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【コラム】 第6回 BPMシステム導入の価値と、構築に向けた検討のポイント

NEC 植松

NEC
第三ITソフトウェア事業部
植松 顯治

まえがき

今日の変化の目まぐるしい経営環境において、企業活動そのものである業務プロセスを、経営状況や市場の動向に合わせて継続的に改善していく手法として、Business Process Management(以下、BPM)が脚光を浴びている。

このような環境の中で、様々なITベンダーが、より効率的なBPMサイクルを実現するBPMS(BPM Suite, BPM System)製品を市場に投入するようになってきた。

BPM導入を成功に導くためには、その手法全体としての方法論や導入に向けた組織作り、意識作りが重要となってくるが、これを支えるITであるBPMSの導入にあたっても、導入のための方法論やスキルが重要となってくる。

本コラムでは、BPMSを導入する場合、従来の業務システム構成や、システム導入方法とどのように違うのか、BPMS導入にはどのようなポイントが重要となるのかを2回に渡って紹介していきたい。
前編では、今までの業務システムと比較したBPMSの位置づけと導入効果を紹介する。

ケース・スタディで理解するBPMS

BPMSは、その名の通り、BPMサイクルの実施を効率化するために登場した製品群のことを言う。(BPMやBPMサイクル、アプローチについてはコラムの第1回「BPM(Business Process Management)の実際」第4回「経営コンサルタントから見たBPMの意義と知っておくべきこと」をご参照頂きたい。)

つまり、企業のビジネスモデルを業務プロセスとして設計(Plan)し、設計した業務プロセスを企業内で適切に実行(Do)し、業務プロセスに則った企業活動に対するモニタリング(Check)を行い、プロセスの分析・評価結果から改善を行う(Action)一連の改善サイクルを支援するためのIT基盤である。

既にBPMやBPMSについては、インターネット上の様々な記事で紹介されているため、本コラムでは、BPMSの位置づけ、特にシステム化に関わるPlan~Doまでのイメージを掴んで頂くために、ケース・スタディとして製造業A社の業務の流れと業務システムについて考えてみたい。

あるPC組立・販売メーカであるA社は、個人・法人向けのPCの受注から設計、調達、生産、出荷、アフターサービスを一手に担う企業である。A社は、徐々に事業や販売チャネル拡大をしてきた経緯から、受注~アフターサービスまでの業務内容別、及び3つの販売チャネル(小売店、ネット販売、営業販売)別に業務システムが構築されている(図1)。

図1 システム概要図

法人顧客に対してPC販売を行う業務プロセスの一つである、営業経由の販売チャネルの業務プロセスを覗いてみると図2のようになっている。

図2 営業販売チャネルでの受注~配送の流れ概要図

ここでの課題は、各業務システムは、部門や業務内容に閉じた効率化に寄与しているものの、部門間連携の観点、業務プロセスの観点で見ると、ITがボトルネックになっている部分や、属人的になっている部分が多く残っている点である。

A社 営業販売チャネルでの受注~配送の流れの課題
①営業担当は、顧客から受注した案件の業務進捗が見えず、迅速な顧客対応ができない
②営業拠点によって、受注承認業務が属人化しており、承認の判断基準が統一化されていない
③契約書類などを基に、同一の内容を複数のシステムに二重入力しているため、人的ミスが発生する可能性がある
④営業担当は、顧客から受注した案件の業務進捗が見えず、迅速な顧客対応ができない
⑤営業拠点によって、受注承認業務が属人化しており、承認の判断基準が統一化されていない
⑥契約書類などを基に、同一の内容を複数のシステムに二重入力しているため、人的ミスが発生する可能性がある

このような状況では、組織間に情報伝達の壁があり、個別(部門内)最適が進められていても、受注してから商品の納品までにかなりの時間を要してしまったり、顧客からの物品手配状況確認の問い合わせに対応できなかったりと、顧客へ提供する商品・サービスの価値が目減りしてしまうことになる。

企業としての高い生産性、俊敏性を確保し、顧客への価値を高めるためには、この情報伝達の壁を低くする仕組みが重要となるが、BPMSはこのような領域おいて、業務プロセス観点での情報伝達の促進に寄与できるシステムである。

この営業販売チャネルにおけるPCの受注~配送プロセスが、BPMSを導入することによって、どのように改善できるかをイメージで示したのが図3となる。

図3 BPMシステムを導入した場合のイメージ

図の通り、BPMシステムは「人と人」「システムとシステム」「人とシステム」の間を仲介し、業務プロセス全体をリアルタイムにコントロールする役割を担うことになる。

図3では、業務プロセスの見直しをほとんど行わず、現状プロセスをベースにBPMSを導入した場合のイメージを示しているが、これだけでも次のような効果が見込まれる。
(システムについては、呼び出しインタフェースなど一部修正が入る可能性がある。)

A社へのBPMS導入によって期待できる効果
①BPMSが業務プロセス全体の進捗を管理するため、営業担当は注文の状況を顧客に報告できる
②業務プロセス上に受注承認の判断基準や、緊急対応時の対応プロセスなどを組み込むことで、業務品質の向上が見込まれる
③BPMSが人とシステムの間に仲介することで、受注内容を複数のシステムに入れるといったような二重入力を削減する
④BPMSが業務担当者へ、行うべきタスクや業務画面のナビゲーションを実施するため、作業漏れが無くなり、業務プロセスのリードタイムが改善される
⑤プロセス視点でのリアルタイムなシステム連携によってプロセス・リードタイムを短縮できる
⑥人手とシステム連携に散在していた「業務の流れ」をBPMSに集約できる

BPMSは、これまで人が直接利用していた各業務システムの機能(サービス)を代理で利用する立場にある。
同時に、業務担当者に対する業務ナビゲーションを実施したり、業務データの二重入力を防止したりと、人の付帯業務を軽減し、人の作業をシンプル化する役割を果たす。

つまり、BPMSは今までシステムの支援が無かった部分を担う新たな基盤となる。

そのため、BPMSは、今までのシステムを全て刷新・置換するのではなく、既存システムの連携インタフェースの見直しを行えば、既存システムを活用しながら業務プロセスのQCD改善を狙えるシステムである。

また、今まで人手やシステムでつないでいた業務プロセスを一貫してシステムでコントロールすることができるようになるため、業務プロセス全体の状況、業務指標が即時に可視化できるようになるというメリットが生まれる。

BPMSを導入することで、A社のシステム全体概要は図4のように変わる。

図4 : BPMS導入後のシステム概要図

図4を見ても分かる通り、「業務機能」と「業務プロセス」を分離してそれぞれを構築・管理できるようになるため、各システムの役割が明確になり、システムの柔軟性も向上する。

例えば、販売チャネルの増加や、チャネルごとにプロセスを差別化していきたい場合には、BPMS上のプロセスを見直し、変更すれば良い事になる。

また、今まで自社でスクラッチ開発していた業務機能を、業務パッケージに置き換えたい場合やSaaS提供された機能を導入したい場合には、プロセスに影響を与えることなく(業務担当者に影響を与えず)、業務システムの範囲で見直すことができるようになる。

このように、BPMS導入を前提としたプロセス志向のシステム構築を行っていくことで、業務システム自体も自然とサービス志向のアプリケーション構築となっていくと考えている。

BPMS導入によって享受できる効果

ここまで、ケース・スタディを通してA社にBPMSを導入した場合の効果について紹介してきた。
ここからは、一般的にBPMSを導入することによって狙える効果を紹介する。

新事業開拓(経営視点)

近年の変化や競争の激しい経営環境において企業を成長させていくためには、市場に対して、ニーズに即した商品・サービスをいち早く投入していくことが重要である。

このためには、あらたな商品・サービスを提供していくためのビジネスモデルを、業務プロセスとしていち早く実現し、実行できる仕組みをつくることが必要となる。

BPMSの多くは、業務プロセスモデルを直感的にモデリングできる機能があり、モデル化するための方法論やサービスも提供されるようになってきている。

さらに、構築した業務プロセスモデル内にシステム連携実装を行い、モデルをそのまま実行できるような実行基盤も提供されている。

そのため、BPMSを活用することで、ビジネスモデルを今まで以上にスピーディに実現し、市場への対応力向上、競争力強化を実現することができるようになる。

図5 : ビジネスモデルを実現するためのBPMS図

生産性向上(現場視点)

今までの業務システムでは、業務機能がメニュー表示され、今何を行えば良いのかは、人がその場で判断しながらシステムを呼び出すことが多かった。

また、自身のタスクが完了した後にメールや電話で次の担当者に連絡したり、紙ベースで上司承認を行ったりなど、属人化したプロセスが存在し、これによる付帯業務も発生していることが多かったかと思う。

BPMSは、業務プロセスモデルに則って、業務担当者へのタスクの割り当てや、業務画面へのナビゲーション、作業完了時の連絡などを行うことができる。

このため、今まで発生していた間接業務、付帯業務を極力削減することができ、業務担当者が注力すべき業務に能力を最大限発揮できるようになる。

システムの柔軟性向上(システム視点)

従来は、業務の流れが各業務システム内の様々な機能の中に散在・固着しており、業務プロセスを変更したいというビジネス要件に対応できなかったり、莫大な改修が必要となったりと、ITがビジネスの足かせになる可能性があった。

BPMSを活用した業務プロセス志向のシステムでは、業務プロセス(業務の流れ)と業務機能が分離され、それぞれを構築・管理できるようになるため、システムの柔軟性が向上する。

BPMSは、業務プロセスモデルに則って、業務担当者へのタスクの割り当てや、業務画面へのナビゲーション、作業完了時の連絡などを行うことができる。

これにより、業務要求への対応力が向上し、ビジネス要件に追従し業務を支援するITを実現することができるようになる。

図6 : BPMS導入で享受できる効果

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