事例紹介

日本のおもてなしを実現するNECの観光ICTサービス
~越前加賀での取組み事例~

石川・福井両県にまたがる越前加賀エリアには、霊峰白山や曹洞宗大本山永平寺など日本古来の宗教文化、日本海を臨む名勝・東尋坊の絶景、そして加賀温泉や芦原温泉などで憩いながら味わう海や山の恵み、魅力的な観光資源がたくさんあり、外国からの観光客も年々増加しています。

課題:経験と勘がたよりの外国人観光客対応

越前加賀インバウンド推進機構* 事務局長 中嶋英一氏に、今までの課題について話を聞きました。

中嶋氏:越前加賀の宗教文化、食、温泉、自然の造形美などの様々な魅力を発信し、多くの訪日外国人のみなさんに来ていただきたいと考えていますが、一方で、外国人観光客への情報発信や受入側事業者のコミュニケーションの課題など、基礎的な部分からの受入環境整備が必要であることが見えてきました。また、このエリアを訪れる外国人観光客の実態を把握できておらず、観光客は何に満足し、どんな不満を感じたのかがわからないまま、一部の旅行関係者たちの経験と勘をたよりに推測して対処している実態がありました。

越前加賀インバウンド推進機構
事務局長 中嶋英一氏

越前加賀インバウンド推進機構とは
石川・福井の両県にまたがる4市1町(石川:加賀市、福井:勝山市、あわら市、坂井市、永平寺町)およびそれぞれの観光協会が参加して2016年5月に設立。
ホームページ:http://echizenkaga.jp

検討経緯:広域連携を活かした観光ICTサービスの基盤作り

こうした課題に対して、株式会社JTBプロモーションやNECグループが参画。NECグループは、観光支援基盤システムである「スマートツーリズムベース」を構築しました。

導入システム:スマートツーリズムベースの概要

このスマートツーリズムベースは、スマートフォンアプリやデジタルサイネージなどの端末を通じて、リアルタイムに情報を届け、外国人観光客や受け入れ事業者に、利便性の高い情報サービスを提供します。また、このエリアを訪れた外国人観光客の属性情報(性別、国籍、年代、旅行目的など)や位置情報をリアルタイムに収集・統合し、マーケティング活動に活用できます。

スマートツーリズムベースの概要図

1. マーケティングデータ収集基盤

越前加賀エリアを訪れる外国人観光客の属性情報や位置情報などをリアルタイムに収集・統合し、外国人観光客の動向を分析するための仕組みを提供します。受け入れ事業者や自治体は、これらのマーケティングデータを活用することで、外国人観光客への快適な観光体験を実現するための観光施策の立案が可能となります。

2. 越前加賀ナビゲーションアプリ(外国人観光客向けアプリ)

マーケティングデータ収集基盤や越前加賀エリアの交通情報との連携により、おすすめの観光情報・周遊ルートの閲覧機能や、各観光名所を巡るスタンプラリー機能を提供します。また、多言語(日本語・英語・繁体語・簡体語・タイ語)に対応しており、オフラインの情報閲覧も可能です。

3. 施設向けチェックインアプリ(受け入れ事業者向けアプリ)

指さし会話により外国人との基本的なコミュニケーションを可能とする多言語案内機能や、越前加賀エリアの観光情報・紹介動画・アンケートなどの配信機能を提供します。これにより、受け入れ事業者は外国人観光客とスムーズなコミュニケーションが可能となり、外国人観光客へのおもてなしサービスの向上を実現します。

4. デジタル情報スタンド(デジタルサイネージ)

従来、紙のカタログで陳列していた観光情報を大型ディスプレイ上にデジタルコンテンツとして表示します。また、画面をタッチして選択するだけの簡単な動作で、観光情報の詳細をスマートフォンにダウンロードして閲覧が可能です。これにより、設置事業者は限られたスペースで様々な観光情報を提供するとともに、人気コンテンツや利用動向などを分析することが可能となります。

成果:旅行客、事業者、行政の三者ともにメリットをもたらすサービスの実現

インバウンド推進パートナーの株式会社JTBプロモーション 長澤玄成氏はこう話します。

長澤氏:インバウンドの対応に、ICTの駆使は必然になってくると思います。
この観光ICTサービスを始めてから、インバウンド観光客に人気のある観光スポットや、どのように行動されているかがデータで見えるようになりました。また、収集されるデータは非常に有益なマーケティングデータとしてPRを検討する上で役立ちます。今まで経験値と勘に頼りがちだった企画立案が、データによる裏付けができたり、今まで見えていなかった行動結果を基に検討できそうです。

インバウンド推進パートナー
株式会社JTBプロモーション
北陸支店 営業チーム 
マネージャー
長澤玄成氏

2020年に向けて・・・

中嶋氏:今後、データ収集や情報発信を強化して、マーケティングデータを中心とした事業運営を行い、インバウンド集客をもっと増やしていきたいと考えています。NECさんとは、さらなる最適なICT活用や、全国のデータを活用したデジタルマーケティングなどで、より魅力ある企画を一緒に考えていけるのではと楽しみにしています。

NECだからできるICT活用の「スマートツーリズム」

観光関連の取組み事業は、私たちにとっては新しい領域ですが、従来から活用しているデバイスやソリューションなど当社のアセットが有効的に活用できる領域だと捉えています。さらにICTを活用することで発生するデータの集積や可視化といったデータ利活用に関しても当社のAIやビッグデータのテクノロジーが活かせると考えております。

観光関連でのICTの導入をきっかけに、旅行客と施設側とのコミュニケーションがより活発になり、観光客の方が「またこの地域に行きたい」と感じるような取り組みに発展していければと考えています。そのためにも、地域のパートナーとの連携は必要不可欠です。観光関連事業には多くのステークホルダーがおりますので、パートナーと連携しながら地域の活性化に役立てればと考えています。

東京オリンピック・パラリンピック推進本部 大塚 洋平