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  3. 準天頂衛星システム
  4. 日本版GPSの実現を支える~NECプロフェッショナルインタビュー~
  5. 第1回 グループの総力を結集し準天頂衛星システムを支える
  6. 拡張性を念頭に置いたシステム開発
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グループの総力を結集し準天頂衛星システムを支える

拡張性を念頭に置いたシステム開発

──地上側のシステム構成の考え方は?

  • 佐藤:準天頂衛星システムは、現在初号機の「みちびき」のみですが、2010年代後半までに3機が加わり、さらに将来的には7機体制となり他国に依存せず独立した衛星測位システムとなります。したがって、システム開発にあたり私たちが求められたのは、システムの安定稼働はもちろんのこと、今後の拡張を見越した基盤を作り上げることでした。

    その解決策の一つが「仮想局」という考えに基づいた基盤の構築です。一般的に衛星の数が増えれば、追跡管制局も増やさざるを得なくなりますが、もし特定の衛星を特定の追跡管制局からしかコントロールできないという制約があると、システム全体の運用がたいへん煩雑になってしまいます。そこで、複数の局を束ねて、あたかもそれら全体が一つの局であるかのように運用する、それが「仮想局」の考え方です。

    これによって、衛星が増え、局も増えたとしても、運用する側はそれを意識せずに効率的な運用ができます。

──このシステムを構成している特別な技術は。

  • 佐藤:実現する一つの鍵が、NECのExpress5800シリーズ「ftサーバ」にあります。仮想局は実在する局が一箇所に集約しているようなものなので、ここが止まるとすべての局が使えなくなり、衛星測位サービスが止まってしまいます。言い方を変えれば、システム上のボトルネックともなりますので、他の部分より高い可用性が必要です。

    ftサーバは内部でハードウェア的に完全2重化されており、専用チップで処置状態を常に同期しています。もし、このサーバ内部で故障が発生しても、運用者はまったく気づかないうちに内部での切り替えが行われ、運用を継続できます。この高可用性を持つftサーバが、追跡管制局とマスターコントロール局の通信を集約する「仮想局」を支えています。

Express5800/ftサーバ

写真:Express5800/ftサーバ無停止型サーバ
Express5800/ftサーバ

「Express5800/ftサーバ」の特徴は、1つの筐体の中に、CPUやメモリなどの主要部品をサーバ2台分格納し、NEC独自の技術によって、各部品を同期させている点にあります。これによって、いずれかの部品に故障が発生した場合でも、システム停止を免れることができます。

システムにトラブルがあった際も継続して稼働できる能力を「可用性」といいます。以前から、銀行の勘定系システムや、ライフラインの制御システムなど、人々の生活に直結する重要なシステムでは高い可用性が実現されてきました。現在、社会のあらゆるサービスやビジネスがネットワークを介して結合されるようになり、より広い分野のシステムにおいて高度な可用性が求められるようになりました。

その高可用性を、比較的安いコストで、高度な専門知識がなくても実現できるのが「Express5800/ftサーバ」です。現在、「Express5800/ftサーバ」は、金融、製造、公官庁、自治体、学校、医療機関、通信、メディア、流通・小売業、サービス業など、極めて幅広い分野で使われています。

  • 佐藤:ほかにもネットワーク上のサーバを常に監視する「WebSAM SystemManager」、マスターコントロール局で取り扱うデータを自動的にバックアップする「iStorage」、マスターコントロール局と追跡管制局をつなぐWAN回線の状態を常時監視する「ActWatch」といったソリューションも組み込んでいます。いずれもリスク管理を万全にする備えです。

──現在はどのような状況か。


  • 佐藤:現在はJAXAを中心に実証実験を進めており、システムや信号の品質を向上させる段階にありますが、一部、一般ユーザー向けのサービス提供も行われています。

    先日「みちびき」の信号を受信できる車載機器が市販されました。これはGPSと準天頂衛星の両方の信号を受信することで、従来の機器よりも精度の高い位置情報が得られます。より便利な機器の普及が一段と進めば、多くの皆様にも準天頂衛星のメリットを実感して頂けます。よって、このような実証実験や一部のサービス利用が滞りなく進むように、私たちは地上側のシステム運用を進めています。
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