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安川 展之

インドに飛び込んで、社会ソリューションをデザイン

データサイエンス研究所 主任
安川 展之 (やすかわ のぶゆき)

NPO法人と提携した「留職」プログラムによって、6カ月間インドへ赴任。現地の社会企業で農村部へのサプライチェーン構築に奔走し、新興国が抱える課題の解決をデザインした。

シーズ志向からニーズ志向の研究者へ
社会課題を抱えた現場での挑戦

私はもともと理系の研究者です。入社以来、顔認証や画像認識などの研究を行っていました。しかし、ただ技術を開発して、その技術から何ができるだろうかと考える発想だけでは、お客さまや社会が求めている課題解決から遠いところに着地してしまう可能性もあります。
いまNECは技術開発中心のシーズ志向からお客さまが抱える課題解決中心のニーズ志向へ移行しつつあります。私も社会ソリューションの一翼を担う研究者として、早くそのような「よりお客さまの側に立った研究開発」に携わりたいという想いをもっていました。
そうしたときに出会ったのが「留職」プログラムです。これは、社会課題の中心に身を置くことができる絶好の機会だと思いました。現場のなかに飛び込んで課題を発見し、それを最善の方法で解決する。そして、解決したものをしっかりと定着させて、お客さまに喜んでもらえるかたちをつくりあげる。さらには、社会に喜んでもらえるかたちになるまで最後までやりきるという一連のプロセスを何としても自分で体験したい思いが強かったので、このプログラムに応募しました。

あらゆる現場へ足を運んでこそ実現できた本当に役立つソリューション

インドで勤務したのはDrishteeという社会企業です。都市部から農村部への効率的なサプライチェーンを構築するというのが私のミッションでした。インドには都市部を中心として、周辺に小さな農村がたくさん点在しています。農村には小さな個人商店があって、生活に必要な石けんやシャンプー、洗濯洗剤などさまざまな日用品が売られているわけですが、物資の流れは円滑ではありません。たとえば、石けんが売り切れた場合、物資が届くまでに1カ月かかるということもしばしばでした。
ミッションは「効率的な」サプライチェーンの構築ということでしたが、「効率的」はまだ曖昧な言葉で、解決にはさまざまな方法があるはずです。そこでまず行ったのが「本当の課題」は何か探るという作業でした。抱える課題が何かを知るために、企業の本部はもちろん、地方のオフィスにも足を運び、そこからどのように物資が運ばれるのか、運搬トラックに一日中ついてまわって調査しました。さらに、トラックが行き着いた農村では、どのように商品が売られていて、どんな商品が売れているのか。何個売れて、お金はどのように授受されているのか、その売買のデータはどのように管理されているのか、といったところまで全部細かく観察して、それぞれの立場の人が抱える課題というものを自分が共感できるレベルまで理解していきました。
発見した課題のなかで特徴的なものを二つ挙げると、一つ目は、サプライヤーがレシートを手で書いたりパソコンに手入力したりする過程で間違いが生じてしまうという問題でした。正しい入力がされていれば、頻繁な在庫切れも起こらないはずですし、その情報をマーケティングに活用することもできます。二つ目の課題は、サプライヤーに求められるスキルが高すぎるという点でした。サプライヤーには全商品の価格を覚え、運搬トラック内の在庫を把握し、販売結果をパソコンに入力する、などといった幅広いスキルが求められていました。これを軽減できれば、人材の確保や教育が容易になり、サプライヤー数の増加や他の農村部へのサプライチェーン拡大といった本質的な課題の解決につながるはずです。
その結果として開発したのが、現地の安価なタブレット上で動く商品売買アプリケーションです。日本からボランティアで協力してくれた有志と連絡をとりあってプロトタイプをつくり、実際に試用してもらっては改善を繰り返して、何とか実業務で運用できるものまで完成させることができました。
うれしい話があって、帰国後、Drishteeへ新商品の展開検討をしにいった日本企業の方から「ノブユキって、安川さんのこと?」って訊かれたのでそうだと答えると、「Drishteeのみんなが、うちにはノブユキという日本人がつくってくれたシステムがあるから、君のところの商品の販売管理もばっちりなんだ」って話してくれたっていうんです。ああ、私がいなくなった後もちゃんと活用してくれているんだ、社会の役に立てたんだと思って、感動しましたね。

「共感」して「本当の課題」を見つけだすソリューションデザイン

帰国後はソリューションデザイングループというところで、デザイン思考をベースとした「ソリューションデザイン」に取り組んでいます。これはまさに、インドでやってきたことと同じなんですね。現場へ行って、お客さまが本当にめざしていること、困っていることは何かという「本当の課題」を見つけて、プロトタイピングを繰り返すというスタイルです。お客さまが抱える課題の本質に迫ろうとするデザイン思考をとりいれた、ニーズ志向をめざす新しいNECならではの方法といえるかもしれませんね。
そのときに何よりも重要になるのは「共感」です。インドで実感しましたが、お客さまに「共感」ができなくては「本当の課題」にはたどりつけません。「共感」すること。これを新しい研究者の方には、ぜひ大切にしてもらえたらいいなと思います。

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