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水と私たちの生活 第1回 衛星からのデータが人々の食生活を支える──漁業情報サービスセンター

重要なのは継続していくこと

──漁場の把握が容易になり魚が獲りやすくなると、獲りすぎの危険性も高まるように思うのですが……。

  • 為石:

    写真:漁業情報サービスセンター 為石 日出生 氏

    漁業の効率化が乱獲につながるのではないかという危惧ですよね。それはむしろ逆です。衛星データの活用は、「計画的漁業」を可能にします。計画的漁業の実現は、水産資源の保全に結びつきます。

    漁場がいつ見つかるかがわからなければ、魚群を見つけた時点で獲れるだけ獲ってしまおうということになります。しかし、漁場分布が正確に把握できれば、次に魚がいるところがどこかがわかるわけですから、「獲りだめ」をせずにすむようになります。結果、適正な漁獲高を保つことができ、資源の保全につながるということです。

    また、計画的漁業は市場価格の安定に結びつきます。同じ魚を獲りすぎると、価格は暴落します。結果、漁業関係者はいわゆる「大漁貧乏」となり、消費者はスーパーで同じ魚ばかりを買うはめになってしまいます。いろいろな魚を、できるだけ安定した適正価格で求めたいというのが、多くの消費者の願いです。計画的漁業はそれを実現するわけです。

──漁業が農業のように計画化されるわけですね。

  • 為石:そのとおりです。それが実現すれば、漁に出る時間が短くなるなど、漁業の労働条件の改善にも結びつくでしょう。それによって、後継者問題の解決も期待できます。衛星の活用は、漁業にとってあらゆる面でプラスになるんですよ。

──今後、「しずく」、あるいはそれに続くプロジェクトに期待することは何ですか?


  • 為石:衛星の活動が今後も途切れることなく続いていくこと。それに尽きます。衛星からのデータを活用することが現在の漁業の前提となっている以上、もはや衛星なしの漁業を想定することはできません。

    日本人が魚を食べる食生活を続ける限り、データは継続的に必要になります。そのデータを提供できるのは、衛星以外にありません。日本国民が今後も安心して魚が食べられるかどうかは、衛星にかかっている。そう言っても過言ではないんです。

    衛星の設計寿命は5年と言われています。しかし、漁業や食生活に寿命はありません。現在の「しずく」のあとを継いで、2号機、3号機、4号機が引き続き人々の生活を支えていってほしい。そう願っています。

取材・執筆 二階堂 尚 2012年10月15日

為石 日出生(ためいし ひでお)

写真:為石 日出生(ためいし ひでお)

社団法人漁業情報サービスセンター 専務理事

1972年、東京水産大学(現 東京海洋大学)卒業。
同年社団法人漁業情報サービスセンター設立入社。2003年同 常務理事を経て2011年より現職。
1982年より人工衛星情報の漁業への導入開発を推進。1994年農学博士授与(東京大学)、1995年日本水産海洋学会より宇田賞受賞。1999年東京水産大学非常勤講師、2003年インドネシア国立ウダヤナ大学客員教授。

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