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AI×食育、異色コラボのきっかけは子どもへの愛 AIのプリン、NECが手掛ける理由

苦手な野菜をどう克服するか、本人にも、子育て中の親ごさんにも、大きな悩みごとです。NECはカゴメ株式会社と協力し、AIを使って、野菜をおいしく食べられるプリンを開発し、レシピを公開しました。その名も「AI(愛)のプリン」。AIとプリン、この組み合わせは、ちょっと大げさに言えば、子どもへの「愛」から生まれました。

「嫌いなあの味が気にならない!」 それAIでつくったレシピです


「ふだんのトマトの味と違う!このプリンに入ったトマトなら食べられる!」

7月、京都の立命館小学校で行われた試食会では、トマト、とうもろこし、かぼちゃ、じゃがいも、ほうれんそう、にんじんを使ったAIのプリン6種類が約30人の子どもにふるまわれました。トマトにはクリームチーズ、ほうれんそうにはココナッツを組み合わせるなど、レシピを工夫。「ほうれんそうは苦いのが嫌いだったけど、ココナッツと合わせるとおいしい」、「にんじんは苦手だけどこのプリンではその味がしない。給食に出たら…チャレンジしてやってもいいかな」などと大好評でした。

AIのプリンは、カゴメとNECが開発。①カゴメの調査をもとに子どもが苦手にしがちな野菜を選び、②NECのAIでそれらの野菜と相性の良い食材の組み合わせを100通り導き、③一般投票で25通りに絞りこみ、④さらに「伝説のプリン職人」所浩史さんが6種類のAIのプリンのレシピを考案しました。レシピは、特設サイトで公開されています。

AI(愛)のプリン~にがてを、おいしく、たのしく。食育の悩みをAIが解決します~

「子どもの好き嫌い困ってません?」 それAI×社会貢献にできるかも

AIを身近に感じてもらうNECの企画は、世代の味わいをAIとクラフトビール職人のコラボで表現した「人生醸造craft」や、新聞記事のデータをもとに時代の味を現す「あの頃は CHOCOLATE」などがありました。

プロモーションを主導しているのはNECリードデータサイエンティストの志村典孝。「身近なものとのコラボして、NECのAIをたくさんの人に知ってもらうことが目的」です。

今回は、話題性にとどまらず、NECならではの社会貢献をめざして企画を考えることに。AIの活用と話題性と社会貢献、三つの追求を悩んでいた時に、企画会議でふとメンバーから出てきた一言がきっかけになりました。

「志村さんとこ、お子さんの好き嫌い悩んでませんでしたっけ。私も苦い野菜が嫌いで」

「最近の学校給食って、無理に食べさせることはしないよね。直す機会が少ないかも」と志村は返し、たわいない話が進みます。昔は給食を食べきるまで居残りもあったけど、今は違う。家庭でも嫌いなものは無理に出さない。嫌いなものが、ずっと嫌いなままでいいのかな。

AIは食材の組み合わせも考えられる。もし「好き嫌い」を乗り越える手立てを提供できれば、子どもの食育にもつながるし、長い目で見ればフードロスの削減にもつながるかも。

こうした話し合いを重ね、子どもの好き嫌いの調査データをもっているカゴメとの協力も決定。お年寄りから子どもまで食べやすいプリンで企画を進めました。
 

NECリードデータサイエンティスト 志村典孝

「ブラックボックスならぬホワイトボックス」 そのAI、怖くありません

今回使ったNEC独自のリンク予測AIは、隠れた関係性を見つけるのが得意な技術です。

AIのプリンのレシピに登場するじゃがいもは、一般にタマネギとの組み合わせが多いのはすぐわかります。でも今回はじゃがいも×とうふの組み合わせが登場。仕組みをみてみます。

とうふ(A)が使われている韓国風豆腐スープにはチリパウダー(B)を使用、チリパウダーと(B)とじゃがいも(C)は定番の組み合わせ──。A♡B、B♡Cなら、A♡Cもいけるかも? 直接関係がなくても相性のよさそうな組み合わせを提案、これがリンク予測AIの腕の見せ所です。

また、AIでは「なぜそうなったかわからない」という「ブラックボックス」的側面への不安も指摘されます。今回は、レシピに行きついた道のりをサイト上で説明。「説明可能」であること、つまり「ホワイトボックス」であることも、特長の一つなのです。

「レシピの可能性が広がる」 そこがAIの力の見せどころ

編み出された食材の組み合わせから、プリンのレシピをつくったのが岐阜で洋菓子店「プルシック」を構える所さん。所さんは「パステルのなめらかプリン」の生みの親でもあります。

「野菜を使ったスイーツは定番化しにくい。ハードルが高い挑戦だと思いました」

それでも、所さんが引き受けた理由の一つは、カゴメと培ってきた縁に加え、AIを使ったレシピづくりへの関心です。

「食材の組み合わせには、出尽くした感や思い込みもあります。そんな中、AIに提案してもらうのは、レシピの幅を広げられる面白い取り組みだと思いました」

そして何より、「食べること」を通じた社会貢献への共感が、所さんを動かしました。

「小学校の試食会では、親御さんが『うちの子がトマトを食べているのを初めてみた!』と大喜びでした。プリンがきっかけで好き嫌いを克服できたらすごいですよね。レシピを無償公開したのも採算は度外視しています。カゴメとNECと食育を通じて社会貢献できる。そこに大きな意味があると思っています」

レシピを考案した「プルシック」オーナーシェフの所浩史さん

AIを身近にしたい。好き嫌いをなくして食育に役立てたい。ちょっとした思い付きを出発点に、多くの人々の力が合わさって登場したAI(愛)のプリン。

NECの志村は、夏休みに7歳の娘と一緒にレシピをつかってプリンづくりに挑戦する予定。「食べるって、子どもと楽しい時間を共有する大事な機会ですよね」。パパのつくったAIのプリンだよ、と、ちょっと自慢もまじえるつもりです。

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