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【コラム】 第4回 「経営コンサルタントから見たBPMの意義と知っておくべきこと(後編)」

アビームコンサルティング 日置様

アビームコンサルティング株式会社
プロセス&テクノロジー事業部
経営改革セクター デイレクター
日沖 博道 様

3. BPMプロジェクトについて

前編はこちら

BPMプロジェクトが始まる典型的パターン

BPMサービスに関係するコンサルタントやベンダーの方々とお話する際によく出る話題がある。「どういうパターンでBPMプロジェクトが始まりますか」というものである。実際多様な展開事例があるようだが、「きっかけ」と「イニシアティブ」という2つの切り口で整理すると、6つのパターンに分けられると考えている(図3参照)。

BPM プロジェクトの開始パターン図3:BPM プロジェクトの開始パターン

「きっかけ」としては、業務改革を進めることになり、どうせならその後も継続できるように仕組み化したいとの意向で業務改革と並行してBPMを導入・推進するパターン、BPMそのものに強く興味を持った人が社内関係者を説得してツールを率先導入、推進するパターン、社内情報システムのSOA化を推進するため、BPMツールにて可視化とサービスとの連携を図るパターンの3つに大別できよう。

一方、「イニシアティブ」の観点ではトップダウンとボトムアップの2つに大別できる(もちろん、実際の進め方としては混在しているケースも多いが)。要は、どんな立場の人が最初のイニシアティブを執ってプロジェクトを起こすのかということである。

この2つの切り口でマトリックスを描いたところ、SIまたはツールベンダーの方々が多く経験しているのは、どうやら右下と中下の2つのボックスである。特に右下は情報システム部門が主導する際の主要パターンのようである。この場合、SOA構築を支援するSIベンダーの協力を得て、そのSOAツール群の一部であるBPMツールによって情報システム部員が既存プロセスを可視化することが多いようである。主要イシューは例えば「サービス粒度を考えたサブプロセスの切り出し方」である。

一方、中下のボックスは、内部統制絡みで業務の可視化を進めたところ、たまたまBPMツールで可視化しており、どうせなら今後もプロセスとして管理するように担当部署が決められたという例が多い。戦略的な意図で進めたというより、途中で気づいたといったニュアンスが目立つのは興味深い。当面は業務マニュアルにも使える程度に細かく可視化を進め、(今はできないが)将来的にはシステム化に直結できる下地を作っておこうという気真面目な会社像が浮かぶ(筆者もそうした例を経験している)。

それに対して中上のボックスはBPM導入をトップが主導するパターンであり、(欧米ではともかく)残念ながら日本ではまだ例外的である。筆者も若干のケースを経験しているが、CIOと呼ばれる人がよほどやり手かつ戦略的である場合か、BPMを売り物にしようとしているIT企業のいずれかぐらいという極端さである。

ちなみに、筆者の経験したプロジェクトの多くは左上のボックスに集中している。つまりトップダウンで業務改革を進めるプロジェクトを開始する際に、「どうせならその後も継続できるように仕組み化しませんか」とこちらから提案し、業務改革とBPM化を並行して進めるパターンなのである。ちなみに業務改革プロジェクトが始まるきっかけとしては「基幹システムの刷新」が半分くらいあるのも事実である。

成功と失敗の分岐点

本章は本年7月に実施したセミナー『見える化のその先へ・・・組織の実行力を加速せよ ~経営企画部門のためのプロセス改革セミナー~』から一部抜粋したものである。

BPMプロジェクトの成功・失敗を分かつ主要因の一つに、目的観がある。筆者が関与した成功プロジェクトでは、上位の経営的狙いにどう繋がるのかを明示化し、例えば業務改革手法としてBPMを選択することが関係者間でコンセンサスを得ていた。情報システムの導入・更新はあくまでその実現手段であるということがプロジェクトの初期段階で共有化されていた。それに対し筆者がヒアリングした失敗事例では、上位目標との関連が曖昧で「なぜBPMなのか?」に説得力を欠き、往々にしてERPなどの情報システム導入そのものが目的ではないかという疑いを強く持たせるものが多かった。

成功・失敗を分かつ主要因としては「優先領域の絞り具合」も挙げられる。我々が経験した成功事例では、たとえ全社プロジェクトであっても満遍なく全領域に亙って行うということは滅多にない。全社的俯瞰と課題の構造化等がなされた上で、本質的かつボトルネック部分を優先領域として重点的に検討・実行している。失敗事例では広大な範囲を同時並行的に浅く検討しており、課題整理・構造化も真因追及もしないかやっても中途半端で、優先すべき重要課題が絞られないまま、全社横並び的にモデリングを力技で実施している傾向があった。

「進め方」も成功・失敗を分かつ主要因である。先に述べたように、成功事例では限定した領域で専門家を中心に高効率・品質維持に留意して展開していたが、必要に応じ途中でシミュレーションやプロトタイピング化することにより、ワークフロー化した際のメリットを実感してもらうようにしていた。それに対し失敗事例では業務可視化が自己目的化し、活用方針も方法論も定まらないまま膨大な可視化作業を横展開させたり、モデル化した成果物の品質がバラバラだったりと、戦略性に欠ける進め方が往々にして見られる。ワークフロー化した際のメリットを実感する機会もなく、現場のやる気が失せていったのは当然の結末だったと云える。

BPMに関するよくある誤解と有効なアプローチ

BPMに関してクライアント企業からよくされる質問のうち幾つかは、YesともNoとも答えられない、そもそも間違った質問であることすら時にある。以下に幾つか例示する。

「トップダウンで進めるべきか、ボトムアップで進めるべきか」

既に説明したように両方のパターンがあり、どちらか一方が正しくもう一方が間違ったアプローチという単純な話ではない。プロジェクトの狙いと範囲、それに伴う規模によってはトップダウンでないと無理な場合もあろうし、その逆にボトムアップで実績を積み上げるほうが現実的なこともあろう。これらの条件・状況を勘案して独自に決めればよい。

ただ、あまり社風を意識し過ぎないほうがよいということはアドバイスしたい。あるクライアント企業は典型的な日本企業で、トップダウンでプロジェクトをやった記憶がないというほどだったが、必要と感じたので敢えてトップダウンで集中的に進めさせていただいたところ、非常にスムーズに進んだ。へたに時間を掛けてボトムアップで進めていたら、迷走したかも知れない。

「外部コンサルタントは不可欠か、それとも自分達だけでもできるか」

BPMの思想は自分達で業務改善を継続的に進めることなので、運営自体には外部が関与しなくてもよいように仕組みを作り上げる必要がある。したがってここでの質問はそこまで持っていくのに外部のヘルプが必要かどうかということである。特にBPMという仕組み導入プロジェクトの立ち上がりが課題だろう。

導入のやり方を理解しており、迷った際にも立ち戻る原則を持っており、多少プロジェクトが迷走しても修正できるだけの判断力をトップが持っているなら、クライアント企業のスタッフだけで導入できよう。だがそういった企業が多くないのも事実である。必要なフェーズについて水先案内人をつけてスムーズに導入し、競合に先駆けて展開することは、誇りにこそなれ、恥ずかしいことでは全くない。

「BPMにはSOAが不可欠か、それとも関係ないか」

これは両極端な質問の典型である。この問いには、本ウェブサイトのホワイトペーパーのコーナーにある「再考・ビジネスプロセス」が適切に答えているので、そちらに譲りたい。結論的には「必須ではないが、有効なケースが多い」というものである。

「BPMの実践にはBPMシステムが不可欠か、それともシステムなんて無関係か」

これは「BPMシステム」というキーワードが出る分だけ、知識のある人の質問である。BPMツールを活用してワークフローを構築したり既存情報システムを連携したりしたものが、ビジネスプロセス管理の基盤としても使われると、「BPMシステム」と呼ばれる。これが不可欠かという質問である。

BPMの取り組みの当初には、当然こうした「仕組み」は存在しない。それでもBPMツールがあれば可視化は進む。プロセス情報を管理するという初期のBPMコンセプトはこれだけで実現できている。またシステム化まで連動することも、今の多くのBPMツール単独で可能である。そこに既存の他ツールが持つモニタリング機能を組み合わせば、部分的にBPMサイクルを回すことも可能である。すると一見、BPMシステムはなくてもよさそうである。

しかしそのサイクルをスムーズに回そうとしたら、そしてKPI改善および業務改善の実践を定着させようとしたら、やはり「BPMシステム」という基盤が必要になってくるだろう。

特に業務執行状況をモニタリングする手段の有無は大きい。「BPMシステム」で業務そのものをシステム化するか、業務をサポートする別システムを連携させるか、いずれでもよいから、一つ一つの業務処理がある段階まで完了したという情報を把握できるようにすればよいのである。結論的にいえば、BPMの本格的実践そして定着にはやはりBPMシステムが不可欠ということになると考える。

さて、本来ならばNECグループおよびオラクル社殿と組んでの「BPM/SOAトライアルメニュー」も紹介したかったが、紙面の余裕がなくなってしまったので、そちらも別途ご参照いただきたい。

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