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気候変動を核とした環境課題への対応(マテリアリティに関する有識者との対話)

NECが気候変動対策を中心に環境経営を推進していることに対して、将来を見据えて今取り組むべきことは何か、有識者のみなさまからご意見を伺いました。
環境に関する活動目標の"見える化"や、"長期ビジョン"として目指す未来を示すこと、気候変動以外にもサーキュラーエコノミーなど他の環境課題にも注力すべき、そして新しい市場を作るリーダーシップに期待するといった有識者からのご意見・提案を参考に、今後の活動をさらに改善していきます。

  • 本ダイアログは、2020年3月に開催しました。

活動目標を定量的に"見える化"することが重要

冒頭、ピーダーセン氏より環境を含む最新動向について紹介いただいたあと、NECの気候変動対策について対話を行いました。NECは2020年度までにサプライチェーン全体のCO2排出量に対して、5倍の量のCO2排出量削減に貢献することを目指しています。

NEC 執行役員常務CDO
石井 力

石井 NECは、業務効率化や再生可能エネルギーの活用などで削減できる事業活動からのCO2排出量よりも、NECが持つテクノロジーの提供を通じて、お客さまや社会全体から削減できるCO2排出量の方がはるかに多いので、事業を通じて社会全体の気候変動対策に貢献する攻めの姿勢で取り組んでいる。

野村アセットマネジメント
責任投資調査部長
今村 敏之氏

今村氏 事業を通じたCO2排出量削減が大きければ、ビジネスの拡大による自社からのCO2排出量増加は決して悪いことではない。情報開示では、自社排出量のビジネス拡大部分と削減努力部分を分けて掲載したり、定量的にKPI*1化し開示することは、投資家の正当な評価につながるし、目標や貢献量などは従業員のモチベーションの向上にもなる。

清水 いろいろな数値目標を掲げて活動しているが、さらに整理・高度化が必要と感じている。より多くの人と議論しながら、論理的でわかりやすい指標を作り上げていきたい。

"長期ビジョン"でNECが目指す未来を示すこと

NECは2017年に「2050年を見据えた気候変動対策指針」を発表し、2050年にCO2排出量を実質ゼロにすることを宣言しました。

一般社団法人 NELIS
代表理事
ピーダーセン氏

ピーダ―セン氏 2050年はグローバルミドルクラス(≒中流階級)の人口が現在より50億人増加する可能性があり、これまでの消費や暮らしが大幅に変わる。環境面では、現在の延長線上の取り組みではなく、未来の条件を設定し、ありたい姿からのバックキャスティング要素を増やして、事業活動の機会を創出すべきである。

今村氏 現実的にすべての人類が先進国と同じ暮らしをしたら、地球の資源が不足することは明らかである。今後は社会の効率化が求められ、テクノロジーが大幅に切り替わることが予測される。気候変動に限らず社会課題を広くとらえ、重要課題から社会的インパクトを伴うビジネスをいかに生み出せるかが鍵だ。

クレアン
代表取締役
薗田 綾子氏

薗田氏 TCFDを気候変動だけでなく広義にとらえ、2050年にどのような社会になっても存続できるようにシナリオ分析をする企業が増えている。シナリオを描いたことで、COVID-19による事業影響にも素早く対策を始められたという企業もある。シナリオ分析は今の事業活動にも役立つし、ビジョンとして会社の存在意義を示すことで若い世代の共感が得られる効果もある。

これからはサーキュラーエコノミー*2への対策も重要

今村氏 金融の世界でも、環境課題は気候変動のみならず、今後はサーキュラーエコノミー(以後、CE)も重要な課題だと認識されてきている。CEの及ぼす影響範囲はとても広い。

薗田氏 欧州にある先進企業の戦略を見ると、環境視点だけでなく経済的な視点から、イニシアチブをとり、仕組みづくりを行っている。CEの事業が見込める諸外国に対しては、NECも海外でモデル事業を行ってから、それを国内に展開する逆転の発想ができるのではないか。

ピーダ―セン氏 欧州では、CEの位置づけを環境問題の一番外側に位置づけ、広い概念でとらえて考えている。NECも気候変動だけでなく、CEも重点に置く方が良いし、さらに、例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)から、SX(サステナブルトランスフォーメーション、ソーシャルトランスフォーメーション)へと概念を広げて取り組んで欲しい。

NEC 執行役員兼CSCO
(環境担当役員)
清水 茂樹

清水 これまでは、環境専門組織が中心となり対策をしてきたが、これからは視座を高くして、環境だけではなく、より広い視野で社会課題全体をとらえて取り組まないといけないと感じている。このダイアログも環境に限定せず、社会課題への取り組み全体を議論できるようにしていきたい。

社会を変えるリーダーシップに期待

石井 世界規模の課題解決に取り組み、新しい仕組みを市場で広めようとすると、多種多様な企業・団体との協働や、例えばコンソーシアムを立ち上げるようなことが不可欠になる。実現まで10年、20年の時間軸で考えていく必要がある。

ピーダ―セン氏 環境問題などは長期的な視点で取り組まなければならない最も代表的な課題。協業する際は、営利企業だけではなく、社会課題に取り組むNGO・NPOなども巻き込むことも有効。

薗田氏 NECは、既存の枠にとらわれず、もっと新領域へ事業の幅を広げていった方がよい。例えば、NECの総合力を駆使して、1つの自治体を丸ごと運営することもできるはず。そこから新たな社会のスタンダードを創っていくような、将来の社会に向けたリーダシップを発揮するようなことを期待している。

  • *1
    KPI:
    Key Performance Indicatorの頭文字で、目標の達成度合いを計るために継続的に計測・監視される定量的な指標のこと
  • *2
    サーキュラーエコノミー(Circular Economy):
    循環型経済を意味し、廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組みのこと