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モノづくりIoTコラム

中村敏

第10回「利益視点からキャッシュ視点へ(1) ~リードタイム短縮と付加価値~」(2017年6月6日公開)

中村 敏 (なかむら さとし)プロフィール
【所属】NECソリューションイノベータ株式会社
      イノベーション戦略本部 兼 IoE事業推進グループ 主席プロフェッショナル

【略歴】NECで主に中堅製造業向けのシステム提案、コンサルティングに従事
      現在、中堅製造業向け モノづくりIoTソリューション事業責任者
      日本マーケティング学会、一般社団法人 日本生産管理学会
      日本TOC推進協議会、NPO法人ものづくりAPS推進機構
      一般社団法人 持続可能なモノづくり・人づくり支援協会 会員

【第10回】利益視点からキャッシュ視点へ(1) ~リードタイム短縮と付加価値~

現場で継続的に行われている「リードタイムの短縮」「作りすぎの防止」といった現場力の向上を正確に(正当に)評価するシステムが必要です。すなわち、現場がよくなったことが浮かばれる経営システムが必要です。その為には時間の概念を持ち、利益視点からキャッシュ視点に変更することです。

まず、付加価値について整理します。

企業はマーケットに対して、どのような付加価値を提供しているのでしょうか?機能的価値、品質、デザイン 等、色々な付加価値を提供していると思いますが、マーケットの評価は、対価という形で表現されます。例えば、同じチョコレートであっても、高級ブランドと、そうでないモノとの差は、数十倍の差がつきます。

さらに、商品の価値だけでなく、マーケットへの浸透度、販売数量も重要です。供給者側から考えると、一定期間にマーケットから得られる対価を「付加価値」と考えます。具体的には、一定期間の売上高から、購入した原材料 等の外部購入費を差し引いた部分を付加価値と呼びます。ここでは、便宜上、売上と言っていますが、正確には一定期間の売上から得られたキャッシュから、外部購入費として支払ったキャッシュを差し引いた部分が付加価値です。中堅中小製造業においては資金繰りは非常に重要であり、付加価値=キャッシュとして捉えた方が有効です。

この付加価値を常に大きくし続けることできる企業が「継続的に成長する企業」と言えるでしょう。 この付加価値を常に大きくし続けるための原動力が「現場力」になります。

付加価値とは?

イメージ:付加価値とは?

売上高から、購入した原材料 等の外部購入費(変動費)を差し引いた部分を付加価値とした時、この付加価値をより大きくし、儲けるためには、どのような方法があるでしょうか?

まず、「①より速く」 サプライヤーから仕入れた原材料・部品を製品化し、顧客へ納入し、キャッシュを受け取るまでの期間を短縮することです。月初に100個分の部品を100円で仕入れ、月末に100個分の製品を200円で販売する時、月中のキャッシュはマイナス100円のままで、月末、瞬間的にプラス100円になり、また部品を100円仕入れるので、±0円になります。なかなか儲かりません。では、1週間単位になったらどうでしょうか?

週初めに、25個分の部品を25円で仕入れ、週末に25個分の製品を50円で販売する時、月中のキャッシュは、1週目 マイナス25円、2週目 ±0円、3週目 25円、4週目 50円になります。こうすれば、資金繰りが楽になって急な増産にも対応することができます。

次に、「②より効率よく」 できる限り少ない業務費用(人件費、設備費 等)で、効率よくキャッシュに変換します。これは、大きなロットでまとめて作ることではありません。売れなければキャッシュは入ってきません。売れない在庫は最も大きなムダです(在庫は債務です)。また、人件費を削減すること(レイオフ)は最もやってはいけないことです。特に中堅中小製造業は、地域の雇用の維持も含めて考える必要がありますし、人材確保は非常に大きな経営課題です。

トヨタ自動車と系列企業が、工場で働く期間従業員の正社員への転換を拡大し、2016年度は1,000人を超え過去5年で最多となりました。少子化による生産年齢人口の減少への危機感とともに、技能の伝承も不可欠で、優秀な人材を今から囲い込むため、大きく舵を切ってきました。このような中、中堅中小製造業にとっては今後、大手製造業に「採り負ける」ことが予想され、優秀な人材を確保するためにも生産性を上げ、高い賃金を支払えるようにしていくことが重要になってきます。

最後に、「③より高レートで」 できる限り商品価値の高い製品を提供し、多くのキャッシュに変換します。この時、単純に原材料、部品の単価を下げることを要求することは好ましくありません。商品価値を上げること、より少ない原材料、部品で製造することを考えます(まず、自社でできることを徹底します)。

整理すると、①はリードタイム短縮、②は固定費の削減、③は利益率(商品価値)の改善を意味しています。

③の利益率(商品価値)は、原価の90%は設計で決まるといわれるように開発部門の役割になります。また、②の固定費については、人員計画、設備投資計画 等、中期的な検討になります(人件費の流動費化の動きはありますが)。従って、現在の事業において集中的に取り組むべきテーマは、①のリードタイム短縮になります。

付加価値を最大化する、①リードタイム短縮、②固定費の削減、③利益率の改善(商品価値の向上)のそれぞれの関係についてみていきます。まず、リードタイムと商品価値の関係を整理します。

リードタイムと商品価値

イメージ:リードタイムと商品価値

品質、機能、技術、デザイン、ブランド 等によって、商品価値は生まれます。非常に高い商品価値を持つ場合、消費者は手に入れるために多くの時間を費やしてくれます。コンシュマー向けの商品では、非常に高い商品価値を持つものもありますが、中堅中小製造業の多くは最終製品ではなく部品製造業です。高い技術力を持って商品価値を上げている企業も少なくありませんが、多くの企業は他社との明確な差異化ができていません。この時、得意先から求められるのは、低価格と短納期です。

原材料費の仕入コストが同じであれば低価格、短納期を実現するためのアプローチはリードタイム短縮です。この時、他社よりも短納期で納められるようになると、それは新たな商品価値となります。現在の商品がどの位置に居るのか、商品のライフサイクルに応じて、リードタイム/商品価値の相関を捉えることは非常に重要です。この時、リードタイム短縮は新たな商品価値を生み出し、より大きな付加価値を生み出します。

リードタイムと管理工数

イメージ図リードタイムと管理工数

次に、リードタイムと管理工数(固定費)の関係を考えてみます。実は、投入~完成までのリードタイムと、モノの流れが停滞しないようにするマネジメントに掛かる労力をグラフ化すると、U字カーブになります(但し、左側のカーブは、極端に早すぎて管理できないことを示していますので、現実にはありえません)。

現在のリードタイム、管理工数を示すポイント()が、この位置にあった時、管理者はどのような行動を取るでしょうか?(最近、管理工数が増えてきたと感じ始めた時)
十分に品質を確保して、納期を遵守するために、もっと早くから投入するようになります。営業にも十分な納期を確保するように指示します。その結果、投入~完成までのリードタイムは長くなり、工場に流れる在庫が増え、優先順位が分からなくなり、更に管理工数が増えていきます。加えて、他社と比べて納期が遅くなるので、営業力の低下も招きます。まさに悪循環になります。

これは、「早く投入すれば、早く完成する」という誤った思い込みによって生じています。解決するには、投入するタイミングを遅らせることです。できる限り納期に引き付けて投入することによってリードタイムが短くなり、管理する対象が減り、優先順位に従って柔軟に流すことができます。

モノの流れを改善するためには、ムダを削除してリードタイムを短縮するとともに、いつ投入しないかをガイドする実践的なメカニズムが必要になります(例えば、仕掛案件が10件以上の時は投入しない)。これらは、受注特性、製品特性(付加価値)、業態 等を考慮して、具体化する必要があります。

このように、リードタイム短縮は付加価値の回転率を高めるだけでなく、商品価値を上げ、管理工数(固定費)を削減し、付加価値を飛躍的に拡大します。これらの関係が明確に見える化する経営システムの構築が必要です。

第11回「2017年度版ものづくり白書と成長戦略2017」へ→

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