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柴田 剛志

難関国際会議で活躍

2018.2.2

データサイエンス研究所 主任
柴田 剛志(しばた たかし)

2008年入社後は画像処理・画像認識・機械学習を軸に研究を続け、MVAやFCV、MIRUなど国内外の学会で論文賞などを受賞。招待講演や解説記事執筆の依頼を受けるなど学会での活動も精力的に行う。社内では、後輩の育成にも力を入れている。

世界トップレベルの国際学会CVPRやICCVで論文採択

私がいま研究しているのは「マルチモーダル画像融合」という技術です。これは、可視光をとらえる一般的なカメラと、サーモグラフィなどの非可視光をとらえるカメラで撮影された画像を自動的に融合して視認性を高める技術で、今まで専門家の方々が画像を照らし合わせながら手作業で読み解いていた時間を大幅に短縮することができます。複数の画像から選択するべき領域を選択したり、見逃してはならない温度変化などを検出したりして、人間が一目で理解できる画像に合成していくわけですね。画像認識や画像処理、機械学習などのAI技術を駆使して開発した技術ですが、夜間の運転や危険物の察知、さらにはインフラの劣化診断や災害現場での救助など、さまざまシーンで活用いただけることを想定しています。将来的には自動運転技術へも応用できるかもしれません。
じつは、この技術に関連した論文を、この分野で世界的に最も難しいといわれるCVPR(Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)やICCV(International Conference on Computer Vision)という学会へ通すことができました。そのような経緯もあってか、現在はCVPRのプログラム委員も務めています。つい先日も、論文の査読をしていました(笑) 国内の学会でも、MIRU(Meeting on Image Recognition and Understanding)のエリアチェアや、過去には運営副委員長もやらせていただいています。
いまではこれだけ画像処理の分野を中心に国際学会でも活動させていただいていますが、私はもともと理論物理を専攻していました。博士課程の途中までいたんですが、もうちょっとわかりやすく社会へ役立つ研究をしてみたいという思いがあったんですよね。さらにちょうどその頃話題になっていた機械学習に携わってみたいと思ってNECへ入社したんです。初めの配属先が画像処理のチームだったので、専門的に携わるようになったのはそれがスタートでした。なので、分野違いで入社した自分がここまで成長できたのはNECに入社してから、たくさんの人との出会いに恵まれたからだと思っています。

国内留学制度で博士号を取得

NECは、後輩への教育がすごいしっかりしている会社だと思います。論文を書くにしても、文章の書き方やサーベイの方法、研究の進め方について当時の上司や先輩の主任から丁寧に教えていただけました。みんな基本的に面倒見が良いんですよね。それも、熱く指導するという感じではなくて、自分自身がそうやって教えてもらってきたから、自然と後輩にもそうしていく。そんな風土が根付いています。なので、自分の専攻分野が少々違っているからといって、不安に思うことはないと思いますよ。
会社としての教育制度も充実しています。私も国内留学という制度を使って、2014年から東京工業大学の博士課程で研究させていただきました。じつはこのときの研究で開発したのが「マルチモーダル画像融合」だったんですね。このおかげで、2年半ほどで博士を修了することができました。
企業に入社してから博士をとることのメリットもあると思うんですよね。まずは、研究してみたいテーマが明確になることです。企業の中でさまざまな人と触れ合うことでたくさんのアイデアが生まれますし、それをあたためる時間もあります。さらには、事業部の人といっしょに研究を世の中へ出していく経験を積めるので、研究をアウトプットするイメージがつきやすいんです。だからこそ、博士号を比較的短い期間で取得できたのだと思います。もう一つのメリットとして、自分が研究を進める分野でたくさんの先生と知り合いになることができるという点もあります。いろいろな先生との出会いは刺激になりますし、産学連携を深めて研究へ活かすこともできますよね。学会への参加もこうした縁が積み重なってできたことだと思っています。

自分の研究技術の価値を伝え、社会へ役立てていく

企業の研究は、学生時代の研究のときには味わえない満足感を得ることができます。自分の研究が事業化された暁には、お客さんから「ありがとう」と言っていただけるんです。そうすると、少しは社会の役に立てたのかなと思って、嬉しくなりますよね。これって、よくよく考えるとすごいことです。自分が専門性を培ってきた研究技術が、今までまったく関係がなかった異なるバックグラウンドの人たちの役に立って、お礼を言ってもらえる。これはやっぱり企業研究者ならではの魅力じゃないでしょうか。
ただ、これからの時代、自分の研究を社会に実装していくためには、たくさんの人たちとの連携が欠かせません。事実、これまで研究分野の間にあった境界線はほとんどなくなりつつあると感じています。自分の研究分野に閉じこもっているのではなく、他の分野の人に協力してもらったりすることはもちろん、データをもらったりだとか、あるいは資金を提供してもらうことも必要になるでしょう。そのときに重要になるのが、じつは簡単な言葉で自分の研究を説明できることだったりするんですよね。この技術は社会にどう役立つかをさまざまな分野の人に説明して協力者を増やしていくことができないと、もしかしたら研究が研究のまま終わってしまうかもしれません。自分の研究の価値を説明できる力ということも、ぜひ学生のみなさんには意識してもらえたらいいなと思っています。

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