運用チーム、出動

zoom拡大する
地上でSCI(衝突装置)の分離を確認 (2019年4月5日)
クレジット:ISAS/JAXA

JAXA「はやぶさ2」プロジェクトチームはJAXAと日本の企業、大学や関係機関で構成されています。小惑星リュウグウの滞在期間中には、主にJAXAとNEC等の企業のメンバーが緊密に協力し合って探査機の運用にあたっています。佐伯孝尚プロジェクトエンジニアによれば、小惑星付近に滞在し、大きなミッションを実施しないといった運用の場合は、JAXA側から「スーパーバイザー」という当日の運用責任者、NEC側からは探査機に指令を送る「コマンダー」という担当者の組み合わせでチームが組まれます。
小惑星へタッチダウンするといった非常にクリティカルな運用の場合は、探査機の各部門から総出でチームを編成。探査機のシステム、熱制御、姿勢制御、画像航法など各部門からそれぞれの担当者が自分の専門視点で運用をチェック。手順通り安全にミッションが進むよう見守ります。NECからも常時7人程度が運用に参加し、24時間2~3交代シフトで重要なミッションに当たるのです。
チームの中でも、システム担当者は探査機全体を見守る立場です。スケジュール通りにものごとを進め、さらにいざというときに対処する大きな役割を担っています。第1回目のタッチダウンを始めた2019年2月21日には、探査機シーケンス(一続きの動作手順)の誤動作が見つかり、当初の予定から5時間遅れるといいう緊急事態が発生しました。その際にも、JAXA・NECシステム担当が協力して対応策を洗い出し、ソフトウェア改修を進めて無事にミッションを実施しました。こうした緊急事態への対応も運用チームの役割となっています。

取材・執筆:秋山文野
2020年3月30日 公開

その他の記事