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第5章 IT部門のめざす役割・姿

1. IT部門が果たすべき役割は

これまで見てきたように、IT部門は表立って旗振り役にはならないが、全社最適に向けた仕掛けの中心になっています。第4章で紹介した、業務部門と連携したIT中期計画策定では、実質的に業務部門の中期計画策定支援をしています。ほとんど社内コンサルティングと言っていいでしょう。
グローバルをスコープにITを考えることは、改めてIT部門の役割とは何かを問い直すことになっています。
今回のラウンドテーブルでは、IT中期計画の中で、どのようなIT部門の役割をめざすかをお聞きしています。そこで共通するキーワードは【図11】の通りです。

【図11】IT中期計画の中で描かれているIT部門の役割で共通するキーワード【図11】IT中期計画の中で描かれているIT部門の役割で共通するキーワード

「建設では、営業・設計・工事・品質管理・アフターケアと多くの部門の人間が一人のお客様に対して仕事をしているので、部分最適ではスムーズな流れを阻害する。全体最適を見据えなければならないが、今、全体を見据えられる部門はIT部門しかない。ここ2年間は部門全体で意識改革をさせている。」(ラウンドテーブル参加者)

もちろん、社内コンサルティング的なポジションをめざすことがすべてではありません。社内コンサルティング的な機能は、IT部門と別に持つべきであるという考え方もありました。

「IT部門が業務改革も担うのは難しいと思う。やはり業務に近いところ、あるいは別途経営企画や業務改革部のようなものをつくるべき。IT部門からもそこに人を出す形で関わっていくのが良い。」(ラウンドテーブル参加者)

また、IT部門がもっともガバナンスを発揮すべきものは、IT投資であるという意見もありました。

「業務プロセス的な意味での全体最適もあるが、グローバル全体で投資統制のロードマップを描くことが中期計画において大事である。」(ラウンドテーブル参加者)

ITの視点、業務の視点、いずれにしても横串でガバナンスを効かせることが求められています。

2. IT部門に必要な問いかけるチカラ、説明するチカラ

それでは、そんなIT部門の姿を実現するためには、IT部門として、どのような力をつけていかなければならないのでしょうか。

【図12】IT部門に必要なチカラ【図12】IT部門に必要なチカラ

業務部門に横串で関わっており、バリューチェーン横串での課題がわかるというポジションを生かして、武器としてのIT知識やプロジェクトマネジメント力、業務プロセスの知識を使い、求められる役割を果たします。
しかし、全社最適やIT統制と言った役割を果たすためには、不足しているものがあります。それは、経営のITの活用意欲と他部門を動かす権限です。
そこを補うために必要なチカラが、「考えるチカラ」、「問いかけるチカラ」、「説明するチカラ」、「巻き込むチカラ」です。
何が全社最適なのかを考えながら、事業部や業務部門に対して戦略を問いかけ、気づきを与える。ITの価値を経営や他部門にわかりやすく説明しながら必要なステークホルダーを巻き込んでいく。それを可能にするチカラです。

ラウンドテーブルの議論を通して、IT部門リーダーが、常日頃業務部門の知恵袋、相談役あるいはお助け役として一緒に汗をかく形でのリーダーシップを発揮し、経営が何を考えているのかを洞察するマーケティングしていることがわかります。そのような行動によって、結果的に必要なチカラが培われていくのです。

3. KANSAI-Wayリーダーシップ  ~枠にとらわれずに突破するチカラ~

今回のラウンドテーブルは、同じテーマで、関西・東京と参加メンバーを変えて2箇所で実施してまいりました。
ファシリテーターとして感じた関西の企業の特徴は、「突破力」です。
いかに部門横串で全社最適を追求していくか。ITに理解がない経営をいかに説得するか。これらはとても難しい舵取りを要求されます。正攻法では、障害も多くなります。しかし、ときにはうまくかわしながらも、突破することが重要です。
今回、関西と東京で同じテーマで議論してきた中で、唯一意見が分かれたところがあります。それは、制度的な権限がない中で全社最適を進めていくうえで、どのようにリーダーシップを発揮するか、についての議論でした。
東京の企業は、「なんとかして権限を持たせてもらう」という意見が多かったのに対して、関西の企業は、「権限がないのなら、ないなりに巻き込み型のリーダーシップで影のプロデューサーをめざす」という意見が圧倒的でした。
ルールがないなら新しくつくってでも、とにかく前に進める。あまり枠にとらわれずに、したたかにブレークスルーをめざすという発想です。 KANSAI-Wayとも言えるリーダーシップのスタンスを見た思いです。
イノベーションは枠にとらわれない発想から生まれます。KANSAI-Wayのリーダーシップを体現するIT部門は、イノベーションの発火点になり得る存在であると確信しました。

(ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)