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気候変動とTCFD対応

気候変動への対応

NECは、2014年に「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを掲げ、お客さまとの共創により、さまざまな社会課題の解決を目指す「社会価値創造型企業」へと変革することを宣言しました。この経営戦略に基づき、「環境経営」を、これまでの「ICTの活用によるお客さま・社会からのCO2排出量の削減」だけでなく、「気候変動によるさまざまな影響への備え」へ拡大し、「緩和」と「適応」の両面から気候変動対策に価値を提供することに取り組んでいます。

2017年度からは、TCFD※提言を参考にしながら、気候変動による影響をリスクと機会の両面から評価することを開始しました。2018年度には、会社の持続的な成長実現の鍵となるテーマ「マテリアリティ」の1つに「気候変動を核とした環境課題への対応」を位置づけ、将来の事業成長に向けて活動を一層拡大しています。

  • TCFD:
    気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

TCFD提言に沿った情報開示

気候変動は企業にリスクと機会の両面から大きな影響を及ぼします。気候変動による影響が突然に顕在化した場合、金融市場の安定性が損なわれる可能性があることから、企業のリスクや機会を投資家に理解してもらうための情報開示が重要になります。2017年6月にTCFDが気候変動と経済の関係を表した最終報告書を発表したことを受け、NECは、2018年にTCFDへの賛同を表明しました。気候変動に関連するリスクと機会への対応について、TCFD提言に沿った情報開示を進めており、将来のビジネスにおける財務的な影響を想定し、管理しています。

TCFD提言と該当箇所一覧
TCFD提言 開示ページ
【ガバナンス】 気候関連のリスクおよび機会に係る組織のガバナンスを開示する
a)気候関連のリスクおよび機会についての、取締役会による監視体制を説明する 気候変動に関するガバナンス
b)気候関連のリスクおよび機会を評価・管理する上での経営者の役割を説明する 気候変動に関するガバナンス
【戦略】 気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画への実際のおよび潜在的な影響を、重要な場合は開示する
a)組織が選別した、短期・中期・長期の気候関連リスクおよび機会を説明する 気候変動の戦略
b)気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を説明する 気候変動の戦略
c)2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候関連シナリオに基づく検討をふまえ、組織の戦略のレジリエンスについて説明する シナリオ分析
【リスク管理】 気候関連のリスクについて組織がどのように選別・管理・評価しているかについて開示する
a)組織が気候関連リスクを選別・評価するプロセスを説明する 気候変動に関するガバナンス気候変動の戦略気候変動へのリスク管理
b)組織が気候関連リスクを管理するプロセスを説明する 気候変動に関するガバナンス気候変動の戦略気候変動へのリスク管理
c)組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の総合的リスク管理においてどのように統合されているかについて説明する 気候変動に関するガバナンス気候変動の戦略気候変動へのリスク管理
【指標と目標】 気候関連のリスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、重要な場合は開示する
a)組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即し、気候関連のリスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示する 「2050年を見据えた気候変動対策指針」温室効果ガス排出実績気候変動に関する指標と実績
b)Scope1,Scope2および該当するScope3の温室効果ガス(GHG)について開示する 気候変動に関する指標と実績
c)組織が気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績について説明する 「2050年を見据えた気候変動対策指針」温室効果ガス排出実績気候変動に関する指標と実績

気候変動に関するガバナンス

取締役会による監視体制および経営者の役割

NECは気候変動に関連する環境課題をマテリアリティの1つに加え、会社の重要な経営課題としてとらえています。気候変動対策の最高責任者は、代表取締役執行役員社長兼CEOです。気候変動対策に関する報告・提案は、環境担当役員を通じて事業戦略会議で経営幹部による討議や情報共有を通じて審議が行われ、最終的にはCEOが最高責任者として意思決定を行います。また、環境担当役員は長期の環境経営目標に基づく進捗を管理し、必要に応じて是正・改善指示をしています。

気候変動によるリスクや機会が、事業に大きな影響を及ぼすと判断された場合は、取締役会へ報告することになります。取締役会では、報告を受けた場合、審議を通じて対策指示することで、NECグループの気候変動対策が適切に推進されるよう監督します。
2019年度は、事業戦略会議にて審議された再生可能エネルギーの拡大計画が取締役会で報告、審議され、投資を含む具体的な推進計画が承認されました。

気候変動に関する社内体制

全社の気候変動関連の取り組みも話し合う環境経営推進体制では、各ビジネスユニットの環境推進責任者が集まる環境経営推進会議において、グループ全体の気候変動に関する環境方針・目標を策定します。環境担当役員はその内容を確認し、上位組織にあたる事業戦略会議で報告し、会社としての承認を得ています。また、気候変動に関するリスクについても、環境経営推進会議において共有され、事業に与える影響が大きい場合には、環境担当役員が確認し、必要に応じてリスク管理プロセスに則ってリスク・コンプライアンス委員会へ報告します。

気候変動に関するテーマ別専門部会では、「NECグループ省エネ検討WG」「省エネルギー推進担当者会議」「地球温暖化ロジスティクス連絡会議」の3つの会議体を設置しており、これら会から環境経営推進会議に対して報告・提案を行うことにより、NECグループ全体で省エネに努めています。環境経営推進会議での決定事項は、各BUおよび各事業場の委員会などで指示・報告され、全従業員へ周知されます。

気候変動の戦略

シナリオ分析

NECでは、「2050年を見据えた気候変動対策指針」に沿った活動を推進する上で、気候変動がもたらすさまざまな影響について、パリ協定の今世紀末の気温の上昇を2℃以内にする目標が達成できた場合、また4℃前後に気温上昇が進んだ場合のシナリオ分析を行い、その対応策を検討しています。具体的には、IPCCのRCP2.6シナリオを基本として、将来の見通しを予測するとともに、当社が事業展開するすべての国の目標(NDC)、IEAのWorld Energy Outlook2018、および統合評価モデルコンソーシアム開発の「共通社会経済経路」の「SSP1」のシナリオ、その他ICTの技術動向・予測を考慮に含めています。想定期間は、当社が気候変動への長期指針としている2050年およびSBTの2030年までの社会の変化を考慮しています。対象地域は、当社の事業を展開するすべての国と地域です。ただし、簡易分析にてリスクまたは機会の影響が大きいと判断した地域についてはさらに詳細な分析を行うこととしています。

例えば、RCP2.6シナリオでは、温室効果ガス排出量を抑制するために世界的にカーボンプライシングの導入が進み、自社の事業活動でのCO2排出量に伴う費用が増加します。一方で、ICTを活用したCO2排出量削減対策が進むことで、事業成長にもつながると考えています。

また、同じくIPCCのRCP8.5シナリオの4℃前後に気温上昇が進んだ場合は、世界的に気象災害が増加し、サプライチェーンへ影響を及ぼすことから、売上の減少や対策費用の増加が考えられます。一方で、ICTを活用した災害対策ソリューションなどのニーズが高まり、事業成長につながると考えています。これらのシナリオ分析の結果をもとに、事業継続のための対策や将来の新たな事業創出が検討されています。

今後も引き続き、気候変動によるリスクや機会についてシナリオ分析を行い、将来に向けた組織のレジリエンスを高めていきます。

リスクと機会について

TCFDでは、政策や市場の変化などの移行リスクや、災害などによる物理的なリスクなど、リスクと機会に関連する項目について評価することを提言しています。NECグループでは過去にタイの工場が洪水で操業停止となった経験もあり、物理的なリスクについては、地震対策を含めてBCP(事業継続計画)の観点から取り組んでいます。また、各国で検討が進んでいるカーボンプライシングについて、導入された場合の業績への影響を評価しています。

一方で、気候変動対策では、ICTの利活用が不可欠だといえます。NECは、緩和と適応のそれぞれに価値を提供できる製品・ソフト/サービスを数多く有しているため、事業を通じて世界の気候変動対策に広く貢献できると考えています。

物理的なリスク

短期における物理的なリスクとしては、短期では異常気象による影響へ備えるための対策費用の増加が挙げられます。

NECでは国内に多くのデータセンターを活用したビジネスを展開しています。安定した電力供給はデータセンターの運営に不可欠であり、もし気象災害による停電などで電力供給が途絶えて機器が停止すれば、自社のビジネスに加え、お客さまのビジネスにまで甚大な影響を及ぼします。

このような影響をふまえて、NECのデータセンターは、災害リスクへの備えとして、自然災害による被害を受けにくい立地条件や、大規模災害のリスクを低減する設備構成・建物構造としています。また、無停電電源装置(UPS)によって、瞬断や停電、電圧の乱れからシステムを保護したり、長時間の電源停止には、非常用自家発電装置で対応したりするなど、事業継続を支える充実のファシリティを備えています。

移行リスク

短期的な移行リスクとしては、ESGの取り組みや気候変動への対策において、遅れていると判断された場合、お客さまや取引先、株主などのステークホルダーからの評価が下がり、資金調達や売上減少につながることが考えられます。NECは企業とのビジネスが約7割を占めるため、お客さまへの気候変動対策の強化は、取引を継続する上での重要な活動にあたると考えています。仮に気候変動対策が遅れていると評価された場合、取引停止に伴う売上の低下や、取引継続のための追加費用が発生する可能性があります。特に、気候変動を含めた環境意識の高い欧州でのビジネスへの影響が大きいと考えています。そのため、NECでは気候変動対策として、2018年にSBTの認定を取得しました。SBTを着実に達成するための計画を立案し、計画に沿って再生可能エネルギーの拡大を推進しており、国内外の拠点で太陽光発電設備の導入や、購入電力のグリーン電力切り替えを進めています。

中期的な移行リスクとしては、カーボンプライシングの導入による費用増加を想定しています。カーボンプライシングの影響を最小限に抑えるために、NECでは、(1)SBTの認定取得によりパリ協定の目標と合致した取り組みを行うこと、(2)エネルギーの効率的な利用を継続的に追求すること、(3)再生可能エネルギーの利用を拡大すること、の3つの方針で活動を推進しています。上記方針に基づき、例えば再生可能エネルギーの拡大については、NECグループの全事業場の設置可能なすべての屋根に太陽光発電設備を導入することを決定しています。

気候変動によるリスクの例
タイプ 期間 概要 主な取り組み
物理的リスク
(急性・慢性)
短期 異常気象の影響や対策に事業支出が増加 国内の災害被害の実績をもとに、データセンターの災害対策を再評価し、問題があれば設備投資などの対策を強化する。
移行リスク(市場) 短期 ステークホルダーの懸念の増加による商品/サービスの需要減少による収益減少 SBTの認定を取得し、達成に向けて再生可能エネルギーの拡大に向けた取り組みを推進。主要な顧客の気候変動対策について定期的に把握。
移行リスク
(政策と法律)
中期 カーボンプライシング導入による温室効果ガス排出価格の引き上げにより、目標未達の場合新たな費用が発生 事業戦略会議において、リスクを最小化するための対策が議論・決定。SBTの目標達成に向けてエネルギーの効率的な利用や再生可能エネルギーの導入を拡大する。

製品およびサービスの機会

短期における製品およびサービスの機会としては、気候変動の緩和や適応に貢献する製品・ソフト/サービスの需要増による収益増を見込んでいます。

「緩和」への貢献
NECが提供する製品・ソフト/サービス、いわゆるICTソリューションは、お客さまの業務を効率化し、人やものの移動や保管、ペーパーレス化などを実現し、ICTソリューションの導入前後で比べると、トータルでCO2排出量の削減につながります。多くの企業がCO2排出量の削減対策を進めていく中で、NECのICTソリューションが貢献できる機会が増えると考えています。

例えば、NECではインドにおいて物流インフラを可視化して、輸送中のコンテナ位置情報をリアルタイムで把握する情報サービス基盤を2016年7月から提供しています。これは、ムンバイの港で荷揚げ・荷積みされるコンテナにRFIDタグを装着し、港の出入口ゲートや高速料金所、内陸通関基地などに設置したRFIDリーダ・ライタを通じて情報を読み取り、クラウド上で他システムとも連携できるサービスです。このサービスにより、荷主や運送業者は、コンテナ番号の検索だけで、デリー・ムンバイ間(約1,500km)の輸送中のコンテナの正確な位置情報をリアルタイムに把握できるようになります。その結果、輸送リードタイムの短縮や在庫削減、生産計画の精度向上と輸送コスト削減につながり、加え年間約17万トンのCO2排出量の削減が期待できると試算しています。2018年度より対象港をインド全土へ順次拡大し、現在インドで取り扱われる国際海上コンテナの約95%がこのサービスでカバーされています。

「適応」への貢献
世界がこれまで排出してきた膨大な量の温室効果ガスにより、CO2排出量を今すぐゼロにできたとしても、気候変動の流れは止められないといわれています。これからは、気候変動により世界的に起こる「災害」「水資源不足」「食料不足」「健康被害」などのさまざまな影響に「適応」していくことが重要になります。NECが注力する社会インフラ事業は、これら気候変動による影響への「適応」に貢献できると考えています。

例えば、NECでは農場の情報を収集・蓄積・見える化・分析することで農作物の品質の改善や農作業などの効率化を図るソリューションを提供し、気候変動リスクの1つである「食料不足」の解消に寄与しています。具体的には、トマト栽培でカゴメ(株)と新たなシステム開発を進めています。トマトは世界で最も消費されている野菜であり、急激な人口の増加に伴う需要増加にどのように対応するのか、生産者と加工品メーカーの大きな課題となっています。さらに近年は、温暖化などの影響から気象が大きく変動し、収穫量の見通しを立てることが困難になっています。そこでNECとカゴメはICTを活用して、農場に設置した気象や土壌の変動を計測する各種センサや人工衛星・ドローンから得られる情報と営農環境などの自然環境下の膨大な農地情報を空間的にも時間的にもすべて数値化し、コンピュータ上に仮想圃場を生成しました。この仮想圃場であらゆる生育シミュレーションを行った結果から、最大限に効率的な栽培をするための最適な解を導き出し、将来の収穫量・収穫適期も正確に予測する、露地栽培向け「海外大規模農場分析ソリューション」を新たに開発しました。2019年までにポルトガル、オーストラリア、アメリカなどさまざまな地域で実証に取り組み、そのうち、2019年にポルトガルの圃場で行ったAI営農実証試験では、窒素肥料は一般平均量と比べて約-20%の投入量で、1ヘクタール当たり127トンの収穫量(ポルトガル全農家の平均収穫量の約1.3倍)が得られ、熟練栽培者の栽培とほぼ同等の結果となりました。2020年は国内のいくつかの産地で本事業展開の検証を実施する予定です。

また、食品ロス・廃棄の解決に向けた需給最適化も支援しています。世界人口が現在の70億人から2050年には1.3倍規模の90億人を超え、それに伴い食料需要が1.7倍になると予想されています。一方で、世界中では13億トンもの食料が食べられることなく廃棄され、生産された食料の1/3に相当します。日本も年間643万トン※1もの食料が廃棄されていて、そのうち55%は流通過程(製造、卸・物流、小売)の過剰生産や売り残しが原因です。NECでは、ICT、特にAIを活用しながらサプライチェーンを最適化し、食品ロス・廃棄を減らすための仕組み「需給最適化プラットフォーム」を提供しています。従来食品製造や小売業が個別に行っていた需要予測に対し、需給最適化プラットフォームでは、個々のプロセスの最適化はもちろん、バリューチェーン全体でデータを収集し、AIを活用して需要予測の精度を高めることができ、バリューチェーン上の生産や在庫、発注の最適化を実現します。2018年2月から一般財団法人日本気象協会、2018年6月から株式会社インテージと協業し、多様な業種・業界における製造、卸・物流、小売のバリューチェーン全体で需給を最適化するビジネスの展開を開始しています。食品ロス・廃棄の削減は、食料不足問題の解決につながると同時に、廃棄していた食品を作るために使用していたエネルギーも削減できるため、「緩和」にも貢献できると考えています。

このほかにも、気候変動への適応に貢献できる社会ソリューションが数多くあります。NECは、気候変動という世界的な社会課題に対して、ICTを通じて価値を提供し、豊かで明るい未来の創造へ貢献し続けることを目指しています。

気候変動による機会の例
タイプ 期間 概要 主な取り組み
製品およびサービスの機会 短期 【緩和】CO2排出削減に寄与する製品・ソフト/サービスの需要増による収益増 顧客提案時に、提供するソリューションがどの程度CO2排出削減に貢献するかを示し、他社との差異化を図り、受注拡大につなげている。物流の最適化によるCO2削減に貢献できる。
製品およびサービスの機会 中期 【適応】適応ニーズに対する新たなソリューションを通じた収益増 ICTやビッグデータ分析技術の活用で、高い収穫量を実現するためのノウハウを蓄積。食品製造・加工会社などと共同で、本ソリューションを活用した実証実験を行っている。
製品およびサービスの機会 中期 【適応】適応ニーズに対する新たなソリューションを通じた収益増 ICT、特にAIを活用しながらサプライチェーンを最適化し、食品ロス・廃棄を減らすための需給最適化を支援している。

「2050年を見据えた気候変動対策指針」

長期の気候変動対策について、2017年7月に「2050年を見据えた気候変動対策指針」を策定しました。指針では、自社の経営基盤を持続可能なものへと強化し、NECがお客さまと持続可能な社会を共創していく姿を、気候変動の緩和と適応の視点から4つの象限に分けて示しています。

「2050年を見据えた気候変動対策指針」

I.サステナブルな経営基盤の構築

気候変動によるサプライチェーンへの影響を減らし、サステナブルな経営基盤を構築するために、サプライチェーン全体からのCO2排出量ゼロに向けて取り組み、サプライチェーン全体でのリスク対策を推進していきます。

1.サプライチェーンからのCO2排出量ゼロに向けた削減

自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1,2)を2050年に"実質ゼロ"とする目標を掲げています。徹底した省エネによるエネルギー使用量の削減、使用するエネルギーを再生可能なものへ転換する、さらに最終的に排出したCO2をオフセットすることを目指します。そのマイルストーンとして、2030年までの削減目標を策定し、2018年10月にSBTとして認定されました。この目標の達成に向けて再生可能エネルギーの活用を大幅に拡大することとしました。これまで自社の再生可能エネルギー設備の導入を2011年度(発電容量〔kw〕)比で2020年度までに10倍まで拡大する目標を掲げて推進していましたが、この目標では、SBTの達成が難しいことから、2017年からは自社での設備導入に限らず、購入する電力も再生可能なものへと置き換える方針に切り替え、再生可能エネルギーの使用量を目標として、従来の設備投資での発電容量と2017年度を比較して約75倍の目標へと見直し、計画的に拡大しています。さらに、サプライチェーンからのCO2排出量(Scope3)削減に向け、最も排出量が大きいカテゴリー11[販売した製品の使用]について製品のエネルギー効率改善を進めるとともに、次に排出量の多いカテゴリー1[購入した物品・サービス]についてサプライヤーと連携した削減対策を推進しています。

2.サプライチェーンでの気候変動リスクへの対策徹底

2050年を見据えると、気候変動によりさまざまな気象災害が増加し、サプライチェーンを寸断するリスクが高まります。NECでは、グローバルサプライチェーンへの影響評価を行い、自社のBCP対策を強化するとともに、サプライヤーと連携した対策を推進しています。

II.共創によるサステナブル社会の実現

3.世界が目指す低炭素社会の実現

NECのICTソリューションの提供を通じて、お客さま・社会からのCO2排出削減に貢献していきます。例えば、バリューチェーン改革を支援するソリューションは生産・物流の効率化や設備稼働率の向上につながり、エネルギー消費が減るためCO2排出量削減に貢献できます。今後新たなイノベーション開発を積極的に推進することで、「緩和」につながる新たなソリューションを継続的に創出し、お客さまと共創しながら低炭素社会の実現に貢献することを目指します。

4.気候変動リスクに強い安全・安心な社会の実現

NECが注力する社会インフラ事業は、この気候変動の影響への「適応」に貢献できるといえます。例えば、自然環境や都市インフラのあらゆる場所の状況をリアルタイムでモニタリングし、集められた膨大なデータ(ビッグデータ)を素早く解析することで、今後起こりうる災害を予知・予測して、災害への備えを支援することができます。このような「適応」に貢献する新たなソリューションを継続的に創出していくことを目指しています。
さらに、ICTによる「適応」への提供価値を定量的に把握しようと、(株)早稲田環境研究所と定量評価手法を開発し、2014年度から定量的に評価しています。

気候変動へのリスク管理

NECでは、半年ごとにリスク評価を行い、事業に大きな影響を及ぼすリスクが顕在化した場合は、リスク・コンプライアンス委員会および経営会議において対応が審議されます。そこで示された優先順位や方針については、取締役会に審議され、最終的にNECの戦略、行動計画、リスク管理方針、パフォーマンス目標が決定されます。
なお、2019年度はリスク・コンプライアンス委員会で審議すべき気候変動リスクはありませんでした。

温室効果ガス排出実績

本データに関する第三者保証はPDFこちらをご覧ください。

Scope1・2の温室効果ガス排出量

2019年度のエネルギーの使用に伴う温室効果ガス排出量(絶対値)は、前年度比13%増の37.3万トンになりました。これは、グループ会社の集計範囲を拡大したことが主な要因です。

Scope1・2の温室効果ガス排出量推移
  • 2015年度以降の電力使用によるCO2排出係数は、温対法に則り電気事業者別のCO2排出係数にて算出しています。

Scope3の温室効果ガス排出量

2019年度のScope3排出量は、711.0万トンでした。2019年度にScope3の算出方法を見直した結果、カテゴリー1排出量が従来とくらべ大きくなったことから、2017年度まで遡ってデータを修正することとしました。

Scope3排出量の見直しについて

見直しの背景

NECでは、2013年度からScope3排出量を開示しています。2020年気候変動対策目標(サプライチェーン全体のCO2排出量に対してITソリューションの提供を通じたCO2排出量削減貢献量を2020年度5倍とする目標)が、2018年度実績で、前倒しで過達したことを受け、Scope3算出方法を見直し、5倍目標をより厳しく評価しました。

主な変更内容

これまでカテゴリー1(購入した製品・サービス)の算出においては、サプライヤーの削減努力が反映されるようにサプライヤー調査に基づく独自の排出原単位を使用していました。この排出原単位は、2次サプライヤーより上流の環境負荷が含まれていなかったため、多くの企業が採用している産業連関表による排出原単位と比べ小さく算出されていました。この度、産業連関表の排出原単位を使用し、さらに、これまで捉えられていなかった活動量を加えた新たな基準で再計算して、2020年気候変動対策目標をより厳しく評価しました。

見直した結果と今後の取り組み

2018年度のScope3を再計算した結果、カテゴリー1は43.5万トンから374.2万トンへ約9倍となるなど、Scope3全体は529.5万トンから、779.5万トンへと増加しました。なお、カテゴリー1算出で産業連関表による排出原単位を採用しますが、引き続きサプライヤーエンゲージメント活動を継続し、サプライヤー調査を通じてカテゴリー1の削減努力を確認しながら活動を強化・拡充します。
また、NECでは、SBTの基準年度を2017年度としていることから、2017年度まで遡り、Scope3データを見直しました。今後も開示データの信頼性確保のため、継続して第三者検証を受けるとともに、精度向上に向けた評価・改善を定期的に行っていきます。

サプライチェーン全体での温室効果ガス 排出量

Scope3について新たな算出方法で集計した結果、2019年度のサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量は748.3万トンとなり、2018年度と比較して64.6万トン減少しました。
主な減少要因は、使用段階でのCO2排出量が大きい照明器具を製造・販売していたNECライティング株式会社が、2019年4月1日に株式会社ホタルクスへ事業を承継し、連結から外れ、カテゴリー11(販売した製品の使用)が大幅に減ったことによるものです。

Scope1・2・3内訳
  • GHG プロトコルイニシアチブの「Scope3 スタンダード」に基づき算出

気候変動に関する指標と実績

NECグループ環境経営行動計画2020/2030

2050年を見据えたマイルストーンとして、2020年/2030年までの目標を設定しています。この目標は、NECエコ・アクションプランとして具体的な施策と目標を策定し、グループ全体で目標達成に向けた活動を推進しています。
2019年度は、2020年度目標を過達しているものもあり、順調に進捗しています。特に、再生可能エネルギーの導入拡大では、デンマークに拠点を構えるNECグループのKMD社が、2020年度に再エネ100%化を目指すことを決定し、2019年度からグリーン電力を拡大したことで、目標の約2倍の導入となりました。

NECグループ環境経営行動計画2020/2030の進捗状況

2020年気候変動対策目標

気候変動に関するマテリアリティのKPIとして、サプライチェーン全体のCO2排出量に対するCO2排出量削減貢献量を2020年度5倍とする目標を設定しています。
2019年度の結果は、負荷に対して貢献が5.2倍となりました。なお、2018年度に6倍を達成していましたが、Scope3の算出方法の見直しにより、2017年度まで再計算しました。下図は見直し後の推移を表しています。引き続き、提供価値の拡大とサプライチェーンの負荷削減を推進していきます。

2020年度までの気候変動対策目標
  • 「負荷」は、生産・オフィスや製品の使用など、サプライチェーンなどから出るCO2排出量です。「貢献」のうち「緩和」では、お客さまへ提供する製品・サービスにより社会全体のCO2排出量の削減量や製品エネルギー効率改善量、同じく「適応」では、ソリューションによる社会全体のCO2排出量の抑制による貢献量を表しています。

NECのSBT

2017年12月に、NECの温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定の目指す「2℃目標」の達成に科学的に根拠ある水準の目標(SBT:Science Based Targets)とすることへコミットしました。その後、本目標は2018年10月に「SBTイニシアチブ」からSBTとして認定されました。2019年度には、新基準における「well below 2℃」としてカテゴライズされています。

Scope1+2:
2030年度までに温室効果ガス排出量を2017年度比で33%削減
Scope3:
2030年度までに販売した製品からの温室効果ガス排出量を2017年度比で34%削減

SCIENCE BASED TARGETS

CDP気候変動 Aリスト

CDP climate A List stamp

2019年度の気候変動に関する取り組みとその情報開示が評価され、CDP「気候変動」部門で最高評価である「Aリスト」企業に選定されました。

  • CDP:
    投資家・企業・都市・国家・地域が環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営している国際的な非営利組織。2019年度は全世界で8,400社以上の企業がCDPを通じて情報開示を行いました。

NECが気候変動対策を中心に環境経営を推進していることに対して、将来を見据えて今取り組むべきことは何か、有識者のみなさまからご意見を伺いました。

気候変動対策事例