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モノづくりIoTコラム

中村敏

第11回「2017年度版ものづくり白書と成長戦略2017」(2017年7月3日公開)

中村 敏 (なかむら さとし)プロフィール
【所属】NECソリューションイノベータ株式会社
      イノベーション戦略本部 兼 IoE事業推進グループ 主席プロフェッショナル

【略歴】NECで主に中堅製造業向けのシステム提案、コンサルティングに従事
      現在、中堅製造業向け モノづくりIoTソリューション事業責任者
      日本マーケティング学会、一般社団法人 日本生産管理学会
      日本TOC推進協議会、NPO法人ものづくりAPS推進機構
      一般社団法人 持続可能なモノづくり・人づくり支援協会 会員

【第11回】2017年度版ものづくり白書と成長戦略2017

2017年6月6日に「2017年度版ものづくり白書」、6月9日に「未来投資戦略2017(成長戦略2017)」が閣議決定され、発表されました。今回は、2017年度版ものづくり白書、成長戦略2017の要点、注目すべき点を整理します。

今年度から「2017年度ものづくり白書イラスト」として非常に簡潔に要点がまとめられています。

2017ものづくり白書拡大する

以下に、2017年度版ものづくり白書の要点を示します。

日本の製造業の現状

  1. 製造業の99%を占める中小企業は、事業所数、従業者数ともに減少傾向です。
  2. 今後、日本の生産年齢人口の大幅な減少が見込まれる中、技術・技能人材において、人材確保に一層の厳しさを増すことが考えられます。
  3. 現場のデータ収集・活用、デジタルツールの利活用への重要性は高まりますが、具体的な活用が課題になります。
  4. ものづくり企業が新たな価値獲得を行うために、単なるモノづくりにとどまらないサービス・ソリューションへの展開を目指していく必要があります。
  5. 海外生産を行っている企業のうち、約12%が過去1年間で国内に生産を戻しており、国内回帰の動きが一定期間継続して見られます。
    そのうち66%が中国・香港からの回帰になります。また、戻した理由は為替レート、人件費、品質管理上の問題等が挙げられます。

日本の製造業が直面する2つの課題

  1. 強みの維持:人材不足の課題がある中、強い現場力の維持・向上
    人材確保は「現場力」の維持・強化を図る上で、最も大きな課題と考えられます。現在は、定年延長等によるベテラン人材の活用の取組みが中心ですが、今後は、ITや、ロボット等を活用した合理化・省力化への取組みが拡大することが見込まれています。
  2. 弱みの克服:新しい付加価値の創出、最大化
    2016年12月に経産省が実施した調査では、全体の2/3の企業が製造現場で何らかデータを収集しています。(大企業88%、中小企業66%)これらのデータは、53%が現場部門で活用されています。これらから、
    (1)データの収集や、活用が経営戦略的観点から行われていない可能性があります。
    (2)現場主導のボトムアップアプローチの場合、生産現場の生産性向上には活用されるが、新たな付加価値の創出につながらない懸念があります。
    の2点を挙げ、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の積極的な活用が重要だと主張しています。

    IoTの活用では、具体的にどのように使うかが課題になります。白書では、部品や、最終製品など産業分野ごとに先進的な取り組み事例を紹介しています。加えて、ものづくりにとどまらずに、サービスなどにも事業を広げる変革がカギになると訴えています。

成長戦略2017

2017年6月9日「Society 5.0(ソサエティ5.0)」の実現を目指し、未来投資戦略2017(成長戦略2017)を閣議決定しました。医療・介護や自動走行といった「戦略分野」とイノベーションの成果を大胆に実証する規制の「サンドボックス」(限られた期間や範囲で自由に新しいサービスを試すことを認める制度)など、「横割課題」(「データ利活用基盤の構築、徹底したデータ利活用に向けた制度整備」や、「教育・人材力の抜本強化」など)への対応の両面から、世界に先駆けた取組を進めていきます。(首相官邸 HPより)

「Society 5.0」に向けた戦略分野として、(1)健康寿命の延伸 (2)移動革命の実現 (3)サプライチェーンの次世代化 (4)快適なインフラ・まちづくり (5)FinTech を挙げていますが、その中でも、製造業にとって業種・業界全体の資金循環効率SCCC(サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル)の改善は、非常に大きな意義があります。

日本の製造業(上場)の2014年度平均CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)**は、77日。これは、米国と比較して約20日負けています。主因の一つは、日本企業の「月次決済」です。米国は 週次決済で、日本のプル生産に学んだ「リーンアカウンテイング」では、当日完成品目の代金は自動的に当日支払うということまで説いています。日本にも、「当日受入れ、当日支払い」のシステムは存在していますが、月次決済の慣習からは抜けられていません。マクロ経済的にも、物の流れと一体化の方向でキャッシュの流れを改善する時期にきていると考えられます。
** CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)=(売掛債権/売上高 + 在庫/売上原価 - 買掛債務/売上原価)× 365日

月次決算の締処理をなくし、リアルタイム決算を目指すとともに、手形の廃止等のキャッシュの流れの改善が必要ですが、現在の「CCC」は、自社のキャッシュフローに注目しています。これでは、取引先への資金循環を改善することはできません。そこで、今回の成長戦略2017で、新たに設定されたKPI、SCCC(サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル)は、全てのキャッシュの流れの「和」で表現します。具体的には、以下の通りです。

CCC =(売掛債権/売上高 + 在庫/売上原価 - 買掛債務/売上原価)× 365日
SCCC =(売掛債権/売上高 + 在庫/売上原価 + 買掛債務/売上原価)× 365日

こうすることにより、サプライチェーン単位(業種・業界)の資金循環効率を改善することに繋がります。今回、(5)FinTechの推進において、新たなKPIとして以下の目標が設定されました。

≪KPI≫ 2020年度までに、日本のサプライチェーン単位での資金循環効率(サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル:SCCC)を5%改善することを目指す。※今回、新たに設定するKPI

具体的な施策はこれからになりますが、すそ野の広い自動車業界では、既に検討が始まっているようです。

モノづくりIoTコラムでは、一貫して「良いモノの流れ創り」「継続的な成長」についてお話ししてきましたが、ものづくり白書では、それを裏付ける内容が記載されています。さらに、成長戦略2017の新たなKPI「SCCC」は「良いモノの流れ創り」から「良いキャッシュの流れ創り」へと、企業からサプライチェーン全体の成長視点が描かれています。

第12回「利益視点からキャッシュ視点へ(2) ~効率とリードタイム短縮~」へ→

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