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気候変動への対応

考え方

2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、世界が大きく舵を切る中、ICT企業に期待される役割と果たすべき責任はさらに増しています。NECは自社の製品・サービスそのものの環境負荷を減らすと同時に、ICT技術を活用して、お客さまの脱炭素トランジション(移行)を支えていきます。
NECは自社のESGにおける最重要課題「マテリアリティ」の1つとして、気候変動(脱炭素)を位置づけています。
NEC環境方針および2050年を見据えた気候変動対策指針に基づき、「環境経営」における気候変動対策では、これまでの「ICTの活用によるお客さま・社会からのCO2排出量の削減」に加えて、「気候変動によるさまざまな影響への備え」へと拡大し、「緩和」と「適応」の両面から気候変動対策により価値を提供することに取り組んでいます。
2021年3月には、「NEC環境ターゲット2030」を発表し、気候変動へのさらなる目標設定による負荷低減と事業を通じた戦略的な活動を一層拡大していきます。

TCFD 提言に沿った情報開示

NECは、2018年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。気候変動に関連するリスクと機会への対応について、TCFD提言に沿った情報開示を進め、将来のビジネスにおける財務的な影響を想定し、管理しています。

TCFD 提言 開示ページ
ガバナンス 気候変動関連のリスクおよび機会に関わる組織のガバナンスを開示する 環境経営推進体制
戦略 気候変動関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画への実際のおよび潜在的な影響を、重要な場合は開示する 環境リスクシナリオ分析リスクと機会について
リスク管理 気候変動関連のリスクについて組織がどのように選別・管理・評価しているかについて開示する 環境経営推進体制環境リスクシナリオ分析リスクと機会について
指標と目標 気候変動関連のリスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、重要な場合は開示する 2020年度目標に対する達成状況中長期目標指標と実績

シナリオ分析

NECは不確実な未来へのレジリエンスを高めるため、複数のシナリオで将来起こりうる社会を予想し、対応策を検討しています。NECでは事業場で多くの電力を使用しているため、カーボンプライスが上昇すると予想される 2°C シナリオは重要だと考えます。また、気候が大きく変化することも想定し、4°C シナリオも用いて分析しています。
シナリオ策定にあたっては、参考情報として、IPCCの「RCP2.6」と「RCP8.5」、各国の NDC、World Energy Outlook、SSP1、SSP3、ICT 技術の動向と予測を参照しました。シナリオは2030年と2050年を想定し、サプライチェーン全体を分析対象にしています。

4℃シナリオの場合

気象災害が増加した社会が想定され、事業継続のリスクが高まります。NECは事業の多くを日本国内で行っています。環境省が2020年12月に公表した「気候変動影響評価報告書」によると、大雨による洪水が増加するリスクは“確信度”も“重大性”も高いと評価されています。4℃シナリオではこのリスクが増大している社会が予想されます。そのような社会では、お客さまのビジネスを支えているデータセンターの安定操業の重要性がさらに高まります。NECはこれまでも、データセンターは自然災害リスクの低い場所に建設する、非常時には自家発電だけで72時間操業が可能な準備を整えるなどといったBCP対策を強化してきました。今後も激甚化する気象災害を見据え、その対策を行っていきます。
一方で、気候変動への適応が必要な社会になると想定されることから、ICTを活用した適応対策ソリューションのニーズが高まります。例えば、農作物の適地が高緯度化することが考えられ、農家の方々は新たな作物を栽培する必要があるかもしれません。NECが大手食品加工会社カゴメ(株)との協業により開発したpopupICTプラットフォーム「CropScope」は、このような農家の方々の適応策も支えることができます。具体的には、農作物の生育や気象、土壌環境に関わるデータをセンサーでとらえ、関係者で共有することにより新たな気づきを生みます。さらに、AI解析により、それぞれの圃場に最適な管理ノウハウを提供することができます。また、厳しさを増す豪雨・洪水に対する防災・減災、インフラ維持、熱中症防止などの分野でも、NECのICTソリューションによる見える化・分析・対処は、社会の適応対策に大きく貢献します。

2℃シナリオの場合

温室効果ガス排出量を抑制するために世界的にカーボンプライシングの導入が進み、自社の事業活動でのCO2排出量に伴う費用が増加する社会を想定しています。World Energy Outlook 2019によると、2030年のカーボンプライスは100米ドル/tCO2と推定されています。SBT(2017年度比55%)を達成すると、2030年度のNECのScope 1、2排出量は約21万t/年になります。仮にこの残余排出量にカーボンプライスが発生すると想定すると、コストは23億円/年になります(1米ドル=110円で算出)。NECは2021年に「RE100」に加盟して、再生可能エネルギーの利用を拡大するなど、この移行リスクの最小化に努めています。
また2℃シナリオでは、脱炭素化が徹底された社会が想定され、ICTを活用したCO2排出量削減対策が進んでいると考えられます。例えば、物流最適化ソリューションは、輸送リードタイムの短縮や在庫削減などにより、CO2排出量削減につながります。NECは国内外で、IoT、RFID、AI、クラウドなどを活用しながら、物流可視化サービスを提供しています。インドでは、NICDC*1と合弁会社NICDC Logistics Data Services社を設立。輸送中のコンテナの正確な位置情報をリアルタイムに確認するサービス「Logistics Data Bank」を提供し、「いつ届くかわからない」状況を改善しています。その結果、輸送効率化や生産計画精度向上を実現し、2017年度には年間約17万tのCO2排出量の削減(2016年度比)に貢献しました。その後、サービス提供範囲が広がり、2021年現在では、流通するコンテナの95%以上を可視化できるようになりました。NECのこのようなサービスは、脱炭素に向かう社会においてさらにニーズが高まると予想されます。

  • *1
    National Industrial Corridor Development Corporation Limited

インターナルカーボンプライシングの導入

NECでは、エネルギー効率化と低炭素設備導入推進の視点から、社内炭素価格を設定して設備投資によるCO2削減量を金額換算し、投資判断の情報として活用しています。
また、本仕組みは、将来の炭素税増額や排出権取引拡大の可能性を見据えた脱炭素社会によるリスクの低減と将来の脱炭素活動の推進にもつながっていると考えています。

リスクと機会について

NECでは、気候変動が事業にどのような影響を与えるかを、リスクと機会の視点から短期・中期・長期に分けて分類し、認識しています。
検討プロセスとしては、まず既存事業を気候変動の視点で整理し、マッピングを行いました。
その後、シナリオを用いて、気候変動により将来生じる影響を評価しました。気候変動課題に対して目指す姿を描き、特に大きなリスクや機会に対する対策を検討し、中期経営計画へ反映しています。

  • TCFD提言へ賛同し、短期・中長期視点でリスクと機会を定期的に評価*3
  • リスクへの対策と機会に対するアセットを確認
  • *3
    社会経済シナリオ(SSP: Shared Socioeconomic Pathways)のSSP1(2℃)、SSP3(4℃)を参照。2050年の社会シナリオを想定
リスク 内容 対策
移行リスク カーボンプライシングによる利益影響
(炭素税:2020年度40~80米ドル/tCO2,2030年50~100米ドル/tCO2で想定)
SBT(2030年)、CO2排出ゼロ(2050年)の各目標達成に向けた効率化の徹底と再生可能エネルギーの活用拡大
物理リスク 気象災害(洪水、土砂崩れ、水不足など)に伴うサプライチェーンの寸断、電気・ガス・水道などライフラインの長期間にわたる停止 サプライチェーン全体のリスク評価と気象災害を含むBCP対策、データセンターでの発電設備強化
機会 内容 対策
移行リスク対策への価値提供 CO2排出の少ない交通インフラ整備 AI/IoTを活用した物流可視化・ルート最適化。EV・PHV充電クラウドなど
再生可能エネルギーの活用拡大支援 仮想発電所(VPP)、電力需給管理、RA事業化(需給調整市場)xEMS など
エネルギーの無駄の削減支援 DXによるプロセス改革(業務自動化、スマートファクトリ、需給最適化)、DCの省エネ化を支える製品・技術(相変化冷却、新冷媒) など
物理リスク対策への価値提供 気象災害の増加への備え AI/IoT、画像解析などを活用した災害発生前の予兆検知、氾濫シミュレーション、避難支援など
森林火災の増加への備え 森林火災監視・即応システム、衛星による災害監視など
農業生産適地の変化への備え 影響予測シミュレーション、農業ICTソリューションなど
感染症の拡大への備え NeoFaceを活用した感染症対策、地球規模感染症発生時の物流情報管理プラットフォーム、リモートワーク・遠隔診療支援など

「緩和」への貢献

NECが提供するICTソリューションは、お客さまの業務を効率化し、人やものの移動や保管、ペーパーレス化などを実現し、ICTソリューションの導入前と比べると、トータルでCO2排出量の削減につながります。お客さま・社会がCO2排出量の削減対策を進めていく中で、NECのICTソリューションが貢献する機会が増えると考えています。

緩和事例

企業のNet Zeroに貢献するリソースアグリゲーションビジネス
カーボンニュートラルを達成するため、世界規模で再生可能エネルギー(以下、再エネ)の主力電源化が進んでいます。国内では、発電出力の変動が大きい太陽光発電や風力発電の導入が増えるに従って、電力系統の需要量と供給量のバランスを保つことが困難になっています。これらの課題を解決するため、2021年4月に需給調整市場が開設され、再エネの発電変動量を吸収し、需給バランスを保つための調整力取引が行われています。従来は、稼働率の低い老朽火力発電所が調整力の供給を担ってきましたが、市場開設後は蓄電池や自家発電機など変動対応能力の高い分散電源も調整力の供給が可能となっています。分散電源による調整力の供給は、老朽火力発電所の代替と再エネによる調整力の供給が可能となるため、再エネ主力電源化に大きく貢献することができます。
NECでは、企業などが保有する発電設備や蓄電池などの分散電源を新たなエネルギーマネジメント技術により統合・遠隔制御し、全体であたかも1つの発電所のように機能させる「バーチャルパワープラント(VPP)」を実現することで、電力系統の安定化と再エネ主力電源化に貢献しています。2019 年からは、NEC のIoT 技術を活用したpopup「NEC Energy ResourceAggregationクラウドサービス(RAクラウドサービス)」の提供を開始しています。RAクラウドサービスは、太陽光発電などの複数のエネルギー設備や、蓄電池、EV(電気自動車)などの装置を、需要の予測も含めてICTを用いて制御・最適化するものです。需給バランスの状況に応じて、需要家にある蓄電池やEMSを遠隔で制御することにより、需要をコントロールするデマンドレスポンス*2で電力系統の安定化に貢献することが可能となります。これらの制御は、太陽光発電の「むら」や「無駄」を解消することもできるため、企業ごとのゼロエミッション達成への道も開けます。NECは、これらの技術を使い自らもリソースアグリゲータとして、グループ内やお客さまの分散電源を制御し、電力取引が行われる取引市場に参入することで、社会全体の脱炭素化の実現を目指します。

  • *2
    デマンドレスポンス(Demand Response):市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時に、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払いに応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させること
アグリゲーションサービス

「適応」への貢献

NECが注力する社会インフラ事業は、気候変動による「災害」「水資源不足」「食料不足」「健康被害」などのさまざまな影響への「適応」に貢献できると考えています。

適応事例

河川水位IoT監視システム
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)において、今後気候変動の影響により、「大都市部への洪水による被害のリスク」や「極端な気象現象によるインフラなどの機能停止のリスク」が増えると予測されています。また、日本では、台風や集中豪雨による小規模河川の氾濫被害が問題となっており、河川水位のリアルタイムな状況把握、住民に対する情報提供が求められています。
このようなリスクに対し、NECでは、身近な河川の変化を広域無線技術(LPWA*3)を使って収集し、インターネットでリアルタイムに公開、住民の安全確保に活用できるpopup「河川水位IoT監視システム」を開発しています。
本センサーは、電源工事不要で簡単に取り付けられる汚れに強い非接触型であり、河川水位を平時は1時間、大雨時は10分おきにデータを更新します。これらの情報はLPWAなどを使用して、クラウド上のサーバに送られ、Webシステムで公開されます。地方自治体はこれらの情報を利用し、地域の防災計画や緊急対応の準備情報に活用できます。また、住民は、リアルタイムで河川情報を入手でき、早期の備えや防災意識の向上につながります。すでに、国内5つ以上の地方自治体で実証や検証を行っています(2021年3月現在)。

  • *3
    Low Power Wide Area
河川脇に設置されたセンサー
河川水位IoT監視システム

指標と実績

気候変動に関する指標

こちらをご覧ください。

温室効果ガス排出実績

本データに関する第三者保証はPDFこちらをご覧ください。

サプライチェーン全体での温室効果ガス 排出量

NECでは、自社から排出する温室効果ガス排出量(Scope 1、2)よりも、サプライチェーンから排出する温室効果ガス排出量(Scope 3)が圧倒的に多いことから、サプライチェーン全体での削減を推進しています。
2020年度のサプライチェーン全体での温室効果ガス 排出量は648.5万tでした。うち自社の排出に関わるScope 1、2の値は前年度と比較して4.6万t削減できました。これは、再生可能エネルギーの利用拡大やグループ会社の売却、テレワークの拡大によるものです。

Scope 1〜3の温室効果ガス排出量
  • 対象範囲:NECグループ
Scope内訳