リュウグウの北極・南極

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日本時間2018年6月26日、03:50ごろに撮影された小惑星リュウグウ。中央の最もふくらんだ部分が赤道にあたる。
クレジット:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研

小惑星探査機「はやぶさ2」は、1年5カ月に渡って小惑星リュウグウの近傍に滞在、さまざまな観測を行いました。ただし、基本的に探査機がいたのはリュウグウの赤道の上空です。リュウグウの写真では、最もふくらんだ部分が赤道です。
「はやぶさ2」がリュウグウの北極・南極まで自在に飛んでいって極域を観測することは難しいのですが、津田雄一プロジェクトマネージャはいざという場合には探査機を複雑に操作し、リュウグウの周囲を南北方向に周回させて極域を観測する驚きの計画を立てていました。どのような軌道に入ることができれば可能になるのか、というところまで検討が進んでいたといいます。
実施はされなかった探査機によるリュウグウ周回計画ですが、2019年9月にターゲットマーカを探査機から放出し、リュウグウの重力を観測するミッションに活かされています。このときターゲットマーカが投入された軌道こそ、「はやぶさ2」本体の周回のために検討された軌道だったのです。このときは、NEC側も「これならばリスクが非常に少ない」と考えて運用を後押し。小惑星リュウグウの小さな衛星となって飛んでいくターゲットマーカの美しい画像を捉えることができました。

取材・執筆:秋山文野
2020年3月30日 公開

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