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AWSのAMIを使用した同一リージョン内のHAクラスターの複製を試してみました(Windows/Linux)
CLUSTERPRO オフィシャルブログ ~クラブロ~
はじめに
Amazon Web Services(以降、AWS)において、AWS AMIを使用した同一リージョン内のHAクラスターの複製を試してみました。
クラウド環境でクラスターシステムを運用するにあたり、同一環境の作成や、障害発生後のシステム復旧手順の策定等、既存環境の複製を検討するケースがあります。既存環境の複製を実施する際に、既存環境からIPアドレスやホスト名の変更が必要となる場合があります。AWS AMIを使用してリストアした後に、OS上のIPアドレスやホスト名を変更しただけでは、バックアップ取得時のCLUSTERPROのクラスタ構成情報に設定されたIPアドレスやホスト名と設定値が異なるため、CLUSTERPROの起動に失敗します。そこで本記事では、HAクラスターを複製する際にCLUSTERPRO観点で必要な設定変更や、注意事項について紹介します。
なお、本記事は、以前公開したAWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~バックアップ編~およびAWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~リストア編~にて公開されているバックアップ・リストア手順を使用した記事になりますので、まずは過去記事をご覧いただくことを推奨いたします。
この記事の内容
1. HAクラスター構成
今回は東京リージョンに構築した2ノードミラーディスク型HAクラスターを使用し、バックアップとして作成したAMIを利用して同一リージョンにHAクラスターの複製を実施します。
バックアップ構成
リストア後(複製後)の構成
VPCの構成は以下の通りです。
- VPC(VPC ID:vpc-1234abcd)
- -CIDR:10.0.0.0/16
- -Subnets
- ■Subnet-1a (サブネットID:sub-1111aaaa):10.0.0.0/24
- ■Subnet-2a (サブネットID:sub-2222aaaa):10.0.10.0/24
- ■Subnet-1c (サブネットID:sub-1111cccc):10.0.1.0/24
- ■Subnet-2c (サブネットID:sub-2222cccc):10.0.20.0/24
評価を行った環境の組み合わせは以下の通りです。
- AWSリージョン
- -東京リージョン (ap-northeast-1)
- サーバーOSおよびCLUSTERPRO Xのバージョン
- -Windows
- ■CLUSTERPRO X 5.1 + Windows Server 2022
- ■CLUSTERPRO X 5.2 + Windows Server 2022
- -Linux
- ■CLUSTERPRO X 5.1 + Red Hat Enterprise Linux 9.2
- ■CLUSTERPRO X 5.2 + Red Hat Enterprise Linux 9.2
- リストア前後のOSに設定されているサーバー名とIPアドレス
- -リストア前
- ■サーバー名:server01、IPアドレス:10.0.10.10
- ■サーバー名:server02、IPアドレス:10.0.20.11
- -リストア後
- ■サーバー名:server03、IPアドレス:10.0.10.20
- ■サーバー名:server04、IPアドレス:10.0.20.21
2. AWS AMIを使用してHAクラスターを複製する際の注意事項
CLUSTERPRO Xではライセンスの使用許諾上、1つのライセンスが複数箇所で同時に存在することを認めていないため、ライセンス登録済みイメージをバックアップ元の仮想マシンを削除せずに別の仮想マシンにリストア(複製)すると、通常は使用許諾違反となってしまいます。バックアップ・リストアする際のライセンスの考え方についてはAWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~リストア編~を参照してください。
また、その他の注意事項については、以下のFAQを参照してください。
3. バックアップ手順
バックアップ手順については、AWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~バックアップ編~を参照し、バックアップを取得してください。
4. リストア手順
リストア手順については、AWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~リストア編~ の手順3.1~3.4を実施してください。HAクラスターを複製する際に、OS上のホスト名を変更する場合は、上述の記事に記載のリストア手順3.3「OS上の各種設定」を行う際に合わせて実施してください。なお、今回は同一リージョンにリストアするため、手順3.3 の「aws configure」によるAWS CLIの既定のリージョンの変更は不要です。
上記バックアップ手順およびリストア手順(手順3.1~3.4)を実施することで、お客様環境では以下の状態となっています。
- ●リストア前後でOSに設定されているホスト名とIPアドレスが変更されている
- - クラスタ構成情報に設定されたサーバー名とIPアドレスがOS上の設定と異なる
- ●CLUSTERPROサービスを手動起動に設定している
上記状態から、クラスタ構成情報に設定されたサーバー名とIPアドレスを、OS上の設定と同一にする手順は以下となります。
- 1.リストア後のクラスターサーバー(10.0.10.20)にCluster WebUI接続し、[設定モード]にします。
- 2.サーバー名、IPアドレス、CLUSTERPROに設定しているデバイス文字(デバイスパス)のパラメータをOS上の設定に合わせて変更します。
- 3.[設定のエクスポート]を実行してクラスタ構成情報(zipファイル)を任意のディレクトリに保存します。
- 4.手順3.で保存したクラスタ構成情報(zipファイル)をクラスターサーバーの任意のディレクトリに配置します。
- 5.手順4.で配置したクラスタ構成情報(zipファイル)を解凍します。
- 6.以下のコマンドを実行して、手順5.で解凍したクラスタ構成情報を反映します。
# clpcfctrl --push -x <手順5.で解凍したクラスタ構成情報のディレクトリ> --nocheck
- 7.OSのshutdownコマンド等を使用して両サーバーを再起動します。
上記手順を実施後、AWSのAMIによるリージョンを跨いだHAクラスターのバックアップ・リストア方法~リストア編~の手順3.5のIPアドレスの設定反映完了後の手順を実施してください。
5. 動作確認
クライアントマシンから、リストア後のHAクラスターにアクセスできること、また、各サーバー上でリストアしたデータに正常にアクセスできることを確認します。
- 1.クライアントマシンからリストア後のクラスターサーバーのCluster WebUIにIPアドレス(10.0.10.20)、VIPアドレス、DNS名を使用して接続し、クラスターの状態が正常なことを確認します。
- 2.server03上でバックアップ時点のデータに正常にアクセスできることを確認します。
- 3.Cluster WebUIやclpgrpコマンドにより、フェールオーバーグループをserver04に手動で移動します。
- 4.server04上でバックアップ時点のデータに正常にアクセスできることを確認します。
以上で、クライアントマシンから、リストア後のHAクラスターにアクセスできること、また、各サーバー上でリストアしたデータに正常にアクセスできることを確認できました。
まとめ
HAクラスターを複製する際にCLUSTERPRO観点で必要な設定変更や、注意事項についてご紹介しました。HAクラスターを複製する際は、クラスタ構成情報に設定されたサーバー名とIPアドレスを変更する必要がありますので、本手順を参考にご検討ください。
本記事の構成をご検討の際は、CLUSTERPROの試用版を用いて検証した後、ご提案・構築ください。
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