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第1章 グローバルビジネスを加速させるITの役割は

1. グローバル企業につきつけられている経営課題とは

グローバルITは、グローバルのビジネスに貢献するためのものです。昨年度公開したCIOラウンドテーブルのレポートでも、ITのモデルを考えるインプットとして、経営モデルを置き、経営目標、経営戦略がどのように描かれているのかをまずは明確にしようとしました。
経営モデルは1社1社違います。ラウンドテーブルの参加者に経営の中期計画で重点方針とされているものは何かをお聞きしました。【図1】

【図1】中期経営計画の中で重点方針となっているもの【図1】中期経営計画の中で重点方針となっているもの

「先進国市場から新興国市場へのシフト」、「未進出地域への新規進出」「生産効率の向上によるコスト競争力の強化」が、グローバル企業共通の課題となっているようです。

「グローバルに強いメーカーに対抗し、海外への展開を加速するため、東南アジアでは韓国、ベトナムなどの企業との提携や積極的なM&Aを仕掛けている。海外市場での営業基盤の再構築、地域のマーケティングが必要である。」(ラウンドテーブル参加者)

「先進国市場から新興国へシフトするため、経営の意思決定や事業展開のスピードが重要なキーワードである。新興国へのシフトや新たなアライアンスを含めた中期計画を全社で大幅に見直す必要がある。」(ラウンドテーブル参加者)

「製薬業界は、ビジネス変化のスピードが速いため、そのスピードついて来られるシステムの維持・運用パートナーが必要。コストダウンとスピードアップが最大の課題である。」(ラウンドテーブル参加者)


新興国市場へシフトするということは、単純に新市場の開拓という意味だけでなく、先進国でのビジネスとは異なったオペレーションが求められます。競争の激しい市場に対して素早い拠点の立ち上げを実現し、しかも低コストでのオペレーションが必要となります。
当然、ITとしての要素にも大きく影響します。グローバルITマスタープランでは、これらの経営モデルに対して最適なITモデルを考えなければなりません。事業構造の変化、オペレーションモデルの変化に対応していかなければなりません。

2. 経営はITに期待しているのか

それでは、そのような経営モデルに対して、経営はITにどのような期待をしているのでしょうか。具体的な要望が経営から出されているのでしょうか。

「当社の経営層はITに興味を持っていない。興味があるのは、いかに売上を上げるか、事業の進出やM&Aである。事業を支えるツールとしてITを活用すべきだという意識はあるが、ITの具体的な施策に関する要望は一切ない。」(ラウンドテーブル参加者)

「経営層としては製品の開発や買収でコストをかけているため、ITにコストをかけることを嫌がる。」(ラウンドテーブル参加者)

「経営陣にとってITは二の次で、グローバルな生産・販売体制や、どれほど売上が上がるかを考えている。IT部門が実行すべき施策について経営からの要望は深く考えられたものではない。」(ラウンドテーブル参加者)


このように、経営の態度はある意味無関心と言える様相があります。これまでのラウンドテーブルでも、「経営はITに関心がない」、「期待していない」という言葉をよく聞きました。あるいは「製造業にとってITは、それほど価値はない」という言葉もありました。
たしかに経営はITに細かい要望を出しません。でも、それは期待していないわけではなく、要件を示せないだけなのでしょう。ラウンドテーブル参加者は皆、IT側から経営モデルに応えるITモデルとは何かを経営に積極的に提示していくことが必要であると、考えています。

「トップからITに関する要望はないが、事業がどうなるべきか、サプライチェーンやバリューチェーンまで踏み込んだ会社全体のしくみに関する要望はある。それを支援するITをIT部門から提案し、了承を得つつ進めている。」(ラウンドテーブル参加者)

「グローバル体制の確立に関する提案をIT部門側から経営陣へ提示すべきである。自分が経営の立場であればこう考えるという会話を経営としながら、ITの役割をつかみ出す必要がある。」(ラウンドテーブル参加者)

「生産は国内が中心、一方で売上は海外中心となっている。経営が求めるコスト競争力を持ち、品質の高い製品をより早く提供することにITがいかに貢献するか思案している。」(ラウンドテーブル参加者)

「経営からIT部門に間違いなく要求されるのは、各部門の要望を調整し、コストを管理することである。ベンダーの技術力をうまく使いながら、ユーザーの要望を理解し、技術標準をしっかり持って、システムを企画することが最低限求められる。」(ラウンドテーブル参加者)

3. グローバルビジネスに貢献するITとは

経営の期待は具体的なITサービスの要求ではありません。経営目標を達成するための重要成功要因として経営が示しているテーマを実現するためのITサービスを提示しなければなりません。
各社個別の戦略に合わせたIT施策は当然必要ですが、グローバル企業に共通の経営課題に対するITの備えも必要です。グローバルITでの支援が必要となるであろう経営課題に対して、各社がどのように取り組もうとしているのかお聞きしました。【図2】

【図2】共通の経営課題に対するグローバルIT施策の取組み状況【図2】共通の経営課題に対するグローバルIT施策の取組み状況

「グローバルな生産・販売体制の確立のため、生産・販売・在庫の見える化を行う。」(ラウンドテーブル参加者)

「グローバルOneで全社の統制をとり、資産、経営資源、事業活動を見える化をしたい。」(ラウンドテーブル参加者)

「経営者が情報の見える化により、事業で何が起きているかを把握するため、標準の仕組みをグローバルのシステムで統一することが必要。」(ラウンドテーブル参加者)

「本社側と現地側で管理レベルを上げるために、SCM、採算管理などのデータを集めて加工し、経営に提供すること、グローバルコミュニケーション基盤を作ること、ERPの導入による業務プロセスの標準化がグローバルITとしての取組み事項である。」(ラウンドテーブル参加者)

「ERPを活用し、セールスの需要予測に即した形で生産ラインを回せること、調達などと自動的な連携ができることを目指している。」(ラウンドテーブル参加者)

「ERPで会計と人事の基盤を統一し、次のステップでは事業の基盤を統一することを検討している。」(ラウンドテーブル参加者)

「生産の仕組みをグローバルで統一することは考えていない。しかし、コミュニケーションのインフラを共通化し、開発者同士がコラボレーションしやすい環境を提供したい」(ラウンドテーブル参加者)


このように、「見える化」、「コミュニケーションインフラ」や、「グローバルのサプライチェーンの標準化」に取り組んでいる企業が多くありました。