてるとともに、NECが有するNo.1/Only 1のコア技術へ集中投資しています。

また、開発した技術を早期に社外に展開し、顧客/スタートアップ/ベンチャーキャピタルの技術や資金を取り込むことで、R&Dのスピードを向上し、インバウンド/アウトバウンド融合型のオープンイノベーションを促す“エコシステム型R&D”を推進しています。

加えて、R&Dの成果をベースとする共通技術のパッケージ化や、既存ビジネスの枠組みを超えた技術の事業化、グローバルなオープンイノベーションを積極的に推進し、競争力のある技術のマネタイズの加速に取り組んでいます。

NECの最新技術を核にしたエコシステム型R&D

NEC技術を早期に社外展開し、顧客/スタートアップ/ベンチャーキャピタルの技術や資金を取り込み、R&Dのスピードを向上。インバウンド/アウトバウンド融合型のオープンイノベーション。

戦略

知的財産を含む技術開発および事業開発については、それぞれ次の戦略で取り組んでいます。

技術開発戦略

NECでは、CTOが技術開発全体に責任を持ち、開発投資の全社最適化と、オープンイノベーション戦略の立案やプロセスデザインの策定を進めています。

これらの技術開発の源泉となる研究開発は、SDGsなどで示されている社会課題に対して取り組むべきソリューションを絞り込み、その実現に必要な技術アセットを効率的かつ早期に揃え、いち早く価値を社会に届けることを基本方針としています。この技術アセットには、技術トレンドをふまえながら徹底的に磨き上げたNECのNo.1/Only 1のコア技術だけでなく、外部から積極的に取り込んだ優秀な技術も含んでいます。

研究開発投資は売上収益の4%程度とし、これを効果的かつ効率よく活用するために、注力領域への集中投資や、外部の研究機関などとの連携にも投資しています。2020年度の研究開発費は、売上収益比3.8%でした。

研究開発費

研究開発費のグラフ
対象範囲:NECグループ

強みのある技術領域への集中投資

集中投資を行っている技術領域は、データサイエンスと、ICTプラットフォームの2領域です。当社は、同領域において独自性や競争優位性のある技術アセットを数多く有しており、これらを継続的に強化することで、社会ソリューション事業の競争力を強化しています。

データサイエンス領域では、人と協調して複雑で高度な判断を支援するAI、高度な実世界認識に取り組んでいます。同時に、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のDXに貢献し、安全・安心なデータ流通を担保するデータ共通基盤の研究開発を進めています。

ICTプラットフォーム領域では、コンピューティングやネットワーキング分野、セキュリティの分野において、DXの深化に対応する革新的なネットワーク技術やセンサ・コンピューティング技術などを発展させることにより、 即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発を進めています。

さらに、強みのある技術領域への集中投資の一環として、最先端AI技術群のブランド「NEC the WISE」と生体認証製品ブランド「Bio-IDiom」を継続して強化しています。

「NEC the WISE」には、NECが誇る数々のAI技術を「賢者」に例え、人とさまざまなAI技術、つまり「賢者たち」が協調しながら、複雑化・高度化する社会課題を高度な英知で解決していくという思いが込められています。

NECは、世界No.1の顔認証、指紋・掌紋認証、虹彩認証をはじめ、指静脈認証、声認証、耳音響認証という6つの生体認証技術を有しています。「Bio-IDiom」は、NECが展開するすべての生体認証を総称する商品ブランドです。複数の生体認証技術を組み合わせることで、個人認証のさらなる高精度化と利便性向上を実現するマルチモーダル生体認証は、NECの強みの1つとなっています。

これらAI、映像分析技術と、生体認証技術を組み合わせることでも、まったく新しい社会価値やユーザーエクスペリエンスを提供できると自負しています。今後も、世界トップクラスの生体認証技術とAI技術に集中投資していきます。

標準化戦略

NECは、ビジネスチャンスの拡大を図るため、AIなど先進技術の社会受容性を高めることに役立つ標準化活動を戦略的に行っています。また、ビジネスをより強固にするため、標準化関連特許の強化や活用を推進しています。

知的財産戦略

NECは、知的財産をNECグループの事業競争力や事業安定性、さらにはお客さまとの共創に資する重要な経営資源と位置づけています。特許権やノウハウはもとより、グローバルブランドを支える意匠権や商標権の強化と保護を推進しています。

社会価値を創造し発展させていくために、知的財産権による参入障壁の構築や競争優位性の担保だけでなく、お客さまやパートナーとの連携を強化し、守るための知的財産網の構築や活用も進めています。

なお、2021年3月現在、国内外合わせて約46,000件(うち、国内約21,000件)の特許を保有しています。

事業開発戦略

既存ビジネスの枠組みを超えた新たなビジネスモデルへの変革や自社コア技術の事業化を推進しています。

社会課題起点・自社コア技術起点・先端ビジネスモデル導入の3つの起点で、課題仮説を立案し、現地現物での検証によるビジネスモデル化を推進することで、新たなビジネスモデルを具体化し、高い社会価値・持続的成長を実現するための事業開発に取り組んでいきます。

これらの取り組みの中で、自社内での事業立ち上げだけでなく、ジョイントベンチャー、スピンアウト/カーブアウトなど、多様なスキームでの事業開発活動を推進しています。

社会課題起点

社内外のステークホルダーと連携し、SDGsをはじめとした長期的な観点でメガトレンドを洞察し、想定される未来からNECとして取り組むべき事業領域仮説をDesigns of the Futureとして導出(Future-casting)し、社内アセットの再構成および社外アセットの取り込みによる将来事業創出を図っています。

自社コア技術起点

NECの新事業にコアコンピタンスをもたらす可能性がある技術をもとに、事業化スキームが未確立な新ビジネスモデル領域に対し、これまでの社内の常識にとらわれない事業開発アプローチを駆使し、社会価値の高い事業、将来のコアとなる事業を迅速に創出します。

先端ビジネスモデル導入

NECの既存ポートフォリオでは十分に価値提供できていないお客さまの課題に対し、ベンチャー企業などで生み出された先端ビジネスモデルを組み入れることでポートフォリオを補完し、また、NEC自身のビジネスモデル変革を推進します。

2020年10月に米国の投資ファンドで、米国を中心に60社以上のソフトウェア企業を傘下に持ち、世界中で2億件以上のSaaS型サービスを提供しているVista Equity Partners Management, LLC(以下、Vista社)と、日本国内向けにSaaS事業を展開するSaaSpresto(株)を共同で設立しました。

SaaSpresto(株)は、NECのDXへの取り組みの1つとして設立されており、Vista社傘下の企業が持つ、実績のあるさまざまな業種特化/業種共通の高品質なクラウドサービスを日本市場にSaaS型で提供し、より多くのお客さまのDXを加速させることを目的としています。また、米国をはじめ世界各国での知見をもとに、日本のお客さまでは顕在化していないニーズに対して先行的にサービスを提供し、お客さまの課題解決に貢献します。

個人と社会の視点に立った「ソーシャルバリューデザイン®

新たな社会価値を創造するためには、企業や国・自治体などの観点から、都市のビジョンづくりなど将来の社会のあるべき姿を描く必要があります。このようなニーズに対応するためには、「個人の視点」に加えて「社会の視点」に立ってシステムやサービスの価値を高める考え方が不可欠です。NECでは、この考え方を「ソーシャルバリューデザイン」として新しい製品・サービスの企画や開発に取り入れ、イノベーションの創出に取り組んでいます。

推進体制

NECは、技術開発投資の全体最適化と社外とのコラボレーション戦略の立案などを事業戦略とリンクさせて、全社視点で遂行するためにCTOを設置しています。そして、CTOのもとに、各ビジネスユニットや中央研究所と連携して技術開発戦略を検討・推進する技術開発推進体制を設置しています。

2021年4月に、「研究・開発ユニット」と「ビジネスイノベーションユニット」を統合し、「グローバルイノベーションユニット」を新設しました。「研究・開発ユニット」の持つ研究開発力やエンジニアリング力と「ビジネスイノベーションユニット」が培ってきた事業開発力を統合し、保有技術の事業化を一層加速させ、インフラ系コア技術の横展開によるシナジー創出を促進していきます。

また、技術を早期に社外展開し、社外パートナーを取り込んでR&Dを加速する取り組みを進めています。NECの人材と技術を核に、米国シリコンバレーのエコシステムの中でオープンイノベーションによる事業化を推進するNEC X社を設立したほか、共創型R&Dにより新事業創出を加速するBIRD INITIATIVE(株)を異業種6社で設立するなど、価値創造・新事業開発を加速しています。

さらに、他ユニットと連携し、コア技術を活かして、社会価値創造に向けた事業化の加速にも取り組んでいます。

グローバルイノベーションユニット
~社会の核心をリードする闊達なる新結合の場~

グローバルイノベーションユニットは、R&Dと事業開発が一体となり革新的なビジネス開発に取り組み、既成概念の枠を超えた多彩な知の新結合によって世界を舞台に新たな社会価値を創出します。

そしてこれらを発信し続けることで共感を生み出し、未来を拓く技術の社会実装を着実に進めます。

グローバルな社会価値創造を目指す研究開発拠点

グローバルな利点を活かしたNo.1/Only 1の技術創出と、先進国・新興国市場双方への社会ソリューション創出を目指して、下図のように、日本、北米、欧州、中国、インド、イスラエル、シンガポールに研究開発拠点を設置しています。

知的財産力の強化を担う知的財産本部

グローバル事業の拡大に向けて、北米、欧州および中国に知的財産センターを構え、知的財産網を構築しています。また、社会ソリューション事業の領域では、NECグループ横断的な戦略的特許プロジェクトを展開することで、強い特許や活用される特許を獲得し、これを核にしたビジネス全体を包含する知的財産網の構築を推進しています。グローバルブランドの強化や保護という面でも、NECのブランドステートメントの発信や適切な権利保護を確実に行っています。

人材開発・育成

イノベーション・マネジメントを推進する源泉は人材であると考えています。

NECでは、十分な活躍の機会と報酬の提供をとおして、トップ研究者の獲得を進めており、2015年からは報酬上限のない主席研究員ポストを設置しました。2019年には、非管理職に報酬上限のない「選択制研究職プロフェッショナル制度」を導入し、トップレベルの研究開発人材の獲得・育成に取り組んでいます。

また、「ものづくり」から「ことづくり」へと変化していく中、当社の核となる技術を新事業創出へとつなげる人材の育成にも積極的に取り組んでいます。

2020年4月には、技術・研究以外の特定の領域において高度な専門的知見・能力を有し、社内外に影響力を発揮することで当社の事業に貢献する人材について、役員級のプロフェッショナルとして新たに「コーポレート・エグゼクティブ」に任用しています。

コア技術を社会価値創出につなげる人材の育成

社会ソリューション事業を創出するためには、特定のコア技術だけでなく、横断的で多彩なドメインの知識と事業マインドを持った研究者の育成や強化が必要です。新たな価値創造への視野を広げるために、グローバル人材の育成強化、ドメイン専門家の採用強化、および事業マインドを持った事業牽引人材の育成に取り組んでいます。グローバルな先進課題に取り組む人材の強化を目的に、研究者の7割をグローバル業務経験者とする施策を進めています。

また、社会ソリューション事業の創出に向けて、特定の技術の専門知識だけでなく、それらを取りまとめて社会に価値を提供する、社会課題のドメインに対する幅広い知識が必要であることから、経験者の中途採用も強化・加速させています。

社内の人材についても、事業部門と研究部門の人材交流をとおして事業化推進力を強化し、社会ソリューション事業の早期実現を目指しています。特に、AI技術およびセキュリティ技術においては、トップ技術者による人材研修や、人材交流によるプロジェクトリーダー・技術アーキテクト人材の育成により、事業推進力を強化しています。2021年度からはグローバルイノベーションユニットとして、技術と社会課題の両視点主導のよりスムーズでスピーディなビジネスインキュベーションを実現する組織体制をとっています。

一方、コア技術を事業化につなげる人材の育成にも取り組んでいます。2017年度には、新事業創出の実行、加速支援を担うビジネスデザイン職という職種を新設し、グローバルイノベーションユニットおよび各ビジネスユニットの事業開発を担う部門長から構成されるビジネスデザイン職HRM(Human Resource Management)推進会議を設置しました。本会議では、ビジネスデザイン職のスキルの定義や研修体系の構築、ローテーションおよび高度専門職認定の施策の策定を行い、これらを実行・改善していくことで、当社の事業開発力の強化を担う人材を育成しています。

コア技術強化とダイバーシティ強化のための人材育成

NECでは、社会ソリューションに有効なコア技術強化と将来にわたってそれを継続していくために、注力領域へ人材を集中させるとともにダイバーシティの強化を図っています。

注力領域での研究者の増強については、中央研究所のデータサイエンス・セキュリティ・バイオメトリクス・ネットワーク領域の研究者を、さらに増強させる方針で取り組んでいます。海外の各研究所では地域のトップ人材を積極的に採用し、国内では継続して博士採用を増強しています。2021年度も新規採用の半数近くを博士採用とする方針であり、インド工科大学をはじめとする有力海外大学院からの採用も引き続き行っていきます。

これらの施策により、近年は継続的に新規採用の2〜3割をグローバル人材が占めています。さらに、さまざまな専門分野を持つ人材が、性別や国籍を問わず、互いに尊重し合いながら多面的な議論を行うことで、大きなイノベーションを起こしていけるように組織変革を進めています。

例えば、日本人の研究者に対しては、研究員として米国大学院への派遣、NPOと連携した新興国留職プログラムや海外研修など、社内外の研修プログラムを活用して、グローバル人材への転換を促しています。また、情報系だけでなくデータの処理・活用に強い理学系分野や、人とAIの協調による課題解決を実現するために人文学系分野や法学系分野など多様な人材の採用も強化しています。

オープンイノベーション

社会価値創造のための価値向上に向けて、社外の研究機関はもとより事業化パートナー、スタートアップなどとのオープンイノベーションを積極的に推進しています。従来当社単独では難しかった新事業の事業開発や必要な技術の開発、そして、将来のあるべき姿を想定し、そこからバックキャストして次の時代の注力事業領域や技術を検討することも、社外のパートナーや専門機関などとも協力して進めています。

施策と2020年度の主な活動実績

No.1/Only 1技術による主な研究成果

知的財産活動に関わる成果

各種特許プールに加入し、当社の特許をより利用しやすい形で業界に提供する体制を構築しています。
知的財産活動に関わる成果の詳細については、以下をご参照ください。