ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ソリューション・サービス
  3. SOA
  4. コラム
  5. 第2回「地に足の着いた」SOAの活用に向けて
ここから本文です。

【コラム】 第2回 「地に足の着いた」SOAの活用に向けて

NEC
第一製造業ソリューション事業部
井上 正道

私は製造業を中心とする民需企業のお客様にEA、SOAの重要性や価値を紹介し、導入のご支援をしております。またオープングループというコンソーシアムでSOAの理解促進活動も行っています。

オープングループというのは全世界の300を超える企業や組織、官庁から構成されるアソシエーションです。活動の狙いは特定利用者やベンダー、テクノロジから中立の立場で様々なIT標準や方法論を議論して、成果物を共有することを行っており、25年以上の歴史を持っています。私はそのSOAワーキングループで日本側の副議長を務めています。

1.SOAが登場した当初の印象

SOAは1996年に生まれたと聞いていますが、私がその言葉を知ったのは2004年の春でした。その際の印象は「長年多くの技術者が取り組んできた夢が始めて実現できる」のかという期待感となぜそれが出来るのかという疑問でした。数ヵ月後、それは「誇大でまやかしがある」と考えるようになりました。

当時、私はEA(エンタープライズアーキテクチャ)コンサルタントとしてお客様のシステムをレイヤーに分けて整理統合する活動を支援しつつ、当社のEA構築方法論作成に携わっていました。EAはビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジの各層でシステムの全体最適を目指す考え方で、ある程度のレベルに至るまで早くても数年、通常は5年・10年のスパンで取り組む必要があります。当社が作成したEA構築方法論もオーソドックスに使えば12アクティビティに分かれ、100ページを超えるドキュメントを理解する必要があります。

それに対しSOAは簡単にシステムを実現できる魔法のツールのように聞こえました。ビジネスプロセスをBPELで可視化し、それをサービスにマッピングすればシステムを動かすことが出来ると当時は強調されていました。でもそれは重要な設計ポイントを軽視する危険な説明で、特にデータをどう規定するかについて、言及できる人は殆どいませんでした。

2.SOAの現状認識

現時点でSOAをどのように見ているかというと、確実に使えるものに近づきつつあると考えています。それは当初から議論されるべきデータの扱い方や実装における注意点が議論されるようになったからだけではありません。様々な標準や実証データ、SOAを前提とするサービス部品が豊富に各ベンダーから出されるようになってきたからです。

でもそれだけではSOAは広がりません。ポイントはサービス部品が豊富に出回ることです。

そもそもXMLを中心とするSOA関連技術は確実に発展していました。それに加え、使いこなすための活発な意見交流も行われ、ミドルソフトベンダー各社も相次いで機能強化を図っています。SOAシステムを構築する方法論も活発になりました。

クラウド・コンピューティングやSaaSはSOA技術を背景に登場してきた新しいサービスの考え方です。ERPベンダーもSOAを標準に品揃えを強化しております。それはERPの利用が2/3を超えたといわれる大手製造業にとって、現実的なメリットをもたらすでしょう。昨年、NECで扱う各種ERPをSOAで連携させる実験を行ったのですが、いくつかの課題は出たものの大きなトラブルはなく、今までより少ない期間、工数で動作させることが出来ました。

SOAの適用事例はまだ多くはなく限定的ですが、トップ企業を中心にSOAを技術標準にする所も多くなっており、今後確実に浸透していくはずです。

3.SOAに対する期待

SOA導入のメリットは「変化への対応力」、「柔軟性のあるシステムの実現」、「生産性向上」、「運用コストの削減」といわれています。今後サービスの標準化が進めばこれら夢の実現が近づくはずです。特に企業と企業、組織、個人間の連携がこれで進むでしょう。なぜならばこの部分の効率化は不十分で、改善ニーズが高く、そのため業界間でデータ交換の様々な標準化議論が行われているからです。

電子・電気機器業界ではロゼッタネットが有名で、グローバルなサプライチェーンを実現するための業界標準を定めています。そのほかアパレルや消費財、金融、建設、旅行業など、あげだしたら限がありません。最近では自治体でも地域情報交流の取り組みが始まっています。従来ならば人間が介在して、メールやFax.で連携をしていたものが自動的に企業・組織間が連携し、処理が行われていく時代になりつつあるのです。

でも一方で影の部分もあります。ベンダー各社は標準化を推進しつつ、付加価値を増すための独自性のアピールもしています。それは色々と工夫されて使い易い面もあるのですが、マルチベンダー環境で使うと動かなくなる場合があります。

標準化も競争をしています。いまやSOA関連の標準は100を超えています。中には重なり合い、ぶつかっているものもあります。単に標準に準拠しているからお互い会話できるかというと、そう簡単でない現実があります。

オープングループではベンダーから中立、標準から中立の立場で公平に技術を評価し、ガイドラインや方法論を作り上げています。多くのドキュメントは英文ですが、メンバーの意見が強かったSOA Source Bookは日本語訳を作成中で、年内にはリリースすることが出来るでしょう。

4.技術だけでは解決できない大切なこと

2005年7月、EAのコンセプトを考え出したザックマン氏の話を聞くチャンスがありました。以下は彼の主張です。

現時点で経営者のITに対する期待は「変化への対応力」、「柔軟性のあるシステムの実現」、「生産性向上」、「運用コストの削減」である。
でもこれらは3年前、5年前も同じだった。
その間、ITベンダーは様々な技術、製品を出してきた。
何か変わったのか?
何も変わっていない。
今後、本当に変わるのか?
答えはNoだ。
技術だけでは変えられない、エンジニアリング力が加わって、初めて変えることが出来る。

私もそうだと思います。SOAは技術的には目覚しい発展をしています。でも技術だけで解決できる範囲には限界があります。技術が発展してもそれに伴うエンジニアリング力がないとそれらは絵に描いたもちに過ぎません。

「求めているシステムはどのようなものか」、「それはどのような構造が必要なのか」などはエンジニアリング力があってこそ描き出せるのです。

関連URL

ページの先頭へ戻る