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小惑星リュウグウに捧げた2019年の正月
ついに到着した小惑星リュウグウですが、その表面には「ボルダー(岩塊)」と呼ばれる岩にくまなく覆われ、小惑星探査機「はやぶさ2」が安全に着陸できる平坦な場所はほとんどありませんでした。着陸を実施すると、探査機は岩にぶつかって損傷してしまう可能性があるほどでした。
こうした課題を克服する検討が熱く行われていたのは、2018年末のことです。年の瀬が押し迫る2018年12月27日にも議論のミーティングが行われていたといいます。
当初、JAXA「はやぶさ2」プロジェクトチームから提案されたプランは、探査機の姿勢制御担当者からは実施困難と判断されていました。このままでは、リュウグウに降り立つ手立てが見つからないまま、地球では正月を迎えてしまう……とチームが悩んでいたとき、12月27日の夜9時をすぎて、JAXA「はやぶさ2」プロジェクトチームから新たなプランが届きます。最終的に、これが第1回のタッチダウンを成功に導く方法となったのです。もともと、2018年12月は、「合運用」という探査機と小惑星の位置関係から地球との通信ができず、運用を休止する期間でした。チームも休息を考えていたそうですが、実際には年末年始も含めほとんどタッチダウンの検討にあたりました。
取材・執筆:秋山文野
2020年3月30日 公開