ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. 企業情報
  3. NEC技報
  4. 発行年別インデックス(バックナンバー)
  5. Vol.70(2017年)
  6. No.1(9月) デジタルビジネスを支えるIoT特集
  7. IoT・AIによる小売業の革新
ここから本文です。

IoT・AIによる小売業の革新

消費者のライフスタイルの多様化や少子高齢化の進展による労働力不足に対する対応に加え、地球環境に配慮した商品提供など、小売業は革新を求められています。

NECは、IoT・AIを活用し、買い物の利便性向上、お客様一人ひとりに合わせた「おもてなし」の接客、従業員や店舗業務の効率化・省人化、商品やサービスの安定供給を支える店舗づくりなど、顧客体験の追求と止めない店舗運営の構築を支援します。

1.小売業を取り巻く環境

テクノロジーの進化によって消費者のライフスタイルは多様化し、購買行動が大きく変化しています。一方、少子高齢化の進展により労働力不足が店舗運営の課題の一つとしてのしかかっています。

また、2050年には地球2個分のエネルギーが必要といわれているなか、今後、需給バランスの調整が更に求められていくでしょう。特に、食料の需要が急激に伸びるなか、世界では生産された食料の3分の1が廃棄されており問題となっています。フランスでは、大手スーパーマーケットが売れ残り食品の廃棄処分を禁じる法律が制定されました。食品だけでなく、限られた資源を効率的に使うことが求められています。

2.小売業の方向性

小売業は、多様化するライフスタイル、購買行動の変化への対応が求められています。更に、働き甲斐のある労働環境を提供しつつ、資源消費と環境負荷を抑えて地球と共生しながら、企業が持続的に成長していくための取り組みも必要となっています。

欲しいと思ったものが「いつでも」「スムーズに」買える利便性、お客様一人ひとりに合わせた「おもてなし」の接客といった「Customer Experience」の向上、従業員や店舗業務の効率化・省人化を図る「Operational Excellence」、止まらない店舗運営を支える「Lifecycle Management」を実現し、顧客体験の追求と店舗運用を止めない仕組みの構築が必要だと、NECは考えます(図1)。

図1 小売業に求められるもの

3.IoT・AIによる小売業のイノベーション

小売業では、消費者のニーズや商品の売れ行き状況、店舗の状態を瞬時に把握し、適切な対処方法を分析し対応してくことが求められます。そのためには、新たなICTの活用、特にIoT、AIの活用は欠かせません。IoT、AIの活用によって、小売業の業務がどのように変わり、課題をどのように解決するのかを紹介します。

3.1 生体認証・画像認識技術を活用したお買い物体験

顔認証によるお客様の認証や、画像認識技術による商品の識別が、お買い物の利便性向上や、おもてなしを提供します。

店内のカメラ映像からの顔認証により、お客様の来店を検知します。従業員は、お客様のWebサイトでの購入履歴や来店履歴などの情報をもとに、お客様一人ひとりに合った接客が可能になります。

会計時は、バーコードの読み取りではなく商品画像を瞬時に識別することでレジ待ちの短縮が図れる他、従業員との自然な会話のなか、顔認証によるスムーズで決済レスな買い物が可能です。

生体認証や画像認識技術を活用することで、利便性やおもてなしの接客を提供します。

3.2 AI技術を活用した発注業務支援

AI技術の一つであり、多種多様なデータから自動で複数の規則性を発見する「異種混合学習技術」は、牛乳や豆腐などの日配食品の欠品防止、発注業務の効率化を支援します。

発注業務においては、従業員の経験に依存する部分が多くなっています。また、日配品においては天気やイベント、キャンペーン情報など、さまざまな情報をもとに発注数量の決定などを行わなければならず、システムによる需要予測が困難でした。

この発注業務を、AIを活用し過去の販売実績や天候、気象、イベントといった売れ行きに影響のあるデータを組み合わせて、需要を高度に予測し、発注業務を効率化します。NECの独自技術である「異種混合学習技術」を用いることで、高精度な需要予測を実現しています。また、需要予測数と店舗の在庫情報、納品予定情報をもとに適正な発注数を自動算出することで、適正な発注を支援します。発注作業の高度化、効率化だけでなく、廃棄率も削減でき、社会問題となっている食品廃棄問題についても貢献します(図2)。

図2 AI技術を活用した発注業務支援概要

3.3 画像認識とロボティクスによる業務支援

店舗での人手不足がますます深刻化するなかで、画像認識技術とロボティクスにより、従業員の業務負荷軽減とコスト削減に貢献します。

売り場の映像から欠品している商品と商品棚を検知し、ロボットがバックヤードから自動で欠品している商品を該当の棚まで運搬します。従業員は運ばれた商品を陳列するだけで済み、商品運搬の重労働から解放されます。

ロボットと協調することで業務の効率化、省力化が可能なだけではなく、欠品に気付くのが遅れることで発生していた販売機会ロスの低減にもつながります。

3.4 AR(Augmented Reality)とAIを活用した業務支援

店舗サービスの増加に伴い、業務が多様化しています。また、外国人労働者も増加するなか、AR、AI技術を活用して、店舗の多様なお困りごとを解決し業務支援を行います。

コーヒーメーカーや冷蔵庫といった店舗内の什器が動かなくなり、操作方法が分からない時、従来はコールセンターに電話し対処方法を確認、もしくは保守員が入店し対処していました。それが、AIの活用により、AIに問いかけると、自動応答で解決方法を提示します。更に、AR技術により、什器にスマートフォンのカメラをかざすと、目の前の什器に映像を重ねて表示し、操作箇所を分かりやすく指示します。改めてマニュアルを見る必要もなく、その場での解決が可能です。

一人当たりの業務負荷の増加や、従業員が多様化するなか、AR、AI活用による業務支援で効率化が図れます。

3.5 センサー技術による店舗機器管理

IoTの活用により、機器の稼働状況をリアルタイムに管理し、止まらない店舗運営を実現します。

リアルタイムに機器の稼働状況を管理することで、異常を検知した場合には故障前に修理・交換が可能です。

更に、長年にわたる多くの小売業とのパートナーシップによって蓄積された経験・ノウハウを加味し、店舗の状態をとらえて業務を最適化します。例えば、コンビニエンスストアなどに設置してあるコーヒーメーカーのフィルター使用数をIoTでセンシング、来客ピークを予測し、適切なフィルター交換のタイミングを分析、通知します。

店舗の持続的な運営を支えるだけでなく、店舗内の多数の機器を一元管理し、効率的な店舗運営が可能です(図3)。

図3 センサー活用による店舗機器管理概要

3.6 映像分析によるロス削減

映像分析技術の活用により、店舗内の監視カメラ映像やその他のさまざまな情報を一元管理し、店舗のロス削減を総合的に支援します。

店舗内の監視カメラの映像から、商品の陳列棚の変化を検知し、大量盗難を瞬時に把握します。小売業の利益圧迫の一因である不明ロスに対して、リアルタイムな検知による即時の対応、また、画像データを分析することで再発防止といった形でサポートを行います。

ロス削減だけでなく、安全・安心な店舗運営を実現します (図4)。

図4 映像分析によるロス削減概要

4.むすび

店舗の状態をリアルタイムに把握するためのIoTや、可視化した状態をもとに適切な対処方法を分析するAIは必要不可欠であり、既に多くの小売業で活用が始まっています。

お客様への利便性やおもてなしの提供、店舗の持続的な運営の実現に、IoTやAIといったICTが貢献できると考えています。

NECは、長年にわたる小売業のサポート実績、経験を生かし、IoT、AIを活用したソリューションの研究・開発に取り組み、お買い物体験や店舗運営、リテールビジネスの革新をサポートしていきます。

執筆者プロフィール

尾川 和之
マーケティング・ニュービジネス本部 マーケティンググループ シニアマネージャー

小池 雄一
第一リテールソリューション事業部 事業部長代理

塩野入 匡宏
マーケティング・ニュービジネス本部 マーケティンググループ マネージャー

納富 功充
第一リテールソリューション事業部 戦略企画グループ シニアエキスパート

藤井 麻衣子
マーケティング・ニュービジネス本部 マーケティンググループ 主任

ページの先頭へ戻る