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佐古 和恵

「生活者視点」で進めるセキュリティ研究

セキュリティ研究所 技術主幹
佐古 和恵 (さこ かずえ)
日本学術会議連携会員

世界のセキュリティをリードするNECを代表する研究者の一人。「グループ署名」といわれる匿名認証の標準化作業では、国際組織でイニシアチブをとるほど世界からの人望も厚い。

安心・安全で公平な社会を実現
暗号研究は「弱い者の味方」

私のNECでの研究開発は、暗号研究からスタートしました。私は、暗号は世の中のセキュリティを高めてくれる「弱い者の味方」だと思っています。最近でも、政府のような絶大な計算力をもっている機関でさえ暗号を解読することができなかったという事例がありましたが、このことが証明してくれているとおりです。さらにいえば、現在の社会には、まだ公平性が足りないケースが多いと思います。インターネットはそこに公平性をもたらしてくれる非常に重要なツールであるはずなのに、まだまだ十分に機能できていません。暗号は、そうした不公平を解決できる重要なツールにもなるものです。安全・安心で、公平な社会を実現するために、さらに最近ではプライバシーを保護できるシステムを構築するために、私は入社以来ずっとセキュリティ分野での研究開発をつづけています。

くらしのなかの感覚と技術で結びつける「生活者視点の暗号研究者」

私は自分のことを「生活者視点の暗号研究者」だと言っているんです(笑)。自分が日々生活していくなかで感じる「これ安全じゃないな、不安だな」だとか、「公平じゃないな」といった感覚を非常に大切にしています。たとえば、子どもがまだ小さかったとき、ある親子参加型のイベントに参加しようと思ったのですが、とても人気があって倍率が高かったので、子どものためにと何枚も何枚も応募ハガキを書いたことがありました(笑)。そのとき、これって本当に公平に抽選してくれるのかなって思ったんですね。インターネットをうまく活用できればハガキの購入も必要ないし、社会的にも大量のハガキを輸送するコストや紙資源だって削減できますし、公平な抽選も実現できるはずです。これだけはでなく、いまの世界って、まだ早い者勝ちであったりですとか、その場に来られる人の中で抽選したりというケースも多いですよね。これをきっかけに、遠くに住む人や、病気のためにその場に行くことができない人も参加できる公平なシステムを構築できないかと考えるようになりました。こうした思いが、暗号技術を活用してインターネットで安全かつ公平に抽選ができる電子抽選システムの開発につながっています。
私が自分で研究者としての強みだと思うのは、こうやって不安や不公平を素直に感じられることですね。そしてさらに、じゃあどうしたらそれを解決できるかっていう技術を知っているということだと思っています。
私がいま取り組んでいるのはプライバシーの問題です。プライバシーというと、一般的なセキュリティ問題に比べると、ビジネスの世界ではまだあまり重要視されていないように感じています。しかし、これはもしかしたら女性の方が感度の高い問題なのかもしれません。たとえば住所を知られたら、ストーカーや付きまといが発生してしまうかもしれませんよね。男性に話してみても「え、そんなこと気にしたこともなかったよ」と言われてしまうこともありますから(笑)。ただ、人類の半分は高いプライバシーを尊重してくれるような仕組みが必要だと思っているはずですから、次はこの感覚を生かして、世の中のデフォルトになるような使いやすいシステムを開発していきたいと思っています。

技術によって獲得した価値をいかに社会へ広めるか

私はいつも、いかに研究成果を社会に広めるかというところまで視野に入れて研究を進めたいと考えています。やはりNECは高い技術力を持っている会社ですから、それを社会に届ける役目を担っていると思っているんですね。私がつくった技術が世の中に広まって、世の中の人の生活の安全を高められたり、安心感を高められたりすることができたときが、何よりもよろこびを感じるときです。
たとえば、いま多くの日本のATMでは、海外のカードを使うことができないのをご存じですか? これにはセキュリティ上の問題が関わっているのですが、NECでは、最先端の暗号技術によって海外のカードが使用できるようになったATMを展開しています。お客さまとも何度も議論を重ねて、課題や不安を解消して実現できたシステムです。これは本当に、技術によって獲得した価値だと思っています。
実はこれには後日談があって、私が国際会議を沖縄で主催したときに、海外の研究者が多数来てくださったんですね。お昼休みにその研究者の方々から「日本円がなくてすごく困っているんだけど、海外のカードでキャッシングできるところがないんだよね」って困っていらっしゃって、そのとき「ここのコンビニには、私が開発したATMがあるから!」って教えたら、みなさんがすごい助かった、助かったって言ってくれて、それをいまでもすごい誇りに思っています。

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