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JAXA GCOMプロジェクトマネージャ 中川敬三 氏 インタビュー 宙から視る水の行方

A-Trainのトップランナーとして

  • 中川:軌道制御のチェックが終わって、「A-Train」への軌道投入が始まりました。
  • 小笠原:今A-Trainという大変魅力的な名前が出てきました、これは Afternoon Constellation のことで、「午後1:30」に赤道上空(他の場所でも同じように地方時1:30ころに上空を通過する)を南から北へ次々と複数の衛星が連なって横切っていく軌道のことを指していますね。まるでジャズの名曲の響きがある・・・・その軌道に関してお話下さい。
  • 中川:A-TrainはNASAが主導した計画で、質問のように複数の異なるセンサを搭載した衛星がほぼ同じ軌道に連なったような「午後上空通過の軌道」を指します。この軌道に「しずく」を加えることや、投入方式に関してはNASAやCNES(フランス国立宇宙研究センター)との綿密な調整によって決められました。
    投入計画は上記機関による審査会で承認を受けた上で実施できたものでした。これだけ近接した同一軌道に衛星を軌道投入するということは、日本としては初めての経験です。これは、例えれば衛星のランデブー技術に通じるものです。
    でもランデブーの場合は、データ中継衛星を使い、常に地上とのコンタクトを保ちつつ実施するのに対して、今回は衛星が中継機能はもたないのでリアルタイムで状況を知ることが出来ませんでした。ということは軌道制御計画が全てで、この計画と実績を常に付き合わせながら軌道を追い込むしかなかったのです。
    当初軌道は数%の誤差は覚悟していましたが、実際には、両者が99.6%といった驚異的な精度で一致してきたこともあり、制御回数を減らすことになり、軌道投入が予定のスケジュールより早くなったほどです。これには、軌道投入計画/制御/軌道決定など様々なメーカの方の協力があってのことです。「こうのとり」で培ったランデブー技術も大いに活きました。
  • 小笠原:A-Trainの図を見ると、現在「しずく」はA-Trainの先頭にいます。なぜこの位置に置くことになったのですか?
  • 中川:NASAから「しずく」をA-Trainのどこにおきたいか、打診がありました。「しずく」はAMSR2のデータを最大限活かすために、米国Aqua衛星から10分以内の位置におきたかったのです。これはAqua搭載可視赤外センサ MODIS ( Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer ) と同時観測をしたかったためです。
    とすると、この時点で先頭にいるAquaの前か後ろのどちらかということになり、「後ろ」に入れる(前後に衛星が存する)より、片側(実際には軌道の後ろ側)にしか衛星が居なくて、投入が比較的しやすく安全という先頭を選んだというのが実態です。
  • 小笠原:なるほど、投入のしやすい場所を選んだので結果的にそうなったのですね。それでもA-Trainの先頭=トップランナーというのは何とも誇らしい位置ですね。(笑い)

図版:A-Train概要図 2012年現在で、先頭に描かれているOCO-2(CO2観測衛星、NASA)は未打ち上げA-Train概要図
2012年現在で、先頭に描かれているOCO-2(CO2観測衛星、NASA)は未打ち上げ

  • Aqua地球の水循環を観測するNASAの衛星AMSR-Eを搭載(現在観測は終了)
  • CALIPSO光学ライダーを用いてエアロゾル、雲を観測するNASA/CNESの衛星
  • CloudSat電波レーダを用いて雲のデータを取得するNASAの衛星
  • PARASOL2009年にA-Trainを離脱
  • Aura大気組成、化学反応やダイナミクスを観測するNASAの衛星
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