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大原 一真

社会ソリューションの土台をつくる最前線の暗号研究

セキュリティ研究所 担当
大原 一真 (おおはら かずま)

学生時代から暗号プロトコルを研究。2014年に入社後は主に秘密計算の研究に取り組み、実用化のメドが立っていなかったマルチパーティ計算理論を実用可能なレベルまで高速化することに成功する。

マルチパーティ計算の高速化で国際会議のBest Paper Awardを受賞

私がいま研究しているのは、秘密計算といわれる分野です。これはカンタンにいうと、データを暗号化したまま処理する技術ですね。たとえば、顔認証や指紋認証などの生体情報や個人情報のようなデータは有効な活用が期待される一方で、絶対に漏えいが許されないものです。こういった情報一つひとつを秘匿したまま処理可能な状態にすることで、情報漏洩を根本から防止するというのが、我々の目指すセキュリティの形の一つであり、秘密計算はそのための重要な技術です。
私が実用化に向けて取り組んでいるマルチパーティ計算という技術は、複数のサーバにデータを分散して管理し、暗号化したまま情報として活用しようとする技術です。単独サーバの情報だけでは復号できないため、非常に高いレベルで情報漏えいを防ぐことができます。理論自体は昔からあったものですが、計算処理が非常に複雑ですし、サーバ間での膨大な通信量も必要になりますから、どうしても処理に非常に時間がかかってしまいます。そのため、長年実用化が進んでいませんでした。
このマルチパーティ計算をサービスとして実用可能なレベルまで効率化するというのが、私が入社してからの3年間をかけて取り組んできた研究テーマです。ずっと試行錯誤をつづけてきたのですが、海外の研究団体との共同研究も実現できたことで、じつは2016年、ようやく実用化まで視野に入る性能を初めて実証することに成功しました。この成果は国際会議ACM CCS 2016で発表し、光栄なことにBest Paper Awardを頂きました。とはいえ、まだ試作段階ですから、実際に使えるところまで研究と製品化を進めていきたいと思っています。

暗号による安心が、新しい社会サービス導入への垣根を下げる

最近では、情報漏えいに関する事件や事故も数多くニュースになっていますし、セキュリティへのニーズは日ごとに高まっています。悪意のある攻撃からの防御にはさまざまなアプローチがありますが、「暗号」の良い点は、ある数学的なモデルのもとで安全性が数学的に証明できるというところです。証明が与えられた範囲で使えば、未知の攻撃であっても、情報は絶対に漏えいしないといえます。つまり、たとえ「データ」が漏れたとしても、「情報」は決して漏れないということが保証できるわけですね。未知の攻撃を検知するのではなくて、未知の攻撃があってたとえデータが漏れたとしても大丈夫なものをつくるという立場が暗号です。これが暗号の一つの強みであり、面白さでもあると思っています。
暗号やセキュリティは、それ自体で価値を生むものではありません。基本的には付加価値ですから、いろいろなサービスと連携して価値を創りだしていくものです。なので、セキュリティによって情報漏えいのリスクや不安をなくして、さまざまなサービスや技術を利用する垣根を下げるというかたちで、私たちの技術が世の中の役に立つことを期待しています。生体認証やビッグデータなどを活用した、新しいサービスを安心して活用できるためにも暗号技術は必要不可欠だと思っています。より豊かな社会をつくるためにも、研究をさらに追究していきたいというのが、いま一番強く思っていることですね。

広い興味と、チャレンジしつづける「我慢強さ」を

学生のみなさんにメッセージとして伝えたいことは「いろいろなことに興味をもってほしい」ということです。もちろん一つのことを追究するという姿勢は、研究者として大切です。
しかしその一方で、私たち企業研究者は、たとえば「お客様のため」などの目的のために広い視点を持って問題を考える必要があります。どんなニーズがあり、必要な技術は何なのか、それはゼロから作らなければいけないのか、あるいは既存のどの技術を応用すればできるのか。そういったことを考えるときには、いわゆる地頭の良さだけでなく、経験や知識が助けになるので、いろいろなことを知っているというのは一つの強みになると思います。
たとえば、目的を達成する手段として、何を使おうかと考えるためには、まず自分が情報をもっていなければその手段を思いつくことができません。すこしでも聞いたことがあれば、「あれは使えるかな」と思い立って先輩に聞いたり、調べたりすることができる。こうしたアンテナを広くもつことが大切だと思っています。
もう一つは、「チャレンジをためらわない」ということです。ただ、私が必要だと考える「チャレンジ精神」は、成果が出ないかもしれないという不安をぐっとこらえる我慢強さみたいなものなんですけどね(笑) 研究って、成果が出るかどうかなんてわからないじゃないですか。でも、とりあえずやってみるという気持ちは大事なんだと感じています。研究職というのは、他の職業と比べて、比較的リスクをとることは許容されている職業だと思います。なので、怖い気持ちを捨ててチャレンジしてみると、うまくいくことがあるんじゃないかなというのが、この3年間過ごしてみての感想ですね。
もちろん、会社ですから何でもかんでもやっていいというわけでもないですし、何も考えずにとりあえずやればいいということではありませんよ(笑) ある程度考えたうえでやってみる価値があると思ったら、やってみた方がいいということです。少なくとも私が今いる部署では、私は割と自由にやらせてもらっています。
あと、最後に。これは入社してからわかったのですが、ひじょうに有給休暇をとりやすい(笑) これは社会人になってから非常にありがたいと実感したことなので、お伝えしておきます!

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