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【コラム】 第1回 BPM (Business Process Management) の実際

NEC 原健一

NEC
第一製造業ソリューション事業部
シニアエキスパート
原 健一

お客様の経営課題としては「グローバル経営の最適化」、「顧客満足度の向上」、「高付加価値化の推進」などが具体的なテーマとして挙げられており、以前のようにコスト削減一辺倒の課題から、徐々に経営課題自体も前向きな方向性へシフトしてきています。

また今の厳しい事業環境を乗り越え今後の成長に向けて差別化を実現する戦略遂行に取り組んでおり、経営戦略とIT戦略を一体化させながら、次の成長チャンスを確実に捉えていくことを志向しているところにあります。NECはお客様のこうした課題や成長への取り組みを支援するため、BPMトータルサービス体制強化の実施と共に、具体的なサービスの提供を行っています。

1.BPMとは?

「ビジネス目標の達成を目的に、ビジネスプロセスの可視化を行い、ビジネスプロセスのパフォーマンスに対するシミュレーションや効果測定、分析などの管理を行うことで、ビジネス環境変化に応じたシステム対応や、業務の効率化、IT投資の有効化を実現する」というのがBPMの考え方と言える。

BPMサイクルの概要

2.BPMが注目される背景

これまでのソリューション導入は「基幹システムの更新に伴うERP導入」、「コスト削減のためのBPRの推進=ERP導入」というコスト削減・システム更新需要に支えられていたが、最近のソリューション導入傾向は「開発→製造→販売→サービス」という事業プロセスでの品質強化の実現を目指したものが多い。ソリューション導入により事業プロセス品質を高め、差別化・付加価値化を進めていく取り組みがなされている。

情報システムの差別化要素

  • 変化への対応を俊敏に行い、ソフトウェア資産の再利用ができる実装技術としてSOAが台頭
  • ビジネス上の仕組みを最適化し、ビジネス上真に必要とされる機能を導出するアプローチとしてBPMに期待と注目が集まる

従来業務プロセス自体が不透明であったところにソリューションを適用することでおきていた課題(低ROI・ソフト資産の重複、ビジネスと情報システムの不透明な関連など)を解決するアプローチとして、業務プロセス自体を可視化し、ビジネス要求と情報システムとの連鎖(サービスとして切り出すべきビジネスファンクションや情報システムが影響しているビジネスプロセスの関係)をマネージメントする志向が拡大した。こうしたこともBPMが注目されている背景となっている。

3.BPMアプローチと成功のためのポイント

簡単に言うとBPMは「モデリング」、「設計」、「展開」、「モニタリング」という4つのフェーズからなる。モデリングはビジネスプロセスを把握、整理するためにビジネスプロセスを図示(モデル化)することからスタートする。最近では「見える化」または「可視化」などとも呼ばれている。次はモデリングで得られたモデル(モデルデータ)を元に企業目標を達成するための新プロセスの設計が行なわれる。これはTo-Beモデルともいわれ、前者は現状を可視化したAs-Isモデルと呼ばれる。多くのBPMツール(BPM作業を支援するソフトウェア)はモデル作成を円滑にするための操作性や、誰が見ても理解しやすい形で表現する機能を提供している。また最近はTo-Beモデルを導出する際に必要となる様々な情報を活用する仕組をもつ高機能なものも存在している。

展開のフェーズでは、「モデリング」・「設計」によって得られたTo-Beモデルから情報システムに実装する機能が抽出され、実際にアプリケーションプログラムとして実装することでビジネスプロセスはより効率的に実行されるようになる。NECでは管理されたモデル情報を活用してSOA基盤上でアプリケーションを実装する方法論と技術(=MDA(Model Driven Architecture))、製品を提供している。

他にもモデリング等によって得られたモデル情報は内部統制の整備・強化、ISO認証取得の際の業務プロセス定義、企業合併などにより求められるプロセス再設計等への活用に広がりを見せている。

さらに管理フェーズでは、システム実装まで行なわれた新しいビジネスプロセスの実行状況をモニタリングし、内在する問題を分析し、改善するサイクルを回すことでプロセス効率化の手法・仕組を継続的に得られることになる。

こうした、ビジネスプロセスを可視化し設計を行い、システム実装に展開し、モニタリングしながら改善を図っていくことがBPMなのである。以上のような、BPMアプローチでの目標達成に向けたプロジェクトを成功させるための代表的なポイントを整理してみる。

BPMアプローチを成功させるポイント(概要)

  1. 誰が見ても分かる形でモデル(可視)化され、モデル情報は共有・活用されている。
  2. プロジェクト目標がはっきりしていて、可視化・展開されたプロセスモデルと目標達成のための施策や評価指標の連鎖を見ることが出来る。(本当の可視化と言える)
  3. ビジネスプロセスを可視化するために必要なモデル図のレベルや種類が整理されている。
  4. ビジネスプロセスを構成する要素やレベルに合わせた粒度が標準化されている。
  5. 組織間の連鎖や組織が行うプロセス、プロセスに含まれるファンクションや情報が一元的に管理されそれぞれの関連が見える。(Bird Eye=可視化されたプロセスを上位・下位レベルや横串で鳥瞰して始めて見える課題や問題がある)
  6. 目標のビジネスモデルを導出するための方法論が体系化されている。
  7. モデル情報を具体的な情報システムに実装(展開)し、モニタリングする技術やツールがある。
  8. ビジネスプロセスモデルは実装する業務システム(プロセスサービスや基本サービス)との関連が管理できる。
  9. 可視化・共有化されたビジネスプロセスモデルはシステム実装技術には依存しない形で表現し、管理される。(実装技術が変わってもモデルは企業の資産として活用できる状態にある)

4.BPMアプローチでソリューション導入を行う効果を考える

NECは実際にBPM手法を用いたソリューションサービスを多数提供してきているが、BPMをソリューションとして見たときの具体的な効果を述べておきたい。

情報化投資効果の最大化

従来は、実際の業務プロセスが不透明なままシステム(改善)への要求が作られていた。このための利用者の利便性を求めるものが数多く要求として顕在化する傾向にある。なおかつ、プロセス設計段階での標準・最適化が不十分でありソフトウェア資産の増大化を引き起こしていた側面もある。As-Isをモデル化するための手順やリファレンスモデルの活用、ビジネスプロセス最適化の手法を適用することで、実際のソリューション導入時に以下の効果を発揮しているプロジェクトが多数出てきている。

  • 業務プロセスそれ自体のスリム化が行われる。
    (創造される企業価値は下がることなく、プロセス自体が効率化する=価値創造へのリソース投入が減少する)
    (実際のビジネスプロセスへの適用が行われるとリードタイムが短縮するという効果がある)
  • 業務プロセス標準・最適化が進みソフトウェア資産の肥大化を防ぐ。
    (ビジネスプロセスを支援するシステム機能も標準化・再利用が進み、ソフトウェア開発コストが圧縮される)
  • ソリューション導入期間が短縮され投資効果を早く享受できる。
    (ビジネスプロセスが明確化し、ソフトウェア規模が抑えられることでテスト、運用準備、教育が効率化、短縮化される)

BPMがソリューションとして期待される成果

5.コンサルティングではなくエンジニアリング

ここではプロセスを可視化するモデリング(目標となるモデルを導出するプロセスモデル設計を含めて)についてふれておきたい。

そもそも、モデリングとはデータフローやワークフローを図示しそれに基づいてソフトウェアの設計に使われてきた歴史がある。OMG(Object Management Group=オブジェクト技術の標準化団体)によってまとめられたUML(Unified Modeling language)がモデル表記法として有名である。ソフトウェア開発では主要な表記法が存在してきた。現在では企業活動をモデルとして図示し最適プロセスを設計していくまでに広がりを見せ、モデリングによって整理していくための方法論や表記法を標準化する活動が、OMGによって行われている。

さらにBPMやSOAを推進するためのソフトウェアとして、多様なツールやソフトウェアがソフトウェアベンダから発売されていることもBPMへの関心を高めている。しかしBPMアプローチによってプロセス最適化を行っていくにはツール・ソフトウェアの導入を行えば良いといことにはならない。エンジニアリング志向での取組みの重要性を考えたい。

実際にモデリングするための(さらには設計・展開・モニタリングまでの)方法論と表記ルール、ツールそれ自身の機能やモデル化された情報をプロセス設計やモニタリングの局面で様々な視点で活用できなければならない。例えば、組織間の連鎖や、プロセスを構成する要素(組織×情報×機能⇒作り出される価値)の関連を手繰り寄せることが出来なければならなし、プロジェクト目標としていた指標と実際の稼動情報との比較などから次の改善サイクルを展開して行くことが重要である。

NECでは多くのSIサービスやBPMプロジェクトを通して、ビジネス領域での可視化・分析の手法や具体的な情報システムに展開して行くための管理属性などを標準化し、情報システムの実装技術とは独立した状態でマネージメントできる基盤を整備し提供している。前述の「BPMアプローチによるプロジェクト成功のポイント」で述べたものを実際のプロジェクトで適用できなければ、プロセス効率化の手法・仕組を継続的に得られることは出来ない。

成功のポイントにあげた内容を考えると、必要とされるノウハウや技術領域は十分な「のりしろ」を持った形で広範囲に求められる。つまり、優秀なコンサルタントの登場を期待するのではなく、ビジネス領域でのプロジェクト活動もエンジニアリングとして捉え、方法論・成果物標準・成果物それ自身・ビジネスプロセスモデルをシステム開発に継承させる技術とツールを体系立てて準備し、実際に適用することが求められているのである(技を活用する術として体系化することが求められる)。NECではシステム実装段階はもとより、BPM/SOAによるソリューション導入を成功させるためのビジネス領域におけるエンジニアリング志向のソリューションとして「CGAA©Solution powerd by SDE」をいち早く製品化し、多数のお客様に提供している。CGAA©はBPMソリューションサービスの高い均質性を維持し、円滑なプロジェクト推進を図ることが出来るよう、方法論、ソリューション導入プロセス、各プロセスで作成・参照される成果物や成果物標準とプロセス可視化・最適化を強力に推進するための標準化技法を組み込んでいる。

BPMアプローチによるプロセス最適化

6.ビジネスプロセスモデル情報を管理する意味

BPMアプローチによって可視化されたビジネスプロセスモデル(ビジネスを支援する情報システムや関連する法規情報の連鎖を含む)を共有・活用していくためには、モデル情報それ自体を維持管理する必要があり、この役割を持った組織の在り方も考えていく必要がある。過去の情報システム開発を前提としたプロジェクトのそのほとんどは、ビジネスプロセスを可視化・最適化してプロセス品質の強化というところに多くのリソースは割いてこなかったのが事実ではないだろうか。

BPM手法を適用して、企業のビジネススピードを上げていこうと考えた時、今までとは違う領域(超上流・上流などと言うところ)に多くのリソース投入を必要とし、なおかつモデル情報を円滑に運用するための組織も必要としている。(このことがBPMの本格的導入に踏み切れない要素となっている場合が多い)

近年、過去のソリューション導入の手順にとらわれずに「ビジネスプロセス△△△部」とか「イノベーション○○○部」などの、プロセスそれ自身を管理し、競争力を維持・強化していくための組織を作っている企業も増えている。このような組織を持つ企業は、モデル情報を維持管理しなければ、日常の企業活動のパフォーマンスをモニタリングしたり、改善のサイクルを回していくことは出来ないことと、BPM手法を活用して得られたモデルそれ自体が、複雑なビジネスプロセス及びビジネスプロセスと情報システムの関連を表現し的確に伝えるものとしての共通言語になることを理解し、様々な効果を得ようとしている(今までの改善活動での限界を感じて)ものと思う。

ビジネスプロセスモデル情報を管理する意味

BPM手法を適用したプロジェクトを推進することや、プロセス効率化の手法・仕組を継続的に得ることを目的にプロジェクトを推進した結果、情報化投資に関する効果はどのようになるかを多くのお客様と議論もしてきた。ビジネスプロセスと情報システムが複雑に連鎖している状態では、ビジネスユーザからの改善要求があっても、ビジネスと機能の関連、影響度の調査に多くのリソースが使われ実際の改善作業はわずかであったりする。これではビジネススピードを向上することは出来ない。次のような効果をもたらすことがBPM手法を適用し、モデル情報を維持管理する目的と言える。

改革と継続する改善

7.広がりを見せるBPMアプローチ

ここまで、BPMアプローチを適用して企業のビジネス(コアビジネス)を支援する情報システム構築について述べてきたが、最近はこれ以外のへの適用やBPM手法に多様な新興技術を組み合わせたソリューションが出現している。アウトソーシング、Saas、クラウドコンピューティング、組織的なノウハウの継承などへの広がりが見られる。

  • ビジネスルールエンジンとの組み合わせによるソリューション
  • 可視化モデルを使ったeラーニングビジネスの立ち上げ
  • IT資産の可視化からプラットフォーム最適化
  • 情報サービス提供内容それ自身を可視化したアウトソーシングサービス、クラウドサービス
  • オントロジー、セマンティックWeb技術を組み合わせたノウハウの組織的継承環境の構築

上記の他にも多様な領域への展開が期待されることから、BPM手法を企業内に定着、活用させることは、ビジネススピード向上、人材育成、情報サービス基盤の刷新などを実現していく重要な要素となっていくものだと考えている。

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