ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ソリューション・サービス
  3. ERPパッケージ (会計・人事・給与・販売・生産等)
  4. ERPソリューション:EXPLANNER
  5. 生産管理システム:EXPLANNER/J
  6. モノづくりIoTコラム
  7. 第16回 良い流れ創りのシナリオ(2)
ここから本文です。

モノづくりIoTコラム

中村敏

第16回「良い流れ創りのシナリオ(2)」(2017年12月4日公開)

中村 敏 (なかむら さとし)プロフィール
【所属】NECソリューションイノベータ株式会社
      イノベーション戦略本部 兼 IoE事業推進グループ 主席プロフェッショナル

【略歴】NECで主に中堅製造業向けのシステム提案、コンサルティングに従事
      現在、中堅製造業向け モノづくりIoTソリューション事業責任者
      日本マーケティング学会、一般社団法人 日本生産管理学会
      日本TOC推進協議会、NPO法人ものづくりAPS推進機構
      一般社団法人 持続可能なモノづくり・人づくり支援協会 会員

【第16回】良い流れ創りのシナリオ(2)

前回(第15回)、トライアルサービス実施後の『良い流れ創りのアプローチシナリオ』についてご紹介しました。
【STEP1】 「見える化の土台作り」では、必要最低限の実績収集データを定義し、実績収集手段を整理します。この中で非常に重要なポイントは、評価指標を「原価」ではなく、「付加価値(=キャッシュ)」に切り替えることです。原価を指標としている限り、大ロットによる仕入れや、作業指示から抜け出すことができません。単位時間当たりの付加価値(=「キャッシュ」×「時間」)で、現場力を評価します。

【STEP2】 「作業の標準化」では、まず取り組むべきことは作業の標準化です。誰が作業しても同じように製品ができるようにしなければなりません。作業の標準化の度合いは、作業時間のバラつきで評価することができます。製品の属性、設備、治工具、作業者、外部環境と作業時間との関係性を明確にし、バラつきを収束し、作業の標準化を進めます。更に、工程間の作業時間のバランスがとれている必要があります。

今回は、良い流れ創りのシナリオの【STEP3】【STEP4】と品質強化についてご紹介します。

良い流れ創りのシナリオ(2)

良い流れ創りのシナリオ

【STEP3】 良い流れ創り(1)
非正味作業時間を削除する時、まず物理的な移動(工場間、外注 等)をチェックします。例えば、外注に出せば、それだけで数日かかることになります。社内リソースがあるにも拘らず、単純に単価が安いからという理由で外注に出しているのであれば、社内対応することをお勧めします。

次に、前後工程の同期が取れていないことにより手待ちが発生する場合も少なくありません。これは、前後工程のロットサイズが違ったり、作業時間のバランスが悪かったりすることによって生じます。定期的に最適なロットサイズ、作業時間のバランスを見直す必要があります。また、早期投入することも少なくありません。例えば、受注した複数の製品を一括で投入するなど。

最後に、バッチ工程、例えば、熱処理、塗装、メッキなどのように、集約してから作業しなければならなかったりする場合、バッチ工程の稼働率と同期化の両方を実現する必要があります。この時「投入できるモノ」ではなく、「今、投入しないモノ」を決めることが重要です。「稼働率」よりも「キャッシュ × 時間」で評価するようにします。更に、バッチ工程の処理能力をオーバーするような需要が発生し、設備の見直しをする際には、小設備 × 複数台をお勧めします。処理能力よりも柔軟性です。

では、バッチ工程を挟んで、Push型生産とPull型生産について考えてみます。

Push型とPull型

Push型とPull型

モノの流れ創りを進めていくと、需要の変動に応じた「Pull型」の生産にシフトしていきます。出荷指図に連動して、前工程の作業指示を行っていきますが、途中でバッチ処理、例えば、熱処理や塗装、メッキなどの工程があると、設備の稼働率を上げるために計画生産「Push型」の生産と連携する必要があります。

この例では、工程②のバッチ工程に合わせて、前工程は「Push型」の計画生産で指示が出され、後工程は「Pull型」の需要連動で指示が出されます。(需要連動型の代表的なアプローチに「かんばん」があります)この時、Push型とPull型のギャップを埋める上で、どの程度のバッファを持つ必要があるのかが重要になります。

バッファには「量」と「時間」があります。一般に、モノづくりの現場では「量」、プロジェクトの現場では「時間」が使われますが、量と時間の両方からアプローチすることが必要です。そのためには、モノの流れの見える化が有効で、時間別のバッファの推移から最適な指示数量と、指示タイミングを算出します。

【STEP4】 良い流れ創り(2)
常に遡及し続けなければならないのは「小ロット化」です。究極は1個流しですが、基本は「最適ロット × n = 出荷ロット」をベースにして考えます。この時、大きな課題は段取改善になります。小ロット化を進めれば段取り回数は増え、リードタイムは増大します。できるだけ段取時間を縮小して、小ロット化を進める必要があります。

段取時間と小ロット化のバランスを評価する指標が「個当りリードタイム」になります。これは、段取り時間を含め、最初の1つが投入され、最後の1つが後工程に投入されるまでの平均リードタイムです。大ロットになれば、後工程に投入されるまでの待ち時間は増えます。小ロットになれば、段取り時間は増えます。このバランスを評価します。

段取時間の実績収集及び、段取の標準化、段取り時間の縮小を進める上で、動画撮影は非常に有効です。作業手順の標準化と同様に作業者の動作と実績を収集、分析します。

個当りリードタイム

個当りリードタイム

計画生産をしている場合、需要や安全在庫などを加味して計画ロットサイズを設定しています。しかし、段取り時間が非常に大きい場合、例えば、塗装やメッキ、熱処理などのバッチ処理工程は、設備効率を上げるために、ロットサイズが大きくなることが少なくありません。この時、設備効率と同期化によるムダの削除の両方を成立させる必要があります。 設備効率と同期化のバランスを評価する指標が、個当りリードタイムです。この図では、3つのリードタイムの平均になります。

この時、段取り時間が8時間、ロットサイズが1であれば、1日に生産できる数は1個になります。また、ロットサイズが100の時、その製品の出荷数が1個/1日であれば、100日間在庫を保存することになります。個当たりリードタイムを活用することにより、適正なロットサイズを管理することができます。

ほとんどの企業では、基準情報を一度設定すると見直しません。(特に、需要が減少している場合)このような場合、現実とのギャップは現場の作業者が埋めています。例えば、計画ロットサイズが大きかった場合、現場の作業者は実際の需要に応じて、作業指示ロットを分割したりして調整しています。(生産計画の立案時よりも、実際に作業する時の方が、実際の需要が明らかになるので)その結果、資材、部品の早期手配、仕掛在庫の増大を招きます。トップ、マネージャー、調達、現場が、モノの流れや、個当りリードタイムを共有することによって、計画ロットサイズを変更することが容易になります。

【品質強化】
品質強化は、STEP2-4のどのタイミングで取り組んでも構いません。作業時間や工程間の待ち時間、各種要因と品質のバラつきとの関係性を明確にし、品質のバラつきを収束し、品質強化を進めます。その際、動画の活用も有効です。

モノの流れの見える化により、各ロットが紐付けされていますので、そこに各工程の品質情報を組み込むことにより、品質トレースの管理が可能です。得意先からの指示や自社製品の付加価値として品質トレース管理に取り組む企業は多いと思いますが、ほとんどの場合、品質問題が発生した時の早期対応、処置を目的にしていると思います。勿論、品質トレース管理は必要ですが、品質問題発生時の対応だけでは十分な投資対効果を得ることは難しいと考えられます。

そこで、品質トレース管理単独ではなく、モノの流れの見える化によるリードタイムの短縮、生産性の向上、在庫の削減と合わせて取り組むことをお勧めします。

モノの流れと品質

モノの流れと品質

一般に様々な加工条件が製品の品質に影響を与えますが、加工条件の影響ではなく、工程間の待ち時間によって影響する場合があります。例えば、鋳物の場合、中子をまとめ生産し、長時間置いておくことにより中子が劣化し、鋳造品質が悪く、その後の加工時間に大きなバラつきが生じる場合があります。

賞味期限がある材料や部品、副資材などは、工程間の加工条件だけではなく、経過時間と品質の関係もチェックする必要があります。単に、製品トレースだけでなく「モノの流れと品質」 として捉えることも重要です。

良い流れ創りは、1度の改善で終わるものではありません。良い流れ創りは継続して行い続け、今日より明日、明日より明後日、1ヶ月後、1年後と、より良くなっていく必要があります。モノの流れの見える化は、こういった現場力の進化の過程を時系列に管理し続け、良い流れ創りを支援し続けます。

第17回「生産プロセスの整理」へ→

バックナンバー

関連ソリューション

ページの先頭へ戻る