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楽天ヴィッセル神戸とNECが取り組むNew Normal時代のスポーツ観戦
デジタル技術を活用し“感染症対策”と“おもてなし”を実現
Under COVID-19の今、プロスポーツ界は観客数の激減による減収が甚大な状況で、まさにプロスポーツ運営の根幹が崩れる状況に陥っています。
安全・安心なスタジアムで心からサッカーを楽しんでもらうために――――
楽天ヴィッセル神戸とNECは、ノエビアスタジアム神戸で行われたホームゲームにおいて、映像分析や顔認証などのデジタル技術を活用し、“感染症対策”と“おもてなし”の実証実験を実施しました。スポーツエンターテインメントの日常を取り戻すため、さらにその先を見据えた新しい観戦スタイルを実現するための取り組みに大きな期待が寄せられています。
実施日:2020年11月15日(湘南ベルマーレ戦)、18日(浦和レッズ戦)
実施場所:ノエビアスタジアム神戸
実施内容:デジタル技術を活用した“感染症対策”と“おもてなし”
感染症対策
感染症対策をさらに万全にするための取り組みにデジタル技術を活用。安全・安心な観戦を実現するための実証実験を行いました。
1台の望遠カメラで約4,000の観客席をモニタリングし、映像解析技術でマスク未着用者を検知。スタッフが効率的にマスク着用状態を把握し、適切な対応を行うことができました。

人々に感染症対策を促す
~マスク未着用者の検知~
行列で密になりやすい売店前やトイレ付近をカメラ19台で常時モニタリング。AI技術により、混雑度を色の変化(赤・黄・緑)でモニターに表示。リアルタイムに混雑状況を確認できるので、スタッフが臨機応変に観客を誘導し密を回避・解消することができました。

密な状態をつくらない
~混雑度のモニタリング~
メディアの方々に事前に顔情報を登録してもらい、受付で顔認証と体表温度測定を組み合わせた受付を実施。自動化により人との接触を低減した入場を実現しました。

安全でスムーズな入場
~メディア受付の無人化~
おもてなし
ヴィッセル神戸最高ランクのVIP席「プレミアム・ソシオ・クラブ会員(PSC会員)」向けに、顔認証技術を活用した新しいサービスの提供に取り組みました。
来場時に登録いただく顔情報をもとに、専用出入り口のカメラでPSC会員を認証。受付時にはWelcomeメッセージを、退出時にはThanksメッセージを表示。お名前が表示されることでVIPならではの特別感が演出され、会員の方にご満足いただけました。

特別感の演出
~Welcome/Thanksメッセージ~
PSC会員ご来場の際には、受付時にスタッフへ瞬時に通知が届きます。お迎えに出向いたり、素早くプレゼントをお渡ししたりと、よりきめ細かなおもてなしが実現できました。

きめ細かなフォロー
~PSC会員のご来場通知~
会員専用ラウンジの受付にも顔認証を活用。お弁当のお渡しの際なども、便利さと特別感を実感していただけました。

便利さの実感
~PSC会員専用ラウンジ受付~
Under COVID-19 も、そしてその後も、安心して楽しめるスポーツ観戦を
楽天ヴィッセル神戸株式会社 代表取締役社長 兼 株式会社楽天野球団 代表取締役社長 立花 陽三 氏
課題:Under COVID-19におけるスポーツ界の状況

代表取締役社長 兼 株式会社楽天野球団 代表取締役社長
立花 陽三 氏
ヴィッセル神戸は前年の入場者数が37万人でしたので、Jリーグ再開後は観客もすぐ戻ってくるだろうと考えていました。ところが、再開後の7月18日(土)の観客は3,500人、その後も3,000~5,000人の観客と非常に苦しい状況が続きました。
そのような状況のなか、私たちは安全・安心なスタジアムの実現に向けて、さまざまな取り組みを行いました。ソーシャルディスタンスの徹底、入場時の体温確認と手指の消毒、マスク着用の徹底、定期的なスタジアムの消毒、イベントの自粛、声を発する応援行為の禁止、立ち入りエリアの制限、再入場の禁止、スタッフの健康・体調管理の徹底などです。
結果としてスタジアムでの感染はゼロ。広大な場所でもしっかり対策をすれば、感染は防げることを説明できたシーズンでもありました。
しかしながら、人海戦術でのマスク着用の徹底は非常に苦労しましたし、トイレ付近や帰り道に観客が集中した際のディスタンス確保は改善の余地ありでした。
デジタル技術を活用することでこうした対策をさらに強化する。マスク未着用者や人々の密集箇所が正確にタイムリーにわかるというのは、運営側にとって非常に有益な情報です。お客さまに100%安全であると実証することがプロスポーツ界を守ることにつながるし、お客さまが球場に来たい、スタジアムに来たいと思っていただける環境を実現できる。こう考えて、NECとの実証実験に取り組むことを決断しました。
成果:感染症対策とおもてなしに確実な手応え
マスク未着用者には“何分間外していましたね”と実データに即すことで注意がしやすくなります。現在は、お客さまのスマホに※QRチケットを表示するチケットレス入場を行っているので、今後は注意喚起もスマホにダイレクトにメッセージを送ることも可能です。加えて、トイレの空き情報や試合終了後の混雑情報などについても提供できればと考えています。
おもてなしに関しては、デジタルサイネージを利用して個人に向けたメッセージが送れる仕組みを初めて見ました。ロイヤリティの高い方に非常に喜んでいただけるサービスですね。また、来場情報がプッシュ通知されますので、すぐにご挨拶にうかがえるし、タイミング良くユニフォームを渡すなどサプライズな演出もできるので、お客さまに特別感をもっていただくための素晴らしいサービスだと思います。
今後の展望:お客さまを「スタジアムに足を運びたい」というマインドに
現在は特にお子様や年配の方のご来場が減っています。招待券をお渡ししても、スタジアムにいらっしゃらない。スタジアムが安全だとしっかりご理解いただかないとスポーツ観戦したいというマインドにならないということだと思います。ですから“マスクをしていない人はいない”“きちんとソーシャルディスタンスが取れている”と言い切れる環境づくりが極めて重要です。しっかり対策に取り組んでいることを世の中に発信し、お客さまにスタジアムに戻ってきてもらうことが、スポーツ界、興行界を守ることにつながります。
サッカーと野球は、強いインパクトを人々に与えます。我々は新しい挑戦をしながら、安全・安心の空間を提供し続けます。そのために、NECのテクノロジーは我々の大きなサポートになると考えています。
「安全・安心」と「おもてなし」を支援。地域社会への貢献も視野に
NEC 執行役員 林 良司
課題:安全・安心をインフラ構築で支援するために

Under COVID-19 による社会の停滞ムードを払拭するため、スポーツイベントで感動や勇気を感じてもらうことはとても大切です。安全・安心なスポーツ観戦を実現するために私たちITベンダができるのは、インフラ構築の面で運営を支援すること。そこで、再びイベントを活性化させるための支援プロジェクトを社内で立ち上げ、国や自治体と一体となった政策の提言を行うこととしました。
プロジェクト推進にあたりインフラの具現化を目指していた折、立花様と面談の機会があり、スタジアムでの実証実験について相談したところ“面白い、すぐやろう”と快諾していただきました。
成果:NECのデジタル技術の有効性を実証
技術的には、VIP対応における顔認証からサイネージ表示へのスピードの速さ、マスクをしていても会員を認証できた点を高く評価しています。混雑状況のモニタリングでは、19台のカメラ映像をモニターの色の変化でとらえられるメリットは大きく、警備担当者からは赤・黄・緑の色の変化が感覚的にわかりやすいと高評価。複数の政府関係者も、実際の画像を見て素晴らしいと評価してくれました。
マスク未着用者へのお声がけは、今後はテクノロジープラスαの仕掛けも考えられそうです。マスク未着用のお客さまにスマホから直接アラームをあげる。たとえば選手からのイエローカード提示のような演出を加えれば、スタッフが直接声がけするよりも、より効果が上がるのではないでしょうか。
今後の展望:お客さまを「スタジアムに足を運びたい」というマインドに
今回の仕組みを活用すれば、もしもスタジアム内で感染者が出たとしても、顔認証で濃厚接触者がわかりますし、陽性者の回遊状況や動線の確認にも利用できます。もちろん顔認証の履歴情報は、マーケティングにも活用できます。
こうしたデジタル技術は感染症対策だけのものではありません。ローカル5Gや楽天モバイルをはじめとするキャリアの5Gを利用すれば、スマホにリアルタイムにゴールシーンを再生するなど、“ワクワク感”“楽しさ”を提供する演出もできます。
また、お客さまの顔情報とチケット情報を紐づければ共通のID基盤ができますので、これを活用すれば、スタジアム内はもとより周囲の商店街や交通機関でも、シームレスに多様なサービスを利用できるようになります。スタジアム全体と地域が一体となって盛り上がる。私たちは、地域活性化、地域貢献を念頭に置き、スポーツイベントの日常を取り戻すだけでなく、テクノロジーを駆使した新たな取り組みにも挑戦していきます。