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農事組合法人 和郷園における
農業ICTクラウドサービス活用事例について

遠隔から圃場を見える化し、環境を制御
蓄積データの分析でノウハウを数値化
農家の生活を豊かに変えるICTの力

対談風景

現在、NECが注力している分野の一つに「農業」があります。
ICTで農務を効率化し、作物の収量や品質、ひいては農家の所得向上を実現しようとしているのです。

では、具体的にICTはどのように農業に貢献できるのでしょうか。
ICTを積極的に活用している農業組合法人 和郷園の生産者、そして、農業向けICTソリューションをNECと共同開発するネポンの担当者に話を聞きました。
(2013年11月14日 東京国際フォーラム「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013」より)

農事組合法人 和郷園 伊原 勉 氏

農事組合法人 和郷園
伊原 勉 氏

東京農業大学卒業後、和郷園入社。以来、6年間、ほぼトマトの栽培のみを担当し、自他共に認めるトマトのエキスパート。
現在も収量や品質向上のために、様々な研究や試行錯誤を繰り返している。

農事組合法人 和郷園 植草 宏行 氏

農事組合法人 和郷園 向後農場
植草 宏行 氏

幼少の頃から、動物や植物を育てることに興味があり、それが興じ、非農家出身ながら和郷園の門をたたく。
就職後は、トマトの栽培などに携わる他、農務におけるIT活用にも積極的に取り組んでいる。

ネポン株式会社 営業本部 情報通信担当部長
太場 次一 氏

ネポン株式会社は、施設園芸を主とする農業分野、熱源機器を取り扱うエネルギー分野、環境配慮型トイレを取り扱う衛生環境分野で事業を展開。NECと協業し、施設園芸向けのサービスである「アグリネット(農業ICTクラウドサービス)」を提供している。

日本電気株式会社 新事業推進本部 シニアエキスパート 大畑 毅

日本電気株式会社 新事業推進本部
シニアエキスパート
大畑 毅

農務をいかに効率化し、手間と時間を削減するか

─ 現在、農家様はどのような課題を抱えているのでしょうか。

農事組合法人 和郷園 伊原 勉 氏

■ 伊原
農家は仕事が大変な割に収入が上がらないと言われています。
理由は、一人の生産者が管理できる圃場(ほじょう)の面積がとても小さいことです。
管理する圃場を広げられない理由の1つが、作業にかかる手間と時間です。

例えば、私たちが行っている施設園芸は、ハウス(温室)を使って作物を育てます。一言で言えばハウスは、雨よけと保温のための施設。閉め切っておけば温度を30度近く上昇させることができ、逆に窓を10センチ程度開ければ、真冬なら10度近く温度を下げることができます。
とはいえ、最適な温度を保つには、きめ細かく窓を開閉する必要があります。

<施設園芸(ビニールハウス)の構造とは>

施設園芸(ビニールハウス)の構造とは

農事組合法人 和郷園 植草 宏行 氏

■ 植草
また、最近は栽培方法も多様化、高度化しています。
私が生産している「プレミアムフルティカトマト」は「アイメック農法」という技術を採用しています。トマトは、水をできるだけ与えないようにすることで、小ぶりで糖度の高い実をつけます。
土に種苗を植えると、トマトが土壌中の水分を求めて勝手に根をはり、水分量の制御が難しくなりますが、アイメック農法では、保湿性の高い特殊なフィルムを“畑”にして作物を栽培することで、水をやる量、つまり灌水量を完全にコントロールすることができます。

しかし、狙い通りの「甘さ」を実現するのは容易ではありません。様々な条件や生育状況に応じた、きめ細かな灌水制御が不可欠となります。
こうした作業に加え、移動にも多大な時間がかかっています。
私は5つのハウスを管理していますが、全てが一箇所に集まっているわけではありません。最も遠いハウスは10キロ近く離れており、全てのハウスを回るには、移動するだけでも数時間かかります。10キロ離れていれば、天気も変わるため、その都度、作業内容を変える必要があります。
つまり、移動を繰り返しながら、個々のハウスの状況に合わせた作業を行い、それを営農日誌に記録していく。この手間と時間をいかに削減するかが、農家にとって大きな課題となっているのです。

<栽培方法について>

栽培方法について

ITによって圃場の見える化と灌水制御を実現

─ 農家様の課題解決にITはどのように貢献できるのでしょうか。

ネポン株式会社 営業本部情報通信担当部長 太場 次一 氏

■ 太場

私たちネポンは、施設園芸向けの熱源機器の提供を主力事業としています。事業を通じ、長年にわたって多くの農家様を支援してきました。
その経験を活かし、農務を効率化するためのITソリューションとしてNECと共同開発したのが「農業ICTクラウドサービス」です。

まず、農業ICTクラウドサービスが実現するのが圃場の「見える化」です。
農務を効率化するには、遠く離れた場所からもハウスの環境を確認できることが欠かせません。
そこで、ハウス内に温度、湿度、炭酸ガス量、日照時間などを計測できるセンサを設置。そのデータをクラウドに集約し、スマートフォンなどからアクセスして、リアルタイムに圃場の状況を把握できるようにします。ハウス内の温度に上限・下限のしきい値を設定しておけば、温度がしきい値を超えた際に自動でスマートフォンにメールを送り、警報を鳴らすこともできる上、各センシングデータは自動でクラウドに記録されます。

<クラウド事業コンセプトとは >

クラウド事業コンセプトとは

■ 伊原
おっしゃるとおり、私たちは片時も圃場を離れることができません。
会議や外出時には、環境が急変していないか、つねに不安がつきまといます。
どこにいてもスマートフォンから圃場の様子を確認できれば、気温の変化などで作物をダメにしてしまう事故を回避できるほか、仕事の段取りを考えることもできます。
特に専用端末ではなく、スマートフォンで確認できる点は非常に便利ですね。

■ 太場
また、先ほど植草様が述べた灌水を自動制御する仕組みも開発しました。
クラウド経由でハウスに設置した灌水装置を制御。何時から何時まで動作させるのか、どのくらいの間隔で作動させるのか、どのくらいの時間水をやるのかといった灌水に関わる詳細な設定を、1日48パターンまで、PC画面から設定できます。

<灌水制御システムについて >

灌水制御システムについて

■ 植草
複数のハウスを回りながら、灌水の設定や記録作業を行うのはとても時間がかかっていました。
現在は、遠隔からも灌水の設定を行うことができる上、手作業で行っていた記録作業が自動化したことで、農作業の手間を大きく省力化しています。
蓄積した情報は、わかりやすくグラフ表示され、一目で傾向を把握できる点も便利です。
この省力化によって生まれた時間で、自分の目で見て、手で触って状態を確かめる時間が増えるなど、より丁寧にトマトの「世話」を行えるようになりました。

<灌水パターン基本設定画面 >

パターン設定メニュー、灌水パターン基本設定画面

蓄積したデータを分析し、栽培ノウハウの数値化と共有を実現

─ 蓄積したデータの活用も「農業ICTクラウド」の重要なポイントですね。

対談風景

■ 伊原
クラウド上に記録・蓄積したデータを確認して、経験の浅い生産者などに正確な指示を出すことができます。
これまでは「少し多めに水をやる」と感覚でしか表現できなかった指示も「何ミリリットル多めに」と伝えることができるのです。
作業における「共通言語」ができたと感じます。

■ 植草
分析して栽培ノウハウを数値化することもできます。
どのように育てればよりよい品質の作物をたくさん収穫できるか。
そのベースになるのは、知識と「過去の実績」です。
しかし、多くの農家では、営農日誌を手書きで記載しているだけで、その内容もまちまち。どういう手間をかけたら、作物がどうなったかということは科学的に分析されておらず、「勘」に頼った状態が長く続いています。
それに対し、農業ICTクラウドサービスを利用すれば、温度・湿度・炭酸ガス量・照度、そして灌水実績などを分析することで傾向を把握し、「こういう条件が続いたときは、こう対処した方がよい」といったノウハウを抽出。収量や品質の向上に役立てることができます。

■ 太場
情報共有の幅を広げれば、地域や環境、作物ごとに異なる対処法などを分析したり、優れた生産者様のノウハウを数字で客観的に示すことで、安定生産や技術の継承につながるでしょう。

遠隔から窓を開閉し、自在に環境をコントロール

─ 最後に新たに加わった「環境制御」に関する機能もご紹介下さい。

対談風景

■ 太場
温湿度計や照度センサ、CO2センサなどの情報を基に、天窓の開閉角度やカーテンの開閉、冷暖房機のON/OFF、炭酸ガス(CO2)発生機のON/OFFなど、ハウス内の機器を統合的に自動制御できる機能です。
生産者様は、スマートフォンやタブレットを利用し、天窓の開閉を自動で行う時間や温度の設定、開閉量を、いつでもどこからでも設定変更できます。

将来的には、クラウドに蓄積した情報から最良のパターンを分析・抽出し、その傾向や法則に従って、ハウスを自動制御することも可能になるでしょう。

■ 植草
現在、私たち向後農場でも利用を開始した段階ですが、「農業の工業化」に向けた大きな一歩を踏み出したと感じています。
将来的には、カメラを搭載したラジコン飛行機を飛ばして、「映像」でも圃場の様子を確認できる仕組みになるといいですね。

■ 伊原
私たち農家の生活が少しでも豊かになるために、ICTの活用は必要不可欠。
NECやネポンには大いに期待しています。

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