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第1章 次世代のIT部門のコア・ミッションとは

ビジネスに貢献するITへの変革

本ラウンドテーブルでは、5年後を目安として次世代のIT部門の姿をイメージしていくことを議論のスタートに置きました。5年後のIT部門のコア・ミッションとは何かという問いかけに対して、参加者の多くに共通したキーワードが以下の通りです。

  • グローバルレベルでの経営品質の標準化
  • BPRを主導できる社内コンサルティングとしての価値
  • ビジネスへの直接的な貢献
  • イノベーションによる企業価値の向上

ユーザー部門が要求する業務システムを調達するスピードと質を高め、そのためにプラットフォームやアプリケーションを標準化して基盤整備をするという、これまでの役割から、業務部門に対して積極的にBPRを働きかけ、経営的な視点でビジネスのコアに直接貢献するITを企画し、提供するという役割に変化していく。
これがラウンドテーブル参加者に一致する次世代のIT部門のコア・ミッション像でした。

プロセス型の社内コンサルティングとしてBPRを主導する

「BPRの為の社内コンサルタントとして存在価値を出せるか。業務の知識と経験では業務部門と同等になれないIT部門にとって、プロセス型コンサルタントの立場で貢献することがコア・ミッションと考えている。」
(ラウンドテーブル参加者)

業務部門に対してBPRを実践していくためには、その業務についての十分な知識を有していなければなりません。一定期間業務部門に配属した後、IT部門の所属とするなど、業務知識の修得は、各社ともに大きな課題であり、人材育成における必要なプロセスとしてとらえていました。

しかし、IT部門が業務部門と同等の業務知識を持つことは難しく、また、業務部門の視点に偏ることなく、全体最適の視点を持つ必要もあります。IT部門の役割は、上記の発言にあるように、「プロセス型のコンサルタント」としての価値を発揮することにあり、そのための専門的なスキルとメソッドを身につけることが実現のための課題になります。

グローバルレベルでの経営品質の標準化

本ラウンドテーブルに参加した企業のすべてがグローバルにビジネスを展開しており、目の前の課題として「グローバルITの推進体制整備」を筆頭に挙げています。
「グローバルITの推進」イコール業務プロセスをグローバルで標準化することであり、SAPなどグローバルにデファクトスタンダードとなっているERPパッケージを導入することがそのゴールとして語られることが少なくありません。
参加企業の多くも、グローバル化への対応として、統一のERPパッケージを順次グローバル導入し、業務の標準化、プラットフォーム、アプリケーションの統合を行っていく方向にありました。
しかし、本ラウンドテーブルの参加者が考える「グローバルITの推進」は、必ずしもグローバルで業務プロセスを統一することとイコールではありません。実際には、グローバルの関連会社に独立性を持たせている企業も多く、地域特性に合わせたビジネスを展開するためには、業務やシステムが異なる方がむしろ適切であるという声も聞かれました。
ただ、これは同時に、個別最適を良しとするということでもありません。ラウンドテーブル参加者が挙げた重要なキーワードは「経営品質をグローバルで標準化する」ということでした。

たとえば、全社的なERP導入に伴い、コールセンターを一箇所に統合し、業務プロセスも統合したところ、オーダーエントリの質に影響が出たため、再度地域別にチームを分け、フロントエンドからバックオフィス機能までをチームごとの固有の業務プロセスで完結させるようにした例が紹介されました。
グローバルで等しく提供される経営品質とは何か。基準をまず明確にし、それを業務プロセスに照らし合わせて、どこまでを標準化するかを考えるべきであるとのことでした。

「プラットフォームの標準化ありきではなく、経営品質として守るべき経理細則に則ったテンプレートを用意し、それを守るようにグローバルで統一する。『何を許すか」ではなく、『許されない業務フローは何か』を明らかにし、そこだけは最低限守るように統一している。」(ラウンドテーブル参加者)

また、グローバルで経営品質を考えた場合、業務のスタイルやプロセスは異なっても、業務プロセスを構成する一つ一つの要素や言葉の概念が統一されるべきであるとの指摘がありました。そういう考え方から、製品コードや顧客コードなど、グローバルマスターの統一を経営品質の標準化において重要なステップと位置づけている参加企業が多くありました。

IT部門の業務が経営の一部というレイヤーへ移行

次世代のIT部門の業務が、これまでのITを構築・運用・維持していくという役割から、1つ上位のレイヤーへ移行していこうとしています。これまでであれば経営企画というセクションが担っていたものと近いものかもしれません。実際に、IT部門と経営企画部門を融合させている企業もあります。ただ、各社のCIOが考える次世代のIT部門のミッションは、まったく新しい業務領域をめざしているように感じました。それは、強いて言えば経営の役割の一部を業務としてブレイクダウンしたものと言えるかもしれません。

(ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)