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知っておきたい労働安全衛生法/ストレスチェックの準備 第1回
ストレスチェックの義務化・背景と対策(前編)

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2015年12月から、常時使用する労働者へのストレスチェックが事業者の義務となります。法律的な背景を知っていただくと同時に、実際のストレスチェックや個別面接の実施方法について紹介します。

石田氏、大島氏

レイズ・コンサルティング法律事務所 弁護士(東京弁護士会) 石田 達郎氏

慶應義塾大学経済学部、中央大学法科大学院卒業。
日本労働法学会所属弁護士。
経営者の側から労務問題を取り扱うことを専門分野としており、一般の労使紛争のみならず、労働災害、外国人労務問題についても造詣が深い。

産業カウンセラー/特定社会保険労務士 大島 祐美子

日本女子大学文学部卒業後に外資系メーカーに入社。参議院議員の公設秘書へと転職。
法律を学ぶ中で従業員教育などの重要性を感じ、資格を取得後に社労士として独立。
産業カウンセラーとしても中小企業の労務にかかわる。

「知っておきたい労働安全衛生法」弁護士・石田 達郎

1.ストレスチェック制度の創設

平成26年6月19日、労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号。以下「改正法」という)が可決成立し、同月25日に公布されました。

この改正法は、化学物質管理のあり方の見直しや、受動喫煙防止対策の推進、重大な労働災害を繰り返す企業への対応等、労働者の安全と健康を確保するための様々な改正を含むものでしたが、その中の一つの重要な改正として、ストレスチェック制度の創設が挙げられます。改正法のうち、このストレスチェック制度の創設に関する部分は、平成27年12月1日から施行されることとなっています。

2.ストレスチェック義務化に至る背景

現代はストレス社会であるなどと言われることがありますが、事実、従業員が会社という組織の中で仕事をしていく上では、外部から様々なストレスを受けます。仕事の内容が配置換えによって急激に変化したり、取引先からのクレームの対応であったり、職場内の人間関係の不調和であったり。ひどい場合には、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントなどによって非常に強いストレスを受けることもあります。

また、昨今の経済情勢を背景に行われる人件費の削減等により、1人当たりの仕事量が過度に増大した結果、長時間労働に従事せざるを得ない状態に追い込まれることも、典型的なストレス原因の一つです。

日本の長時間労働の実態は、諸外国と比較しても極めて深刻な状況にあります。あまり知られていませんが、「karoshi」(過労死)という言葉は、「tsunami」(津波)と同様に、ローマ字表記のまま、英単語として辞書等に収録されています。このことは、日本における長時間労働の実態がいかに特異であるかを端的に物語るものといえます。

以上の状況を反映するかのように、業務による心理的負荷を理由に精神障害を発症したとして労災認定を求める件数(請求件数)、及び実際に労災として認定される件数(支給決定件数)は年々増加傾向にあります。平成27年6月25日に発表された厚生労働省の資料によれば、平成26年度の労災請求件数は1,456件、同年度の支給決定件数は497件(うち自殺(未遂を含む)99件)と、過去最多の件数となったとのことです。

このような背景を踏まえ、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する第一次的に予防することを目的として制定されたのが、ストレスチェック制度になります。

3.ストレスチェック制度の概要(改正後労働安全衛生法第66条の10参照)

平成27年12月1日から施行される改正法のうち、ストレスチェック制度の概要については以下のとおりです。

  1. 従業員数が50名以上の事業場において、ストレスチェックを実施することが義務づけられています(従業員50名未満の事業場については当分の間努力義務)。
  2. ストレスチェックを実施した場合、その検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接従業員に通知され、本人の同意なく検査結果を事業者に提供することは禁止されています。
  3. 検査の結果、一定の要件(高ストレスと判定された従業員等)を満たす従業員が希望した場合には、医師による面接指導を実施しなければなりません。従業員がこの面接指導を希望したことを理由として不利益な取り扱いをすることは許されません。
  4. 面接指導の結果に基づき、当該従業員の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聞いた上で、必要のある場合には、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならないとされています。

ここでは総論的な記述にとどめ、詳細は各論にゆずりますが、改正法への対応は事業者からすれば負担感のあるものかもしれません。
しかし、高ストレス状態にある従業員を早期に発見し、うつ病等の精神障害を発症する前に対策を講じることにより、当該従業員の貴重な労働力を失うことを回避することが可能となり、また、労働生産性の向上を期待することもできます。

また、うつ病休職・復職をめぐるトラブルや、過労自殺といった労働者・使用者双方にとっての最悪の事態を回避する効果も期待できます。
平成27年12月1日の改正法の施行日に向け、今から適切なストレスチェックの実施体制の構築に向け、準備を進めておくことが重要ではないでしょうか。

【参考資料】

独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズ No.100
「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」

参考資料:グラフ

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