サイト内の現在位置

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社様

IoT活用のため生産設備をSDNでつなぐ
仮想的な分離でセキュリティ強化、安定操業を実現

業種:
  • 製造・プロセス
業務:
  • 設計・開発・製造
  • 生産管理
製品:
  • ネットワーク/SDN
  • ネットワーク/LAN/WAN
ソリューション・サービス:
  • SDN
  • ネットワーク/企業ネットワーク

事例の概要

課題背景

  • IoT推進に向け、生産設備をIPネットワークによってつなぎこんでいるが、単にIP化するだけでは設定工数の増加やミスの懸念がある
  • インターネット接続がなくてもウイルス感染の可能性はゼロではない。操業停止だけは避けなければならない
  • 各設備から情報を収集するために、PLCなどのIPを個別に設定する必要があるが、IP重複などの設定ミスをしてしまうと設備停止を引き起こすリスクがある

成果

「人に優しい」GUIで簡単運用

わかりやすいGUIでネットワーク構成の把握、トラブル機器の特定などが行える。専門家がいない工場でもネットワークの運用を簡単に行える

仮想ネットワークでトラブルを極小化

生産ラインごとに仮想ネットワークを構築。仮にウイルスの侵入やIP重複などのトラブルがあった場合でも、被害がほかのラインに及ぶことを抑止し、被害を極小化できる

工場の事情にも精通した対応に安心感

オフィスとは異なる工場の事情に対応してくれ、安心してネットワーク工事を任せることができた。ネットワーク構築に関する様々な提案やアドバイスをくれ信頼感が高まった

導入ソリューション

アイシン・エィ・ダブリュ様 岡崎東工場のネットワーク概略

IoT活用、およびセキュリティの観点から工場の生産系ネットワークにSDNを採用。ネットワークに関する詳しい知識がなくともGUIを通じて容易に運用できる点などを活かし、現場主動で運用している。

本事例に関するお問い合わせはこちらから

事例の詳細

導入前の背景や課題

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
製造本部
製造管理部
次長(業務改革推進/製造技術グループ担当)
三沢 圭輝氏

工作、成形、組み立て、運搬、検査、あらゆる工程でIoTを活用する

ギアチェンジのためのシフトレバーやクラッチ操作の不要なオートマ車。その核となるオートマチックトランスミッション(AT)を開発・製造し、多くの自動車メーカーに供給しているのがアイシン・エィ・ダブリュ様です。現在はATだけでなく、無段変速であるCVT(連続可変トランスミッション)、さらには部品メーカーとして初めてハイブリッドシステムを開発するなど、高い技術力でクルマ社会の発展に貢献しています。

ATやCVTは、複雑かつ精密な機構を持ち、多くのパーツで構成されています。そのため同社の工場には、金属を削って工作するもの、プラスチックを成型するもの、組み立て工程で活用するものなどから、搬送関連、検査機、管理システムまで、多様な設備が導入されています。

従来、これらの設備は、それぞれ独立して稼働していましたが、同社は新たにIPネットワークで設備をつなぐことを決めました。

「これまで各設備のPLC(Programmable Logic Controller)から手動で集めたり、手入力で記録したりしていた稼働情報を自動収集し、『IT生産管理板』で統合管理することで、IoT活用を進めるためです。ただ、1つのプロジェクトだけでも500~600の設備があるため、単にIP化するだけでは設定に手間がかかるし、ミスのリスクもある。IPネットワークを導入しつつも、このようなリスクを解消し、かつネットワークのセキュリティを高めたいと考えました」と同社の三沢 圭輝氏は言います。

選択のポイント

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
製造本部
製造管理部 業務改革推進グループ
チームリーダー
岩瀬 猛氏

ユーザに優しいGUI。専門家がいない工場でも安心して運用できる

生産設備をつなぐ、まさに工場の基幹となる生産系ネットワークに同社が採用したのがNECのSDNソリューションです。

まず高く評価したのがGUIの見やすさと操作性の高さでした。

「工場の設備間ネットワーク構築のためには、設備や建屋の知識、ケーブル取り回しなどの専門的な知識が必要です。そのため、情シス部門だけでは対応が難しく、工場の専門家である製造部門と、IT部門が共同でネットワークを構築していく必要があります。さらに設備間のネットワークですから、運用および保守については基本的にIT知識の乏しい製造部門だけで対応しなくてはいけません。その点、NECのGUIは製造部門の私たちが『ユーザに優しい』『自分たちでもやれる』と感じました。他ベンダーにもGUIはありましたが、一目でNECの方が使いやすいとわかりました」と同社の岩瀬 猛氏は話します。

VTN(Virtual Tenant Network)という仮想ネットワークを構築できる点も決め手となりました。

直接インターネットにはつながっていなくても、設備のメンテナンス時に持ち込みPCが接続されるなど、生産系ネットワークにもウイルスが混入する可能は否定できません。

「古いOSが搭載されている制御系端末にはホワイトリスト型のセキュリティ対策を導入するなど、我々も様々な対策を講じていますが、設備がネットワークでつながれば、1つのトラブルがほかの設備に波及し、最悪の場合には工場全体の操業停止につながるリスクがあります。過去には、IPアドレスが重複していたため、操作盤からのプログラム変更指令が別の設備に飛んでしまい、設備が誤作動を起こすという大きなトラブルが発生したこともありました。複数の仮想ネットワークで細かくセグメントを分けておけば、そのようなトラブルの影響を最小化でき、最悪の事態を回避できると考えました」(三沢氏)

「物理ネットワークを複数構築して安全性を確保するケースもありますが、それではコストがかさんでしまう上、運用負荷も高まります。1つの物理ネットワークに複数の独立した仮想ネットワークを構築できるSDNならそうした心配もありません。ほかにもSDNの提案を行った企業もありましたが、海外ベンダーの製品だったことなどから対応がスムーズではなく、そのこともNECの採用を後押ししました」と岩瀬氏は付け加えます。

導入後の成果

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
製造本部
製造管理部 業務改革推進グループ
鈴木 精一氏

工場の変化に柔軟に対応。高度な品質管理の実現に貢献

既存車種からハイブリッド車への移行が進んだり、グローバル化が加速したりするなど、自動車産業は大きく変わっています。同社も海外メーカーとの取引が増えるなどして、事業が大きく拡大しています。それを受けて、同社の工場では、製品ラインアップの変更によるラインの新設や増設、整理が進んでおり、SDNは、ライン新設のタイミングに合わせて導入されています。具体的には、まず本社第二工場、続いて岡崎東工場に導入されました。

「最初に感じたとおりGUIの使い勝手がよく、専門的な知識が乏しい私たちでも使いこなせています。ネットワーク構成の把握、トラブル箇所の特定はもちろん、拡張時もケーブルをスイッチにつなぎGUIで簡単な設定を行うだけ。工場でも安心して運用できます」と同社の鈴木精一氏は話します。 さらに今回のプロジェクトを通じてNECに対する信頼感が非常に高まったと岩瀬氏。理由は、工場ならではの事情に対する対応力だと言います。「例えば、オフィスとは異なり、工場では床にケーブルを這わせることができません。そのため設備用のケーブルラックを使って配線を行うのですが、NECはそのこともしっかりと把握しており、安心して工事を任せることができました。また、ネットワーク構築に関する様々な提案やアドバイスをくれたのも非常に助かりました」。

IoT活用に向けて、工場の生産設備をつなぐネットワークにSDNを導入するという大きなチャレンジを成功させたアイシン・エィ・ダブリュ様。画像解析技術を品質管理に役立てられないかなど、NECのほかの技術にも期待を寄せています。NECも高度な技術だけでなく、自身のものづくりで培った製造業における知見などを駆使しながら、その期待に応えていく構えです。

お客様プロフィール

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社

所在地 愛知県安城市藤井町高根10番地
設立 1969年5月15日
資本金 264億8,000万円
事業概要 オートマチックトランスミッション、ハイブリッドトランスミッション、カーナビゲーションシステムなどを開発、供給する自動車部品メーカー。設立当時、オートマ車はまだ一般的ではなかったが、「ATを通じてクルマ社会に貢献しよう」という壮大な夢をもって、製品開発を続け、様々な世界初の製品を開発してきた。
URL new windowhttps://www.aisin.com/jp/

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社

この事例の製品・ソリューション


本事例に関するお問い合わせはこちらから

(2018年12月6日)

関連事例

Now Loading