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誰もが主役になれる。それが、パラスポーツの魅力
パラスポーツをもっと知ろう!「PARA SPORTS NEWS アスリートプライド」番組レポート第1回みなさんはパラスポーツにどんなイメージを持っていますか──。福祉やリハビリの延長線上にあり、どの種目も障がい者だけが参加できる。そう考えている人が多いのではないでしょうか。こうした固定観念にとらわれず、パラスポーツが持つ本来の魅力、楽しさを日本全国に伝えるべく、精力的に活動しているパラリンピアンが、NECで障がい攻略エキスパートを務める上原大祐です。

パラアイスホッケーの日本代表として2006年トリノパラリンピック、2010年バンクーバーパラリンピックに出場。バンクーバーでは銀メダルを獲得し、一度は現役を引退。その後にふたたび競技を開始し、2018年平昌パラリンピックにも出場しました。こうした実績と経験から、パラスポーツの可能性を広げる独自の活動を展開しています。
新番組「アスリートプライド」で活動を紹介
上原はさまざまな講演や啓蒙・普及活動に取り組んでいますが、新たに、2019年1月から放送開始の「PARA SPORTS NEWS アスリートプライド」(※BSスカパー! BS241ch)に出演しています。パラスポーツの最新情報と楽しみ方を伝えるニュースエンターテイメントで、競技やパラアスリートの魅力を純粋に伝える真っ向勝負のニュース番組です。
番組MCを務めるのは、ドラマ撮影中の事故にあいながらも、懸命なリハビリに励み、復帰を果たした俳優の滝川英治さんと、パラ卓球アンバサダーを務めるアナウンサーの大橋未歩さん。レポーターはパラスポーツ経験者であるアナウンサーの久下真以子さん。番組中、上原はコーナーを持ち、自らの活動を通じてパラスポーツの神髄を伝える重要な役目を担っています。
2月22日(金)に放送された第2回のゲストは、清水宏保さん(元スピードスケート選手)と日本パラテコンドー界のパイオニア・伊藤力さん。清水さんもかつてNEC所属だったことから、上原のコーナーがはじまると大橋さんから「なぜ上原さんもNECを選んだのですか」と質問が飛びました。
「NECはもう30年近く、パラスポーツをサポートしていて、とくに車椅子テニスを1991年から支援してきました。さらに2020年に向けて、一層パラスポーツを積極的に推進しています。以前にNECで講演会をさせていただいたことが縁で、担当者と共感する部分があり、私の知識・経験を生かせると思いました」
さまざまな観点から障がいを「攻略」して、新しい仕組みづくりを
滝川さんからも質問が続きます。「障がい攻略エキスパートとは、どのような活動をしているのですか?」
「パラスポーツにはどうしても福祉というイメージがあると思います。そうではなく、ポップに、楽しく、ユーモアをもって変えていく。ゲーム感覚で障がいを攻略していこうという狙いです。障がいを持った人たち、健常者のみなさんへのアプローチ。さらには、社会の仕組みづくり。そうしたいくつかの観点から障がいを攻略し、2020年がゴールではなく、スタートとなるような活動をしています」
上原は昨年11月に四国3県(徳島、香川、高知)をまわって講演した際に、徳島県立鳴門渦潮高校を訪れました。パラスポーツは障がい者だけではなく、誰もができるスポーツであること。健常者もできることから、むしろ裾野が広いスポーツであることを生徒たちの前で話したところ、講演会後に校長先生から「子どもたちに体験してもらいたいので、ぜひ車椅子がほしい。どうしたら良いですか?」と尋ねられました。上原はすぐに競技用車椅子を手配し、1月下旬に6台が納品されたのです。

「県立の普通学校に、はじめてパラスポーツ用の車椅子が用意されました」
この一言には、滝川さん、大橋さんの両MCはもちろん、ゲストの清水さん、伊藤さんからも「オーッ!」という感嘆の声があがりました。
健常者もパラスポーツで活躍できる、主役になれる!
上原はさらに、実際に車椅子バスケットを経験した生徒たちの感想も紹介しました。何人かの生徒たちは、普段のバスケットボールでは活躍できないのに、車椅子バスケットボールでは活躍できたというのです。

「車椅子を使うと、足の速さ、ドリブルのうまさといった、みんなの条件がフラットになります。ちょっとルールを変えれば、また違った誰かが主役になれる。体育の授業に車椅子を採り入れるだけで、主役が変わる。パラスポーツにはそうした魅力があります。鳴門渦潮高校には体育の選択種目にソフトボールやバスケットボールがあるそうですが、『車椅子バスケットボールがあってもいいよね』という話もしてくれました」

パラスポーツを「する」を増やすと「支える」につながる
障がい者と健常者が一緒にプレーできる。この事実はなにを意味するでしょうか。上原が指摘するのは「裾野が広い」ということ。ここにパラスポーツの大きな可能性があり、まずは多くの人にパラスポーツを体験してほしいという思いがあります。
「いろいろなパラスポーツを小学生、中学生、高校生に体験してもらっています。すると、『なんだ、ボクたちもできる』となります。いま、障がいを持った人たちだけでチームをつくろうとすると、人数がそろわなかったり、片道1時間かけて練習に行かなければならないなどの課題があります。みなさんがパラスポーツを『する』という選択をしてくれると、それが『支える』になります。私は『する』を増やすことで『支える』をつくりたいと考えています」
コーナーの最後に、滝川さんから、「こうした活動を通じて伝えたい思い、メッセージはどのようなことですか」と訊かれ、上原は視点を変えることの大切さを力説しました。

「みなさんの固定観念を変えていきたいです。見方を変えるといろいろなモノが見えてきて、そうした視点が2020年を盛り上げていくのだと思います。そのためには、パラスポーツを『する』『やってみる』というのが一番わかりやすいので、まずできるだけ多くの方に体験してもらいたいです」
大事なのは、パラスポーツをみなさんに体験してもらうこと。そのためには、障がい者と健常者が一緒に楽しめる機会をつくらなければなりません。
掲載情報は2019年3月時点での内容です。