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地球を見つめる星を造って 第3回 二人で見上げる宙の彼方へ

次へ、未来への挑戦

  • 小笠原:次の気候変動観測衛星GCOM-C1では大幅にデータ量も増えるようですが、それに向けてのお二人の抱負を教えてください。もちろんお二人は今後も担当するのですね。
  • 内木、北本:もちろんです、今度は私たちがチームの中核となって開発します。
  • 内木:今は基本設計というフェーズです。GCOM-C1では地上に降りてくるデータ量が1秒間に120メガビットと、「しずく」の10倍以上になるので、当然処理するCPUの台数も大幅に増やす必要があります。

    「しずく」では計算機にアイドリング時間があって処理遅れが生じてもなんとかそこで吸収できたのが、今度はそういった時間も確保できません。

    あらゆる異常ケースを想定し、柔軟に対応して、提供の優先度が高いものを制御してユーザ要求に対応する、そんな技術もふんだんに盛り込む必要があります。これは「しずく」で実証された技術の応用です。
  • 北本:そういった挑戦も、私たちが「しずく」を経験して、そのノウハウがあるからできるものだと思っています。NECが作るSGLI(多波長光学放射計:可視光と赤外で合計19チャンネルの観測を行う)というセンサがもたらす膨大なデータを軌道1周回毎にどんどん処理します。二人ともまた新しいものに挑戦、これからも勉強しなくちゃ。

写真:「しずく」ミッション運用系を作り上げた二人試験を続ける内木(左)と北本(右) 社内のGCOMマシン室にて

  • 小笠原:宇宙に関わる仕事についていることについて、どう思われますか?
  • 北本:自分は希望がこういった形でかなって、幸せだと思っています。大学で研究したことをそのまま仕事に出来るなんていう人は多くはないですね、私はそれを仕事に出来たわけですから。やりがいは十分。私がやっているリモートセンシングだけではなくて、「宇宙」というものに関わってみたいという人には是非、入社して私たちと一緒にやりましょう。
  • 小笠原:北本君は優秀なリクルータになれる・・・
  • 内木:私は大学で、研究のためにEORCからデータをもらっていたのです。今は立場を逆にして、世界中のユーザにデータを提供する立場になっている。自分がやった仕事の結果が多くのところで役立てばと思ってます。こういったことは開発の途中では考えることも無かったのですが、周りから大変期待されてるという話を聞いて、今では強くそう思うようになりました。
  • 小笠原:若い二人から力強い言葉を聴けました。とはいえ、二人とも仕事に行き詰ったりするでしょう、そんな時の解消法はどうしているのですか?
  • 内木:大変な時期にようやく休みが取れたときは何といってもサーフィンです。とにかく運動不足になりがちなので、体を動かすこと、これが一番ですね。
  • 北本:サッカーです。会社には多くのサークルがあって、私はサッカーやっています。あとは仲間です、何か仕事上で詰まってしまった時に、よく相談する仲間がいるので、結構教えてもらっていますね。本当にいい頼りになる仲間たちです。

「しずく」のミッション運用系システムを作り上げた若い二人の技術者の言葉には勢いがあった。周りの先輩からも「彼らは、「しずく」の開発にたずさわったここ4年の間ですごく成長した」という声が聞こえる。次世代のリーダがこうして育っていく。

エピローグ : 2012年夏 二人で見上げる宙

筑波の宇宙センター、「しずく」ミッション運用室に足早に向かう二人。

「なあ、北本、今度のGCOM-C1データ量が半端じゃないぞ、どうする、リアルデータ処理の負荷も高いし・・・」
「あの手があるじゃないか、二人で「しずく」処理で作った、リアル処理と後処理系を柔軟にコントロールする、あれ!」
「そうか、さっそく設計書に盛り込もう」

晴れわたったそら、2012年夏、13:30。
どちらともなく見上げたその青い虚空をAMSR2のアンテナを回転させて
「しずく」が北に向かって飛んでいる。

あの時、フェアバンクス、その時は一人で見上げていた。
7年かけて、ようやくここまでやってきた想い・・・・
今は仲間と二人で見上げる宙。

「内木、急ごう! リアルタイムデータが入ってくるぞ」

取材・執筆 小笠原雅弘 2012年8月2日

内木 康裕(ないき やすひろ)

写真:内木 康裕(ないき やすひろ)

NEC航空宇宙システム
2005年NEC航空宇宙システム入社
2009年よりGCOM-W1情報システム系担当

北本 知之(きたもと ともゆき)

写真:北本 知之(きたもと ともゆき)

NEC航空宇宙システム
2007年NEC航空宇宙システム入社
2009年より、GCOM-W1データ処理系担当

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