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すごいぞ顔認証 モーリーさんと対談 顔認証の可能性と未来を語る [14:39]
音声テキスト
モーリー・ロバートソンさん:
私の持っていたNECに対するイメージというのは
全体に四角くて立方体か直方体のものばっかりっていう感じがあったんですよ。
マシーンでアームが「ウィーン」くらいは行くかなみたいな。
あとは衛星の一部に何か入ってましたっていうんだったら納得するんだけども
本当にこの顔認証(虹彩認証との組み合わせ)
しかも100億分の1のエラーレートまで狭めることができたっていうのは驚きでしたね。
NEC DX Missionary
野口 圭:
そのイメージは決して間違ってはないのかなと思うんですよね。
いまだに我々、インターネットの世界でいけば光海底ケーブルみたいなものでインフラを支えていますし。
これからはきっとハードウェアの進化もすごく大切で、スパコンなんかもやってますし。
僕らの強みって実は、そのハードウェアも最先端、ネットワークも最先端
そこにAIも組み合わさるっていうのは結構ないって言われてまして。
そういう意味では、そこに今いただいたようなそういう印象を
これからは植え付けていかなきゃいけないなっていうのは強く僕らも思っています。
モーリーさん:
顔認証とかで…いわゆるID、生体認証ですよね。
これで広がる可能性っていうのが本当に広いなと思いました。
生体認証って、そもそも何でしたっけ?
野口:
これ 実は二つのことをやっていまして。
まずはモーリーさんいますよね。モーリーさん自身をまずデータ化する。
そのデータ化したモーリーさんがモーリーさんであるということをちゃんと確認する。
これが生体認証になります。
例えば、本人を確認する手段っていうのは自分の社員証とか色々な手段があると思うんですけど
生体認証はそういうことが一切不要でモーリーさんご自身があれば今のように自分自身を確認できるという
そういう技術になります。
モーリーさん:
例えば顔みたいなものを一体どういうデータにしているのか。
すごい気になりますね。
野口:
これ、言えない範囲もあるんですけれども…。どういうデータを取っているかというと
例えば黒目と黒目の距離ですとか、この辺の色の濃淡ですとか、色々な特徴量が顔にはあります。
そういう特徴量のどれを取ったらいいのかというのは長年研究しまして
瞬時に取る みたいな技術を卓越させています。
モーリーさん:
じゃあそのいわゆる…なんだろうな。脳っていうのかな?
人間が、あるいは生物がお互いの顔を認識しているっていうのとは
ちょっと違う手順で何かパースされているんですか? データが。
野口:
そうですね。
脳も似たようなことを実はやっているんですね。脳っていうのはものすごく賢いです。
もちろん解明は全部されてるわけじゃないんですが、モーリーさんも私の顔を全部見てるわけじゃないんです。
モーリーさん:
はーそうなんですか。
野口:
例えば目の形なんかを見て「顔っぽいな」ってまず見ていきます。
顔っぽいなと思ったらちょっと引いて、いろんな部位をいつも見る部位だけ見て
過去の自分のモーリーさん像と照合して「モーリーさん」って見ていくんですね。
なので、実は顔認証のステップって人間の認知のプロセスっていうものを
ある程度意識してアルゴリズムを作ったりしてます。
モーリーさん:
そうなんですか。面白いですね。
生体認証がすごく精度高いとか、役に立つ理由って何ですか?
野口:
これはいろんなニーズが実はありまして…その意味で生体認証って重宝されてるんですけども。
まずですね、絶対無くさないんですね。生体認証っていうのは。
通常皆さんですと、ICカードとか色々な証明書みたいなものを持っていますけども、これって紛失しますよね?
もうちょっと言うと、絶対忘れないんですね。
カードみたいな、物で認証をするものっていうのは無くすリスクがある。
パスワードとかIDもあるじゃないですか。
最近はそういうものが主流になってきているんですが、これは、はたまた忘れてしまうんですね。
モーリーさん:
それかペットの名前をスペルしてすぐ破られるか。
野口:
結構、認証技術っていうのは生体認証以外にたくさんあって、ただそのように結構皆さん不便してらっしゃる。
その時に、絶対忘れないし絶対無くさない代物として、生体認証がすごく重宝されている。
もう一つ実は理由があるのが、IDがですね、この世の中に恐ろしく乱立しているという現実があります。
だから皆さん財布がパンパンになってしまったり、スマホのアプリが異常にあって
いろんな認証のアプリを使い倒しているですとか…。みんなもうわけわかんなくなっているんですね。
我々は、そういうものはそのままでいいんですが、上に顔認証っていうものをラップさせてあげることによって
全部乱立したものを一気にシングルサインオンできる、みたいな世界観を目指していますので。
さっきも言ったように、意外に認証技術っていうのは「忘れてしまったり無くしてしまったりして不便だ」
もっと言うと色んなものが乱立してしまっている中、生体認証っていうものがやっぱり重宝される…。
モーリーさん:
買い物に行くたびに、「当店のカードをお持ちですか?」とか「当店のアプリをお持ちですか?」とか…
「うるさい!!」「無い!!」みたいなありますよね。
しんどいと思うんですよ、店員さん。
でも100人来たら100人に確認するから、結局口頭でやるしすごい無駄なんですよね。
それが 「あっあなたですか」って、レンズがこうやって目とか見て…で、決済まで(してくれる)
「ポイントは勝手につけておきました」ってなったら嬉しいですよね。
なんでやるんだろうね。みんな個別のカード発行しますよね。
野口:
そこなんです。だからやっぱりそういうような悩みだったり課題があって
生体認証っていうものが最近すごく注目されてきたのかなと思っています。
今日モーリーさんにぜひ聞きたいのは、生体認証ってこれからユーザー目線に立った時には
どういう領域でご期待いただいているのかってすごく知りたくて。
モーリーさん:
もう本当にね、単刀直入に答えられるんですけど。マイナンバーカード。あれなんとかして。
初期のマイナンバーカードを入れたんですけども、マイナポータルかな なんかに入る時にUSBのドライブを買ってきて
それをパソコンに挿して入れて、どうかなうまくいってるかなって言ってブラウザと見比べて…
「なんかうまくいってるみたい」とか言って入れたっていうので。だけどそこまで行くのに1時間ぐらいかかったんですよ。
それが物体レイヤーではなく、本当にそれこそ顔だったりとか声でもなんでもいいんですけど
自分を認証してもらえて、国民健康保険証とかそこら辺も全部一括で入れると本当にありがたいですよね。
野口:
IDとかマイナンバーってすごく大切で。
ああいうものがまず制度としてできたっていうのはすごく大切なポイントだったかなと。
あとおっしゃるところの使いやすさとかっていうのは
やっぱりこれからどんどん進化しなきゃいけないところだと思いますし
そこに我々が持っているような生体認証が寄与できたらっていうのは本当にやりたいと思ってます。
ちょっと違う話なんですけれども、例えば海外でいくと国民IDに生体認証を使うっていうのはもう実際始まってます。
モーリーさん:
ほーやってるんですか。
野口:
インドってすごい人口ですよね。
モーリーさん:
14億。
野口:
あそこでは顔認証だったり指紋認証、虹彩認証って実はもうやってるんです。
モーリーさん:
すごい!!
野口:
しかもそれがちゃんと浸透して、皆さんが使ってらっしゃるところまでをサポートさせていただいてますんで。
そこはやっぱり生体認証が本当に浸透したら、使いやすさって変わってくるのかなって思いますので
どんどんやりたいですね。
モーリーさん:
あとやっぱり一つの大きな社会的な課題として
これからやっぱり高齢化社会っていうのが世界中に広がっていくんですけれども
どうしても病院にお世話になってですね、お薬手帳とか…
それがね、案外どっか置いてきたとか、今日は何を飲めばいいのかとか。
あとは今スマホのアプリとかでお薬手帳入ってるんですけど
じゃあその認証を忘れたらどうなるっていう根本的な問題とかが起きますよね。
だから結構ね、私はそういうのを使い回してるうちにピリピリしちゃうんですよ。
あと例えば銀行の金融サービス。だからお金に関するサービス、あるいはお買い物情報。お買い物のコマースなんだけど
例えばブラウザーに入れとくのをリスクと感じて、私はキャッシュをクリアしちゃうんです。
そうすると結局最後は紙に書いとかなきゃいけないとか。
それが生体情報だったらサッといけて、外からクラックできないとか。
それがあると本当いろんなサブスクライブを行ったり来たりできて嬉しいですね。
野口:
そうですね。
そこは本当に生体認証の強みだと思ってまして、さっき高齢者の方っておっしゃったじゃないですか。
デジタルってすごくいろんな可能性を開くと思いますし
今までにないことを実現してるってのは間違いないんですけれども
おっしゃるように高齢者のことを考えてみるとその恩恵を受け切れてないと思うんですね。
それやっぱり難しかったり複雑だったり、数が多すぎたり…
我々の生体認証っていうのはそういう情報になかなか今まで触れてこなかったような人たちも
簡単にデジタルの世界の恩恵を受けられるとか、そういうような存在にならなきゃいけないなと思ってますので。
さっきみたいな、例えばIDが乱立しちゃってるようなものも
それはそのままに生体認証で全部紐付けてあげて全部が使えるようになるとか。
例えば高齢者の方が操作方法が分からなくても、その方を認証したらいろいろガイドしてくれるとか。
そういうのはやっぱりやらなきゃいけないと思います。
なので結構デジタルの世界だけじゃなくて、この世の中のマーケットっていうのは案外 人中心にできてなくて。
僕らが目指したいデジタルの世界っていうのはどうしたら人中心に物事が進んでいくか
もしくは一人一人が大切に見守られていくような世界になれるかってことが大事なので。
そういうところにデジタルをどう活躍させるかってことが…
モーリーさん:
本当大事だと思いますよ。やっぱりですね、今まさにレガシーになりつつある
老朽化しつつある価値観、世界観で「マスの幸福」っていう考え方があるんですよ。
「あの人が持っているものは新しいからあの人が持っていて、私も欲しい」
で、宣伝や広告のあり方そのものが「あの人が持っているのにあなたはまだ持ってないんですか?」とか…
それがだんだんと煮詰まっていくと窮屈な社会になるんですよね。
自分はありのままの自分を肯定したいのに、それだと足りないと言われている気がする、みたいな。
そういうマインドゲームでずっとせめぎ合うのが、それ自体がしんどいっていうのがあって。
それよりもむしろパラダイムシフトというか…世界観を前に進めて
それぞれの人が求めているクオリティーオブライフとか美意識や価値観っていうのは
十分それが全部集まると経済はいくらでも回ると思うんですよ。
だけどそれを一極集中で、上から3番目のランキングまでの商品が各ジャンルで売れていて
そこに熾烈な競争が業者同士で起きているっていうのがね…。どっかねじれていくと思うんですよ。
加えて、マスでプロデュースすると、結局20世紀は問題にならなかったのが
作りすぎたものをどう廃棄もしくはリサイクル(していくか)。これが環境問題ですよね。
そうすると今だと例えば古着をアップサイクルで、自分で縫製してでもいいから
自分のオリジナルに持ってきたいっていう人も増えている。
その人たちのニーズはあまりにもニッチすぎて検索エンジンにも乗らないわけですよ。
そこにアンサーがあると、本当に幸せになる人が新たに増えるような…
野口:
本当、おっしゃることがものすごく大事で。
例えばデジタルIDが浸透して、一人一人をデジタルの力で見つめられるようになったからといって
個々に全部サービスが適用されていってしまうとコストがかかりすぎてしまうので、破綻してしまうよね…と。
そういう意味ではサプライチェーンの有り様だったり、ものづくりの作り方も全部最適化されていかないと
本当に一人一人に合わせるって難しいと思うんですね。
例えば最近だとよくオンデマンドで、今までは100個売るって決めたら100個売るラインを作って…
作っちゃって、その需要喚起をして売っていったと思うんですけれども、これからは本当に欲しい人がいたら
それに合わせてサプライチェーンが最適化するっていう考え方はよくあるんですけども
本当にそういうものが実現して、かつ一人一人のデータが ちゃんと渡っていって分析されるみたいに…
おっしゃる全てのものがしっかり同じ方向性を向いていくってことが大事だと思います。
モーリーさん:
だからみんながね…なんかちょうどいいバランスを
そしてみんなの持っているものが一つずつちょっとずつ違っていれば
いわゆるかつての「あの人が持っているものを私も欲しい」っていうそういう欲望の喚起じゃない
ある種もっとオーガニックで 「私が私らしく生きる」という意欲ですよね。
その先にマーケティングっていうものが一緒に進化してくると本当嬉しいな。
野口:
本当そうですね。
そういうのを聞きながら感じたんですけれども、デジタルIDって所詮デジタルIDなんですよね。
その先に今おっしゃった本当の自分のニーズって何なんだろうっていうことがやっぱりくっついてこなきゃいけないですし…
もっと言うと、教育とかで考えると「自分自身って何なんだろう」とか
「自分って本当に何を感じてんだろう」みたいなことを、最近は案外考えなくなってきているので。
やっぱり我々はただ単にIDって仕組みを導入するんじゃなくて、人それぞれが自分自身をどう感じるかとか
そういうことをどう我々としてサポートできるかも考えなきゃいけないかもしれないですね。
モーリーさん:
NECに対する希望なんですけれども、本当のイノベーションをですね…
かつての時代ではいろんなプレイヤーが日本からイノベーションを発信したりしていました。
今はまた時代が変わって、この時代に、全世界的に求められるようなイノベーションを作ってくれると嬉しいなと思います。
野口:
ありがとうございます。
Orchestrating a brighter world
NEC
概要
モーリー・ロバートソンさんにNECの生体認証を体験していただいた後、 顔認証の可能性と未来について、たっぷり語ってもらいました。
NEC DX Missionary 野口圭との対談動画 完全版です。
(2023年6月30日)