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笑顔あふれる交流。第1回長野県民パラスポーツ大会
パラスポーツをもっと知ろう!「PARA SPORTS NEWS アスリートプライド」番組レポート第2回自身の出身地であり、パラリンピック開催地でもある長野県。この地にパラスポーツを根付かせ、パラリンピック開催地としての誇りを県民のみなさんに持ってもらうために――。上原が主催した大会の様子を、上原の想いとともにお伝えします。
「PARA SPORTS NEWS アスリートプライド」(BS241 BSスカパー!)のワンコーナーで、さまざまな活動をお伝えしている上原大祐。3月23日、長野県松本市で開催された第1回長野県民パラスポーツ大会の主催者である上原は、NEC東京オリンピック・パラリンピック推進本部で障がい攻略エキスパートとして活動しています。

さまざまな30チームが集まり、みんなでプレーするボッチャ
当日は、長野県内から障がい者、健常者あわせて30ものチームが参加。年齢層は幅広く、下は小学生から上は80歳の方まで! 参加チームも多彩で、行政や学校からの参加を中心に、地元のJリーグクラブである松本山雅FC、NECからも松本支店と長野支店が出場しました。


「1998年に長野1998冬季パラリンピックが開催されましたが、地域にパラスポーツが根付き、日常化しているかといえば、決してそうではありません。なので、今日をきっかけに『長野県はパラリンピックを開催したすごい県だよね』と、あらためて思ってもらいたかったし、まず参加者のみなさんに『パラスポーツは楽しい!』と実感してもらうために、今大会を開催しました」
開会式で上原は長野県で開催する意義を語ります。
競技として選ばれたボッチャは、2チームによる対戦競技。各チームがそれぞれ赤色、青色のボールを投げ合い、先攻のチームが最初に投げ入れた白色ボールにより近いチームが勝ちとなる、カーリングのイメージに近いスポーツ。特別なスキルやパワーは必要とせず、まさに老若男女がプレーできるスポーツです。


NECは、この大会を全面的にバックアップ。大会関係者と協力して準備を進めるとともに、ボッチャのボールや成績優秀選手への記念品などをご提供しました。

パラスポーツを通して、誰もが楽しく交流
一投ごとに大きな歓声が上がり、良いプレーには自然と拍手が巻き起るなど、会場は大いに盛り上がりました。対戦したチーム同士、笑顔で健闘を称え合う場面がみられました。

「年齢や障がいの有無に関係なく、普段なかなか交流できない方々とたくさんふれあうことができました。何より親子で楽しみながらプレーすることができました。」
とは、車いすのお子さんをもつお母さんのコメント。こうした楽しい雰囲気を作り出すことこそが上原の狙いでした。熱戦の模様を眺めながら、上原は笑顔で話します。
「パラスポーツは障がい者にしかできないもの、と勘違いされています。その固定観念を変えるという意味で、この大会を開催しました。自然と拍手が起こり、コミュニケーションが生まれる。本当にいい雰囲気だと感じています。多くのみなさんに集まっていただけてものすごくうれしいです」
上原の想いが参加者に伝わる。ボッチャの魅力を通して長野がひとつに!
今大会は、多くの人のサポートがあって実現しました。上原と想いをひとつに本大会を共催したのが、(公財)身体教育医学研究所の岡田真平さん(写真左)と、(公財)長野県障がい者スポーツ協会の加藤正さん(写真右)です。

岡田さんは、今大会を長野県で開催した意義を、ご自身の活動を踏まえて語ってくれました。
「長野1998冬季パラリンピックを開催した長野県は、健康長寿県であり、教育、医療・福祉の先進県でもあることからさまざまな面で注目されています。パラスポーツは障がい者でもはじめやすく、社会との関わりを増やすキッカケになりますし、健常者にとってもスポーツを実践する敷居が下がり、障がい者との交流を持つ良い機会となります。加えて、障がい者が元気になることで、ご家族や支援される方々の負担軽減にも繋がります。今回、いろんな方がパラスポーツを楽しむ場をここ長野で創出できたことは、全国的な波及効果という面でとても意義があったと思います」
加藤さんは、障がい者スポーツを支援する立場での感想を話します。
「障がいの有無に関係なく、はじめて会った人たちが一球で友だちになれる。もちろん試合は真剣勝負で手加減なし。これこそがパラスポーツが持つ魅力であり、真の意味での“共生”です。公立小中学校の体育館はバリアフリーが進んでいない施設が多く存在します。また、長野県内には600名ほどの障がい者スポーツ指導員がいるので、彼らが活躍できる場を提供することも課題のひとつです。今日聞かれた『こんなスポーツがあるんだ』『これからも続けたいからみんなで集まろう』といった声が、まさに長野県の障がい者スポーツが発展するきっかけになると感じています」
こうした上原の想いは、ボッチャの魅力として、確実に参加者に伝わっています。
当日、見事優勝を果たした、下諏訪町スポーツ推進委員会のみなさんは、
「勉強させていただこうと思って参加したのですが、まさか優勝できるとは思いませんでした(笑)。ボッチャは誰もが一緒になってワイワイと楽しめる競技なので、下諏訪町でも広げていけたらいいなと思います」
と、長野県での広がりを予感させるコメント。

一方、会場でも注目を集めた松本山雅FCのみなさんは、真剣勝負での敗戦に悔しさを滲ませていました。
「サッカーは足を使う競技なので、今日は投げる力加減が難しかったです。みんなが楽しめる競技で、笑顔でプレーできるのがいいですね。でも勝負ごとなので、やっぱり勝ちたかったです。純粋に勝利を目指してがんばりましたが、みなさん上手で、勝ち残れませんでしたね」

参加者とのコミュニケーションで、たしかな手応え
無事に大会を終えた上原は率直な感想を語ります。
「こういう大会を開催すると健常者しか集まらないケースが多いのですが、今日は子どもから大人まで、障がいを持った人がいれば、そうではない人もいました。私がやりたかったことがそのまま叶いました」


多くの参加者とコミュニケーションをとり、手応えを得た上原の視線はすでに今後の活動に向いています。
「参加者の方々からは『楽しいスポーツですね』『今後もこういう大会を開催できたらいいですね』『応援するから一緒にやっていきましょう』といった声をたくさんいただきました。支えてくれる人の“輪”を広げていくことが、パラスポーツの“輪”を広げていくことになります。選手だけではできません。『する側』『見る側』『支える側』。そしてわれわれのような『作る側』。この4者でもっともっとパラスポーツを広げていく活動ができたらいいなと思っています」

大会を無事に終えて、閉会式で上原は参加したみなさんに気持ちをこう伝えました。
「この大会を第2回、第3回と続けていきたいと思っています。参加チームをもっと増やしたいので、みなさん、まわりの人を誘って、ぜひまた参加してください。長野県はパラスポーツが根付いている。そうした県にするべく、引き続きみなさんと盛り上げていけたらといいなと思っています。」
掲載情報は2019年4月時点での内容です。
