ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. 企業情報
  3. 研究開発(R&D)
  4. NECのAI(人工知能)研究
  5. 研究グループ紹介
  6. データマイニングテクノロジーグループ
  7. インターンシップ
  8. 体験記
  9. 今泉 允聡さん
ここから本文です。

インターンシップ体験記

今泉 允聡さんの写真

東京大学大学院 経済学研究科
統計学専攻 博士課程2年次 (当時)
インターンシップ参加期間: 2015年7月~11月(4ヶ月間)

今泉 允聡さん
同研究室 博士課程3年(2016年現在)

大学での研究テーマ

大学では統計学を専攻しています。一般に統計の研究というと、近年脚光を浴びているビッグデータ解析などの大規模・高速な解析手法を開発することが連想されます。しかし私の研究では、解析手法の理論的な性質を明らかにするという、統計学本来の目的を追求しています。私はその中のノンパラメトリック統計と呼ばれる分野に関連した研究を行っていました。様々な統計解析は、統計モデルのパラメータを分析することを通じて行なわれます。ノンパラメトリック統計学は、このパラメータの次元が有限にとどまらない場合でも、パラメータの推定量を構成しその性質を理論的に評価する分野です。
私がこのインターンを知ったのは、元NECインターン生である国立情報学研究所の林先生から紹介頂いたことがきっかけです。普段交流が少ない機械学習分野に触れることが出来るという目的の他、実際のビジネスのデータ解析に触れる事で、自分の研究に役立つ経験を得られるかと思い、参加しました。

インターンシップ中の業務内容

インターン中には、主に二つの業務に従事しました。

1. 部分線形モデル解析手法の調査および挙動検証

回帰モデルの一種である”部分線形モデル”に関連する調査、検証を行いました。回帰モデルにはいくつかの種類があり、予測精度に特化したものやデータの解釈を重視するものなどがあります。部分線形モデルは、取り扱うデータを解釈したい対象とそれ以外に分け、解釈したい対象に集中して推定を高精度化する方法です。とても汎用性のあるモデルですが、現実のデータを扱う際の解析手法が難しいことが知られています。一方、NECでは、異種混合学習という予測精度と解釈性を両立する予測モデルの研究を行っています。私はチームの方々と議論をしながら、部分線形モデルに関する理論的な解析手法と、異種混合学習への拡張について調査を行いました。また、小売店等におけるデータ分析への活用を念頭に、調査した手法の挙動を検証しました。

2. 因子化漸近ベイズ推論の強化学習モデルへの適用

強化学習とは、エージェントの行動を学習する機械学習手法で、ロボットやマーケットなど自律的に行動するエージェントの行動ルールを最適化する際に用いられます。今回のインターンでは、部分観測マルコフ決定過程という強化学習モデルに対して、異種混合学習の基礎理論である因子化漸近ベイズ推論を応用する事で、性能(報酬)と解釈性を両立する新しい推定量を導出し、シミュレーションや実データでの評価と改善を繰り返して、その推定量を効率的に算出するためのアルゴリズムを開発しました。また、その結果を機械学習の難関国際会議へ投稿しました。

インターンシップを終えて

NECの研究チームで強く感じたことの一つは、研究者の専門分野を尊重しようとする雰囲気があることです。研究者がそれぞれ違った専門性を持っている中で、自分から遠い分野の人からも知識を吸収しようとする人が多く、組織全体に強い向学心を感じました。そういった雰囲気の中で、他分野の専門性を持つ人から知識を得る姿勢を学びました。
また、応用を意識した解析手法を開発する際に、良い理論的性質をどこまで重視するべきかを考える、という事を学びました。普段の大学の研究では、推定量やその他の手法に理論的な良さを保証すること自体が目的になり、それが実際の解析でどう生かされるかはあまり意識しません。これに対して、NECの研究チームでは理論的良さと実用の利便性のトレードオフがよく議論されています。こういった経験は、統計手法に良い理論的性質を保証する目的を改めて考える良い機会になり、大学で理論的な研究を行う上での新しい視点や着想をもたらしてくれました。
さらに、また、メンターであった藤巻さんにお声掛けいただき、インターン後にシリコンバレーにあるNEC北米研究所に1ヶ月半ほど滞在させて頂きました。研究所では若手を含めた様々な分野の研究者と密に交流する事が出来、自分の専門分野外の知識や人脈を広げつつ研究を進める事が出来ました。加えて、シリコンバレーでの生活や研究所外の人と触れる事を通して、研究のみならず仕事や進路を考える俯瞰的な視点を得る事が出来たと考えています。

NECの研究チームは、多様な分野の同年代の優秀な研究者が多く在籍し、彼らが能力を発揮できる良い環境と文化が備わっていると感じました。本インターンに参加できた事は、研究のみならず組織で如何にお互いの能力を高め発揮させていくかを知るという意味でも、大変良い経験になりました。

Top of this page