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サプライチェーン・マネジメント

サステナブル調達に関する基本的な考え方

企業にはグローバルサプライチェーン全体においてサステナビリティを強く意識した調達活動を行うことが求められています。
NECは、自社のみならずサプライチェーンを構成する調達取引先との協働・共創を通じて、環境や社会全体に与える影響に十分配慮しながら事業を行うことで、社会から信頼され、サステナブルな社会価値創造に貢献できると考えています。こうした考え方のもと、調達取引先と、社会における重要課題と事業が社会に及ぼしうる影響についてともに学びながら、よりよいサプライチェーン構築に向けた取り組みを続けています。2021年5月にはマテリアリティとして「サプライチェーンサステナビリティ」を新たに特定し、人権や環境デュー・ディリジェンスの実施など、取り組みを一層強化しています。

取り組み方針

NECのサステナブル経営の考え方や、社会的責任や持続可能な調達の国際ガイダンス規格ISO26000、ISO20400をもとに「NECグループ調達基本方針」を策定し、サステナブル調達に関する社内統制と調達取引先への展開を図っています。購買倫理などの社内統制の観点からは、「資材取引に関する基本規程」を制定して、すべての従業員に対して規程遵守を徹底しています。さらに、これを強化するために、調達プロセスにおける具体的な業務規程を制定し、定期的な研修を行うことで調達関係者に周知徹底しています。
調達取引先への展開の観点では、「NECグループ調達基本方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、

  • 人権
  • 労働・安全衛生
  • 公正取引
  • 環境
  • 情報セキュリティ
  • 品質・安全性

を6重点リスクとし、調達取引先には上流の取引先も含めた責任ある企業行動を要請しています。

人権については、「NECグループ調達基本方針」の中で、奴隷および人身売買の拒否を明言するとともに、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において強制労働・児童労働の禁止や、労働者の団結権を尊重しており、さらに適切な賃金、労働時間の管理を要請しています。
 環境については、「グリーン調達ガイドライン」を制定し、NECと調達取引先とが一体となった環境経営の実現を求めるとともに、「製品含有化学物質の調達制限に関する基準」を制定して、製品化学物質に関する世界の規制への対応を要請しています。
情報セキュリティについては、NECから委託された業務に従事する作業者が守るべきセキュリティ対策を「お客様対応作業における遵守事項」として定めるとともに、遵守を誓約してもらうことで、対策実施の徹底を要請しています。
これらの方針・ガイドラインに基づいて、調達取引先との相互理解を深め、密に連携しながら活動を推進するとともに、調達取引先をQCD*1とサステナビリティの観点から統合的に評価し、長期的な視点でパートナーシップを深める努力を続けています。
さらに、グローバルな社会課題や最新の取り組み事例などをより深く理解するために、国際的なイニシアチブや市民社会(NGO/NPO)およびアカデミアとのダイアログなど、ステークホルダーエンゲージメントを実施し、方針に基づいたサステナブル調達施策の立案・推進、改善計画の検討に役立てています。

  • *
    QCD:Quality=品質、Cost=コスト、Delivery=納期

前述の6重点リスクに対処するために、契約、周知徹底、書類点検、訪問点検の各段階でのさまざまな施策を実施しています。また、これらの施策を補うため、調達取引先向けに苦情処理メカニズムの整備や、社内従業員向けに研修・啓発活動を実施しています。

契約

調達取引先に対しては、基本契約書の締結や、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動に関する宣言書」の取得を通じて、これらの履行・遵守を担保しています。本宣言書は、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」に対する宣言書として新たに策定したものです。 この宣言書は、マテリアリティの1つである「サプライチェーンサステナビリティ」の活動指標として、2025年度末に調達金額75%をカバーする調達取引先から取得することを目指します。

周知徹底

「NECグループ調達基本方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」をはじめとする各種説明書面を調達取引先に提示しています。また、戦略サプライチェーンパートナー交流会やサステナビリティ・情報セキュリティ説明会を開催して、調達取引先に直接説明し、最新の施策について周知徹底を図っています。

書類点検

人権、労働・安全衛生、環境、公正取引、情報セキュリティ分野で、要求事項に対する調達取引先の遵守状況や取り組み状況を確認するための書類点検を実施しています。

訪問点検

調達部門による日常的な調達取引先訪問時に、人権、労働・安全衛生、環境分野におけるサステナブル調達の要求事項を点検し、その記録を蓄積する取り組み(Supplier Visit Record(SVR))を2018年度から実施しています。
情報セキュリティ分野では、調達取引先を訪問する現地監査を毎年実施しています。
いずれの訪問点検においても、改善を要する事項を調達取引先と共有し、改善施策が講じられるまでフォローしています。

苦情処理メカニズムの整備

コンプライアンス相談・申告の窓口である「コンプライアンス・ホットライン」を2003年から調達取引先にも広げています。第三者経由とすることで通報者のプライバシーにも配慮しながら取引上の苦情や相談に応じる仕組みを整備しています。

研修・啓発活動

当社および連結子会社では、調達の社内規程などに則り、調達担当者を対象とした定期的な各種研修プログラムの実施と、新しい法規制や顕在化した新たなリスクへの対応のために、適時に個別テーマ研修を実施することで、適正な業務遂行を維持できるよう努めています。

下記のグラフは、2019年度における地域ごとの調達額と割合を表したものです。
調達額は全体で1.49兆円でした。
日本の調達額が全体の73%を占めており、アジア12%、北米12%、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)2%、中南米1%となっています。

2019年度 地域ごと調達割合の円グラフzoom拡大する
対象範囲:日本電気(株)および連結子会社

NECでは、取引金額の大きい調達取引先、また、希少部品の調達取引先や代替困難な調達取引先を重要調達取引先と位置づけ、サステナブル調達施策に重点的に取り組んでいます。

推進体制

NECのサステナブル調達は、CSCO(チーフサプライチェーンオフィサー)がNECグループ全体の責任を担い、意思決定は、調達本部長を議長とする調達本部会議で行われます。
調達関連法規の遵守にあたっては、当社および国内の主な連結子会社に調達関連法規の遵法推進者を設置して、遵法推進者による自社・自部門内の法令遵守を徹底しています。遵法推進者会議を年2回開催し、監督官庁による取り締まりの強化など最近の動向や、調達担当者研修、Web研修の教材など、遵法推進のための情報共有を図っています。
海外関係会社については、毎年開催されるグローバル・SCM責任者会議を意思決定機関としています。北米、中南米、EMEA、中国・東アジア、APACの地域統括会社と本社が直轄する主要な現地法人においては、本社で策定した方針・ガイドラインに則りながら、各国の文化や商習慣にも配慮したサステナブル調達を推進しています。
企業横断活動としては、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのサプライチェーン分科会に参画し、異なる業種の企業、NGOなど多様なメンバーとサステナブル調達のあるべき姿について議論を重ねるとともに、企業における実践の向上に資するアウトプット創出を目指した活動を行っています。

施策と2020年度の主な活動実績

2020年度は、コロナ禍の中、自社のみならず調達取引先の従業員の健康・安全確保を最優先としながら、以下の取り組みを行いました。

取り組み方針に基づいた活動

契約

社会要請の変化に応じて2020年7月に「CSR調達ガイドライン」を「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」へ改訂し、当ガイドラインの履行・遵守を調達取引先に求めるにあたり、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動に関する宣言書」への署名取得活動を開始しました。新規取引開始時には宣言書の取得を必須とし、既存の調達取引先含め国内外で7,000社を超える調達取引先から宣言書を取得しています(調達金額の68%をカバー)。

周知徹底

調達取引先に「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」を周知するにあたり、従来の日本語、英語版に加え、新しく中国語版を作成しました。また、2020年5月に開催したサステナビリティ・情報セキュリティ説明会(1,436社参加)や2021年1月にリモートで開催した戦略サプライチェーンパートナー交流会(181社参加)の場で、調達取引先に対しサステナブル調達の方針や施策を説明して周知しました。

書類点検

書類点検は、「サステナブル調達セルフチェックシート(人権、環境、労働・安全衛生、公正取引)」と、専用システムを利用した「情報セキュリティチェックシート」による2つの点検を実施しています。
 「サステナブル調達セルフチェックシート」は、従来の点検テーマである人権、環境に安全衛生、公正取引を新しく追加して計4テーマとし、設問数も69問から151問へと大幅に拡充し点検しました。重要調達取引先を中心とした696社から回答を入手し、調達取引先の取り組み状況を「得点率」および「クリティカルポイント*2」の評価基準に照らして、テーマ単位にA、B、C、D、Zの5段階に評価しました。

  • *2
    クリティカルポイントとは、NECが2020年7月に発行した「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」や法規制などに照らして、取り組みが未対応の場合には、潜在リスクが存在する可能性があるとNEC側で特定した設問。
5段階評価 評価区分、基準、定義の一覧表

評価結果は、ご回答いただいたすべての調達取引先に、点検テーマ別の得点および調達領域ごとの平均点との比較を示したフィードバックシートを発行して共有しました。
今回の調査では、潜在リスクがある可能性が見受けられるZ評価の調達取引先は36社となりました(主なリスク要因:ハードウェア取引の調達取引先に必須事項として環境マネジメントシステムが未構築、製品含有化学物質対応に関する管理が不十分など)。
Z評価の調達取引先に対しては、実態把握や是正指導などのサプライヤー・エンゲージメントを通じて、2021年度上期中の是正完了に向けた対応を進めていきます。
「情報セキュリティチェックシート」は、1,456社を対象に書類点検を実施しました。社会の重要な基盤である情報システムの構築を担うNECにとって情報セキュリティは重要です。調達取引先との連携にあたっては、調達取引先の技術力とともに、情報セキュリティ水準がNECの定める水準に達していることが非常に重要であると考えています。そのため、書類点検結果に基づいて、調達取引先の情報セキュリティ対策状況により情報セキュリティレベルを分類し、業務に求められている情報セキュリティレベルに応じて適切なレベルの調達取引先を選定して委託する仕組みを取り入れています。

訪問点検

SVRは、コロナ禍による影響で調達取引先への訪問頻度が減ったものの、人権、労働・安全衛生、環境分野において、高リスク地域における重要調達取引先を中心に訪問時の点検を実施して55件のデータを取得し、問題がないことを確認しました。
情報セキュリティ分野では特に、指示事項や要請事項を調達取引先の従業員まで浸透させることが重要です。現場担当者がこれらを遵守しなければ、情報セキュリティ事故に直結する恐れがあるため、訪問点検では調達取引先の作業現場を訪問し、インタビューや確証の確認、視察を実施しています。対象とする調達取引先は、取引規模だけでなく取り扱う情報の重要性や秘密性および書類点検結果などを総合的に勘案して決定しています。2020年度はコロナ禍をふまえ、リモートによる訪問点検を38社に実施しました。訪問点検において重大な不備事項は認められませんでしたが、細かな部分において改善が必要な調達取引先に対し是正指導を実施しました(主な改善項目:私品の規制、秘密表示の指定、秘密事項の廃棄・返還管理、サイバー攻撃対策など)。

苦情処理メカニズムの整備

2020年度は、調達取引に関する「コンプライアンス・ホットライン」に入った4件の通報に対し事実関係を確認し、すべて適切に対応を完了しています。
2017年度からはNECの従業員によるコンプライアンス違反を撲滅する目的で、違反告発への協力を求める「コンプライアンス徹底へのご協力依頼」を調達取引先に対し発信しています。「コンプライアンス・ホットライン」の有効性を高めるために、この取り組みを今後も継続していきます。

社内研修・啓発

調達担当者を対象とした定期的な各種研修プログラムの実施に加え、2020年7月に、外部講師を招きサステナブル調達についての特別オンライン講義を国内外約600人の調達担当者に対して実施しました。
また、当社のすべての従業員に対しても、サステナブル調達の重要性を啓発するために2020年11月にWeb研修を実施しました。

紛争鉱物問題への対応

NECでは、「責任ある鉱物調達対応方針」を制定し、調達取引先にも紛争鉱物問題への理解と対応を求めているほか、調達取引先から精錬所に至るまでの紛争鉱物調査を実施し、NEC内の営業部門・事業部門と連携した体制を整えて、お客さまからの紛争鉱物調査要請に迅速に対応しています。

また、NECは、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主宰する「責任ある鉱物調達検討会」のメンバーとして、業界連携活動も継続しています。NECは、同検討会傘下の啓発・広報チームに参画しています。啓発・広報チームでは、調達取引先向けの合同説明会での説明要員を担当し、調達取引先の紛争鉱物問題に対する理解促進に努めました。

人権尊重の取り組み強化に向けたダイアログの実施

NECは、バリューチェーン全体における人権リスクについて、第三者機関の影響評価を受けました。その評価結果をふまえて、2021年3月に人権課題解決に取り組むNGO、国際機関や法律の専門家と対話を行いました。

グリーン調達への取り組み

NECは、ハードウェアにとどまらず、ソフトウェアやサービスの調達に対しても「グリーン調達ガイドライン」に基づいたグリーン認定制度を設けており、2006年度からグリーン認定先からの調達を推進しています。
製品含有化学物質対策については、EUの「RoHS指令」「REACH規則」などに代表される各国の製品含有化学物質規制に適合するために、調達品における化学物質含有調査を継続して実施しています。
気候変動対策については、2012年度から調達品に関するCO2排出量を継続的に把握しています。調達品を含めサプライチェーン全体での排出量については、第三者の検証を経て公開するとともに、CO2排出量の削減に向けたサプライヤー・エンゲージメント活動に活かしています。
具体的には、2019年に加盟した環境NGOのCDPが主催する「CDPサプライチェーンプログラム」を活用し、ハードウェア調達取引先を中心に調査対象を25社から73社へ拡大して気候変動に対する取り組みの実態把握ならびに調査結果のフィードバックを実施しました。

CDPサプライヤーエンゲージメントで最高評価を受賞

CDPサプライヤーエンゲージメント サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード 認定ロゴ

CDPサプライヤーエンゲージメントにて最高評価を受賞
NECは、環境NGOのCDPが実施する「サプライヤーエンゲージメント評価*3」において、最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に認定されました。
NECは、CDPの気候変動およびウォーターの2部門でも「A」評価を受けており、2020年は3部門での受賞となりました。NECの環境長期目標である「2050年を見据えた気候変動対策指針」のもと、サプライチェーンからのCO2排出量ゼロに向けた削減への各種取り組みが評価されたものと認識しています。今後も調達取引先との協働・共創を通じて、サプライチェーン全体での気候変動対策を推進していきます。

  • *3
    「 サプライヤーエンゲージメント評価」とは、企業のサプライチェーン全体での気候変動・温室効果ガス排出量削減への取り組みを調査し、取り組みに応じて企業を格付けするものです。

戦略サプライチェーンパートナー交流会

2021年 サステナビリティ表彰の写真
2021年 「サステナビリティ表彰」
(左)セイコーエプソン(株)
代表取締役社長 小川 恭範様

重要調達取引先を対象に、戦略サプライチェーンパートナー交流会を毎年開催して、NECのサステナブル調達活動について、人権、労働・安全衛生、環境、情報セキュリティを柱に理解と協力を求めています。2021年1月の交流会は、新型コロナウイルス感染症対策としてオンラインで開催し、国内および海外の調達取引先181社の経営幹部385人が参加しました。
この交流会の中で、サステナビリティへの取り組み推進において特に貢献していただいた調達取引先に「サステナビリティ表彰」を授与しました。